『コリアタウン殺人事件』はフェイクか、本物か?ネットで話題のその内容とは?

今回ご紹介するのは、最近Amazonプライム・ビデオの見放題タイトルに追加され、その内容がSNSやネット上で大きな話題を呼んでいる映画『コリアタウン殺人事件』です。

ロスのコリアタウンで実際に起こった殺人事件。その謎を追う主人公が撮影した映像で構成された”ファウンドフッテージもの”なのですが、そのあまりにリアルな映像と衝撃の内容から「これって本物の映像では?」、そんな書き込みが多数アップされている本作。

実際、Amazonプライム・ビデオの作品ページにも、監督・出演者が”分からない”と表記されている上に、本編にもスタッフ・キャストが一切クレジットされない、という謎の映画なのですが、気になるその内容と出来は、果たしてどのようなものなのでしょうか?

ストーリー

2017年にロスのコリアタウンで実際に起こった、韓国系夫婦をめぐる殺人事件。事件現場の近所に住む失業中の男がこの事件に興味を持ち、自分でビデオカメラを回しながら、事件の真相を調べていくのだが、次第に狂気に飲み込まれ、ついに恐ろしい真実を知ることになる…。

フェイクか、現実か?その衝撃の内容とは…

ロスのコリアタウンで起きた、ある韓国系夫婦をめぐる殺人事件。

26歳の妻が31歳の夫を殺害した事件現場の近所に住む主人公は、失業中で時間を持て余していたこともあり、自分の手で事件の謎を解明してみようと、ビデオカメラを手に近隣住民へのインタビュー調査を開始します。

容疑者が逮捕された場所と犯行現場が離れていたり、道路に延々と続いていた血痕の存在など、多くの謎が秘められた事件への好奇心から始まった調査ですが、調べていくうちに、この夫婦の仲がとてもよかったことや、数ヶ月前に現在の新居に引っ越してから、彼らがおかしくなり始めたことが分かってきます。

独自の調査を進める中、インタビューした人物が急死したり、アパートの管理人から撮影を止めろ! と注意されたことから、何かがこの町で起こっているのでは? という不安に襲われた主人公は、同居中の彼女から「このままだと、あなたの気がおかしくなるかも?」と指摘されてしまうほど事件に入り込み、次第に常軌を逸した行動を取るようになってしまいます。

例えば、殺された夫の夢を見た! と言い出したり、街中の壁に書かれたハングルの落書きが、昨夜見た夢の中で登場した文章と同じだ! と言い出すなど、偶然の一致に重要な意味があると思い込む主人公の精神状態が、すでに危険な状態にあることが、観客にも分かってくるのです。

更に、街角に残されたハングルの落書きを翻訳してもらった結果、”牧師は悪い人間だから気をつけろ”という内容であることが判明。

これをきっかけに主人公は、宗教的な集団が自分の周りで監視しているのではないか? そんな強迫観念に囚われていくことに。

そんな中、年配の東洋人が事件現場にいたという近隣住人からの証言や、アパートに侵入してきた人物によって夫が殺されたと、容疑者のミ・サン・ユーが証言しているネットの記事から、主人公は夫婦以外の第三の人物が事件に関与していると確信します。

あるホームレスの老人から、自分の考えを裏付ける証言を得た主人公は、ついに容疑者が逮捕された車庫へ侵入を試みるのですが、そこで彼を待っていたものとは?

聞こえるはずのない被害者の声を聞き、徐々に被害者と同化していく主人公。このまま彼が狂って、再び同じような殺人を繰り返すのか? そう思われた映画は、更に別の恐怖へと大きく変貌していくことになるのです。

果たして、全ては主人公の妄想だったのか、それとも現実だったのか?

その衝撃の結末は、ぜひご自分の目で目撃して頂ければと思います。

最後に

ネット上での高評価と並んで、中には「期待したほどの内容ではなかった」との感想も散見できる、この『コリアタウン殺人事件』。

実はこの映画の中で扱われている殺人事件は、2017年のロスで実際に起きたものであり、被害者や容疑者の名前・写真も本人たちのものが使われています。

加えて、近所の住人へのインタビュー部分でも明らかなように、役者に演技させた部分と素人へのインタビュー映像が違和感なく混ざっていたり、道にいるネコやカラス、路上で笛を吹く人やホームレスの映像など、隠し撮りされた現実の映像が絶妙に挿入されることで、現実とフェイク部分の境界線が分からなくなっていくのは見事!

とは言え、殺人事件の謎がきちんと解明されたり、最後にトンでもない仕掛けや、大どんでん返しを期待する方には、若干物足りなさを感じさせるのも事実。

実はこの作品の本当の恐怖は、情報を偏向して読み取ることで次第に周囲に対して攻撃的になり、妄想に囚われて精神が崩壊する男の姿が描かれている点にあるのです。

失業中でなかなか再就職できず、社会との接点を失った男が、事件の調査を通じて再び社会と繋がるものの、遂に一線を越えて狂気に陥っていく様子を記録した映像として観れば、本作への高い評価も納得して頂けるのではないでしょうか。

すでに掘り尽くされたような感が強いこのジャンルですが、アイディアと撮り方によってはまだまだ面白い作品ができる! そんな印象を強く受けた、この『コリアタウン殺人事件』。

鑑賞後に後悔するような低予算ホラーではなく、「やっぱり普通に見える人間が一番怖い!」、そんな新たな恐怖がジワジワ襲ってくる内容なので、全力でオススメします!

(文:滝口アキラ)

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    ライタープロフィール

    滝口アキラ

    滝口アキラ

    滝口アキラ 映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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