映画『ナインイレヴン』は『ソウ』のようなワンシチュエーションで9.11を描いていた!マルティン・ギギ監督インタビュー

© 2017 Nine Eleven Movie, LLC

9月9日から公開の映画『ナインイレヴン 運命を分けた日』は、そのタイトルでわかる通り、2001年のアメリカ同時多発テロ事件を題材としています。何よりの特徴は、その運命の日である9.11を、エレベーター内に閉じ込められた5人のキャラクターの視点で描いたことでしょう。

つまり、これは『ソウ』や『CUBE』などに代表されるワンシチュエーション(ソリッドシチュエーション)系映画の描き方で、アメリカ同時多発テロという実際の出来事を表現した作品なのです。

5人のキャラクターは、鼻持ちならない実業家、彼に失望した妻、ギャンブル好きのビルの保全技術者、精神不安定気味の女性、子煩悩なバイクメッセンジャーと個性豊か。彼らをなんとしてでも助け出そうとするエレベーターオペレーターの女性も含めて、すぐに大好きになれるでしょう。『メジャー・リーグ』のチャーリー・シーンと、『天使にラブ・ソングを…』のウーピー・ゴールドバーグという豪華共演も見どころになっています。

極限状態における人間ドラマとしての魅力がたっぷり、災害時における危機管理について学べることも多くあるため、日本人にとっても興味深く、大いに感情移入して観ることができるでしょう。上映時間が90分と短いことを感じさせない、密度の高い秀作に仕上がっていました。

ここでは、どのようにして本作が生まれ、またどのような精神性を持っている映画であるのか。それを知ることのできる、マルティン・ギギ監督へのインタビューをお届けします。

1.ウーピー・ゴールドバーグが演じたのは、映画のオリジナルキャラだった!

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──エレベーター内というワンシチュエーションで、アメリカ同時多発テロのドラマを描くという作風がユニークでした。参考にした、または影響を受けた映画はありますか。

マルティン・ギギ監督(以下、マルティン):昔から、ワンシチュエーション系の映画が好きなんです。古い映画では、ヒッチコック監督の『救命艇』やシドニー・ルメット監督の『12人の怒れる男』、最近の映画ではジェームズ・フランコ主演の『127時間』やコリン・ファレル主演の『フォーン・ブース』、他にもマーティン・スコセッシ監督の『アフター・アワーズ』というのもありましたね。

私自身『アイ・ソウ・ザ・デビル 〜目撃者〜』という映画を撮っていて、これもワンシチュエーションとは言わないまでも、多くのシーンが棺桶の中なんです。つまり、そういう映画がわりと好きなんですね。そうした密閉された空間の中でこそ、キャラクターを至近距離で見ることができますし、共感できると思います。だからこそ、この物語に惹かれました。

──戯曲(舞台)が原作であり、脚色のために原稿を何度も書き直したとお聞きしました。映画化にあたって変更や工夫をしたところを教えてください。

マルティン:戯曲では2幕構成でしたが、映画では3幕構成に組み直しました。戯曲ではエレベーターだけで展開していましたが、映画ではエレベーター以外の出来事も描かれています。中でもウーピー・ゴールドバーグのキャラは元々の戯曲にはいませんでした。消防士の活躍や、9.11のニュース映像も新たに取り入れていますね。

2:ニューヨーク出身の2人のスター俳優が、9.11の映画で復帰した!

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──短い上映時間でも、どのキャラクターも大好きになれました。監督が好きな、または共感したキャラは誰ですか?

マルティン:ルイス・ガスマンが演じるエディ(ギャンブル好きのビルの保全技術者)と、ウッド・ハリス演じるマイケル(子煩悩なバイクメッセンジャー)ですね。ルイスが演じるキャラはユーモアに溢れていて、マイケルは感情をそのまま出しているところが好きです。実はこの2人は演技ではけっこうアドリブを入れていて、それも自然に映画に取り入れることができました

──チャーリー・シーンとウーピー・ゴールドバーグというスター俳優の出演が注目されています。監督から見た、本作におけるその2人の印象はどのようなものでしたか?

マルティン:チャーリーは一緒に働きやすい人、という印象ですね。俳優としての技術もちゃんと持っていて、面白おかしくも、シリアスも、大げさな演技も、ソフトな演技も、いろいろな面を見せてくれます。撮影現場でも彼は人当たりが良く、周りを鼓舞してくれました。

普段の役のイメージから想像はつかないかもしれませんが、ウーピーは非常に落ち着いた方でしたね。芝居はけっこう“直感型”なところもあって、カメラが回ると俳優としての“スイッチ”が入るんです。疑問があれば遠慮なく聞いてくれて、率直なところもありますね。即興もとてもうまい方です。

また、チャーリーとウーピーは25年来の付き合いらしく、2人とも久しく映画に出演していないということもあって、共演できることを嬉しく思っていたようです。2人とも生粋のニューヨーカーですので、9.11を題材とした映画で復帰を果たせるということで感慨深いものがあったようです。

3.完全に密閉された空間で生まれたリアリティ

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──本編の大半が、狭いエレベーター内での出来事でした。撮影時に苦労されたことはありますか?

マルティン:非常に密閉された空間ですから、俳優たちにとっても、カメラマンにとっても、監督である私にとっても、とてもチャレンジングな状況でした。私は一通り俳優たちに指示を出し、エレベーターのドアを閉じ、モニターに行く、という感じで、俳優たちから離れたところで見ないといけなかった、ある意味でキャストの皆さんとは分断されていたんです。

しかし、完全に密閉された空間の中での撮影こそが、結果的に功を奏していました。そのうち俳優たちはカメラを無視するようになって、思いのままの演技をするようになり、上手い具合に圧迫感や緊張感が生まれたのですから。

──現場でテロに遭遇した多くの人々に話を聞いたとお聞きしました。特に印象に残った話や、映画に反映した具体的な出来事があれば、教えてください。

マルティン:100人以上に取材した中で、印象に残った話が2つあり、どちらも映画に取り入れています。まず、ウーピー・ゴールドバーグが演じているエレベーターオペレーターは、実在の人物に基づいています。エレベーターの中に閉じ込められた人が、彼女の声を頼りにしながらなんとか生き延びようとした、というのは本当の出来事なんです。

もう1つは、壁を突き破ってエレベーターから脱出しようとするシーンですね。彼らがどう壁を破り、どこに行き着くは、ぜひ映画を観て確かめてほしいです。

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『ナインイレヴン 運命を分けた日』は、9月9日より、新宿武蔵野館、丸の内TOEIほかで全国ロードショーです。“9.11が発生した日”の“エレベーターの中”という状況での、感動のドラマを見届けてください。

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(取材・文:ヒナタカ)

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