国内初の“泣けるVR”映画『交際記念日』を体験してみた!

■「キネマニア共和国」

(C)2017「交際記念日」プロジェクト

みなさんはVR映画をご存知でしょうか?

そう、専用のゴーグルを着けて、全方向360度の映像を体感するVR(ヴァーチャル・リアリティ)コンテンツは、既にゲームやコンサート・タイトルなどでリリースされてきていますが、その劇映画版ともいえるVR映画は昨年始まったばかりで、全国のネットカフェやカラオケなどアミューズメント施設に設置されたVR THEATERにて体験できます。

※VR THEATERの詳細は下記まで
http://interpia.ne.jp/vr/theater/

ちなみにハリウッドでは、既にスティーヴン・スピルバーグやジェームズ・キャメロンなどが、VR映画への参加を表明しているようです。

そんなVR映画ですが、今回、実写によるおよそ15分の短編ラブ・ストーリーとしての劇映画が完成しました……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.230》

国内初の“泣けるVR”映画『交際記念日』、さっそく観賞体験してきました!

初々しくも理想的、しかしやがて切ない
高校生男女の交際の日々

(C)2017「交際記念日」プロジェクト

『交際記念日』は、ある高校生カップルのキラキラとした交際の日々を描いたもの……ですが、“泣けるVR”というキャッチコピーが象徴するように、その恋、実はね……といった、やがては切ない涙を誘う内容のドラマにもなっています。

キャストは、本作をはじめ今月『ラストコップTHE MOVIE』『ポエトリーエンジェル』、6月に『パパのお弁当は世界一』と新作映画が続々登場する期待の若手女優・武田玲奈と、『仮面ライダーゴースト』に主演して一躍人気を得た西銘駿。

ふたりが演じる高校生男女はひそかに付き合っているという設定で、教室や校庭、プール、科学室など様々な場所でデートを重ねていきます。

それはもう理想の高校生活といっても過言ではないほどの初々しくもときめきに満ちたもので(要は、私を含めて多くの人はそういったことを体験できなかった!?)、そんな日々をヴァーチャル・リアリティとして体験できるのが『交際記念日』なのです。

(C)2017「交際記念日」プロジェクト

さて、いざゴーグルとヘッドフォンを着けて映画を見始めますと、まず一気に目の前の映像が360度全方向見渡せてしまうことに驚きますが、まもなくして二人のやりとりが始まると、時折視界が西銘くん扮する太一の目線とシンクロし、玲奈ちゃん扮する沙耶の初々しい言動の数々を見据えていくことになります。

確かに、これはリアルだ!

(もっとも、本作は主に太一の目線で捉えられていくので、男性客は入り込みやすいですけど、女性客はまたちょっと異なる印象を抱くかもしれません)

映像そのものもノスタルジックに映え、実はカット割りも普通に行われているのですが、それが全然気にならないのは『イエスタディズ』『BADBOYS』などで知られる窪田崇監督の手腕によるところも大きいでしょう。

武田玲奈と西銘駿、両者とも好演していて、そのみずみずしさも作品の大きな魅力たりえています。

VR映画の今後の可能性


ユニークなのは、教室の中でのふたりのやり取りの最中、ふと後ろを振り向いてみたところ、生徒役の子たちがそれぞれちゃんと演技しているところで、人間はせいぜい120度くらいしか視界を見渡すことができないわけですが、その見渡せない空間の中にもちゃんと人が息吹き、生活していることを改めて知らしめてくれています。

その意味ではこの作品、ドラマそのものとはまた別の次元で、見る方向を違えながら何度でも観賞し、楽しむことができるという面白さも持ち合わせています。

(C)2017「交際記念日」プロジェクト

もっとも本作の上映時間は15分ほどですが、あまりのリアリティゆえに、映像酔いする向きもあるかもしれませんので(以前、遊園地の絶叫アトラクションのVR映像を体験したら、本物に乗るよりも気持ち悪くなったと訴えた人がいました)、長時間ゴーグルを着ける煩わしさも踏まえると、今はそのくらいがちょうどよいのかもしれません(3D映画も長時間の鑑賞は無理という人も結構いますしね)。

ただ、私自身、このVR映画の可能性というものには大いに着目しています。今はまだアトラクション的要素が強いところはありますが、今回のように映像でリアルな恋愛疑似体験ができるというのは、コンシューマ恋愛ゲーム以来の快挙であり、発見のような気もしますし、こういった実験的試みを続けていくことで、映画そのものの魅力もどんどん加味されていくのではないでしょうか。

(C)2017「交際記念日」プロジェクト

ところで、自分が上を見れば上の映像が、後ろを振り向けば後ろの映像がちゃんと見えるVR映画、いざゴーグルを着けて鑑賞している人たちをはたから見ていると、何とも奇妙な光景ではありますので(⁉)、カップルや仲間らと一緒に体験すると、その点でも大いに盛り上がることができるでしょう。

P.S.
エンドタイトルの入れ方も「へえ、こんな風にできるのか!」と、ちょっとばかし笑えました。

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(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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