ガマさんは刑事のころ、“所詮他人事”だったのだろう #MIU404 第8話

(C)TBS

MIU404の第8話、今回ほど「Lemon」が聞きたくなるラストは初めてでした。ガマさんが殺人を犯したなんて、夢ならばどれほどよかったことか。

しかし、少し冷静になってガマさんの行動を考えてみると、いろんなことがわかってきました。以下、私なりの考察です。

「MIU404」とは
綾野剛&星野源W主演、架空の臨時部隊「警視庁刑事部・第4機動捜査隊」が舞台の一話完結のオリジナルドラマ。脚本を担当するのは『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年)、『アンナチュラル』(2018年)などを手掛け、数々の賞を受賞している野木亜紀子。

「MIU404」(※読み:ミュウ ヨンマルヨン)の“MIU”とはMobile Investigative Unit(機動捜査隊)の頭文字であり、“404”は綾野と星野が演じる機動捜査隊員の二人、伊吹と志摩を指すコールサイン。

冷静沈着な志摩(星野源)への注目はもちろんだが、運動神経と野生の勘が抜群の伊吹(綾野剛)からはとにかく目が離せない。

他人事と自分事の大きな違い

ガマさんは長年の刑事生活で、数多くの事件、被害者、そして加害者と向き合ってきたはず。共感し、同情し、または叱咤したり。伊吹に対してのアドバイスも同じで、誰かの気持ちになって考え、相手としっかり会話を重ねてきたのです。

しかし、いざ自分の身に起きたとき、これまでのように考えることはできず、誰かに相談することもありませんでした。伊吹にも話さず、自分ひとりで決行。反省も後悔もなし。

なぜそんなことになったのか。

それは今まで向き合ってきたことが、言い方は悪いですが、所詮は他人事であり、同情も共感も想像の範囲内でしかなかったからです。

映画やドラマで以下のようなシーンがよくあります。

  • 復讐しても死んだ人は戻ってこない
  • 亡くなった人は復讐なんて望んでいない

もしかすると、ガマさんも被害者遺族に伝えてきたかもしれません。悲しみに立ち向かい、自分の人生を大事にしろ、的なことを。

でも、自分の身に起きたとき、これらは何一つ役に立たなかった。妻を車で轢き殺した男を殺害する結論に至るしかなかったのです。

殺して終わりではなく隠蔽工作をした

次にガマさんがしたことは、ただ殺すのではなく、自分の犯行だとわからないようにして殺すこと。

目的が復讐だけであれば、殺害して終わりです。しかし、ガマさんは連続殺人事件の一つに見えるようにした。

これには理由が2つ考えられます。近しい人間に迷惑をかけないため、警察組織の信用のため。いずれにせよ、犯行後も自分の生活を守ろうとしたとも考えられ、怒りの中にも冷静さを感じる怖い部分です。

さらに、自分の犯行だと判明しても自首はしませんでした。なぜなら自分の行為に間違いはないから。軽微な罪で相手を罰するくらいなら、自分で制裁を下すことが正しいと信じているからです。

誰もガマさんにしてあげられることはなかった

最後に、ガマさんは自分を止められる人間がいないと確信していました。犯人の男に対し、妻が許しても自分が許さないと伝えたように、誰に何を言われようとも殺害を決めていた。今回の隠蔽工作が思いつかなくても、別の方法で確実に殺していたでしょう。

つまり、最愛の妻でさえ止められないことを、伊吹が止められるはずがありません。ガマさんが最後に志摩を通じて伊吹に伝えた「できることはなにもなかった」という発言は、伊吹に対する優しさともとれますが、誰一人として、何一つとして、ガマさんの決心を揺るがすものは存在しないということでしょう。

今回、もしかすると伊吹はガマさんの心境も含めて、すべてを直感で理解していたのかもしれません。だからこそ、事件に対して正面から向き合わず、連続殺人事件であってほしいとの願望にしがみついていたのだと思います。

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志摩が伊吹の気持ちのどこまでに共感していたかは不明ですが、少なくともいまの伊吹を救えたのは相棒の志摩であることが証明されたラストでした。

次回以降、同情と共感はただの想像だと胸に刻みながら、2人の今後に刮目したいと思います。

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    ライタープロフィール

    ゆうせい

    ゆうせい

    人生のいろはを映画から学ぶ男。悪に鉄槌を下す映画が大好物であり、胸がかきむしられる映画に影響を受けやすい。いつか映画館で前後左右の席も買って、映画に心から没入したいと思っている。

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