最終情勢を大分析!いよいよ迫る第88回アカデミー賞授賞式!

第88回アカデミー賞の授賞式が、いよいよ29日(日本時間)に発表となります。

映画関係者のみならず、世界中の人々が注目しているこのアカデミー賞は、映画界最大の栄誉と言われているだけに、少々敷居が高いものだと感じている人もいるのではないでしょうか。

ところが、ここ数年は変革を遂げ、娯楽映画へも間口が広がったことで、よりその年最高の映画を決める賞としての位置づけが強くなっているのです。

昨年一斉を風靡した『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』と、現在大ヒット公開中の『オデッセイ』の2作は、昔のアカデミー賞の傾向では絶対にノミネートされなかったであろうタイプの作品でありながら、それぞれ10部門、7部門と、輝かしい健闘を見せております。

そんな今年のアカデミー賞の頂点である、作品賞にフォーカスを当て、注目すべきポイントを紹介していこうと思います。

史上空前の大混戦

例年のアカデミー賞では、早い段階から最有力と言われる作品が現れたり、前哨戦で独走状態となる作品が必ずと言って登場するのものなのですが、今年はこれまでにないほどの混戦模様のまま本番を迎えます。

長年アカデミー賞を追いかけている筆者も、今年ばかりは読めない。非常に難解なものとなっている理由は、作品賞をはじめ主要部門にあがる作品がバラエティに富んでいるためと、重要な3つの前哨戦の結果が見事にわかれてしまったことに他ならないでしょう。

おそらくこの3つの前哨戦で勝利を果たした作品のうちどれかが、今年のアカデミー作品賞に輝くことは間違いないと思われます。

『レヴェナント 蘇えりし者』『マネー・ショート 華麗なる大逆転』『スポットライト 世紀のスクープ』。どれもまだ日本で公開されていない作品ではありますが、この3作のタイトルは絶対に押さえておくといいでしょう。

スポットライト 世紀のスクープ

(C) 2015 SPOTLIGHT FILM, LLC

誰も為し得なかった偉業がかかる

最もポピュラーな前哨戦であるゴールデン・グローブ賞に輝いたのが、今年最多12部門にノミネートされている『レヴェナント 蘇えりし者』

昨年の最優秀作品賞ほか4部門に輝いた『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を手掛けたアレハンドロ・G.イニャリトゥ監督の最新作である本作は、数々の偉業が懸かっております。

まず作品賞を受賞したら、これまでのアカデミー賞の歴史で誰も為し得なかった同一監督の2年連続作品賞受賞となり、監督賞を受賞したら史上3人目となる連覇を達成することになるのです。これまで連覇を達成した監督はジョン・フォードとジョゼフ・L.マンキーウィッツのただ二人のみ。達成すれば65年ぶりとなるわけです。

さらに、撮影賞でノミネートされているエマニュエル・ルベツキは、一昨年『ゼロ・グラビティ』、昨年『バードマン』と2年連続受賞中。こちらは3連覇がかかっており、同賞を占う前哨戦として知られる、アメリカ撮影監督組合賞を受賞し、もう撮影賞受賞は当確状態といっていいほど。

また、レオナルド・ディカプリオが本作で悲願の主演男優賞受賞なるか、という点にも注目が集まっております。偶然にも、今年は助演女優賞に『スティーブ・ジョブズ』のケイト・ウィンスレットがノミネートされており、あの『タイタニック』のカップルがそれぞれ栄冠に輝く姿が見られるのかもしれません。

レヴェナント:蘇えりし者

(C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation.  All Rights Reserved.

大逆転を狙う、今年の大本命は?

そんな『レヴェナント 蘇えりし者』の偉業を打ち崩しにかかる2作品は、非常に強力な力を持っていると予想されます。

アカデミー賞会員の大多数を占める俳優の組合賞で、作品賞に当たるキャスト賞に輝いたのが『スポットライト 世紀のスクープ』。昨年の夏頃から、最有力と言われ続けていた本作は、秋のヴェネツィア国際映画祭で大絶賛を浴びた後、各地域の批評家協会賞を席巻。インディペンテント系の配給会社の渾身のキャンペーンによって、まだまだ作品賞を射程圏内に収めております。それでも少し勢いが収まってきているとの見方もあり、安心はできないところ。

一方で、土壇場で急上昇しているのが、映画プロデューサーたちで構成されるアメリカ製作者組合賞を受賞した『マネー・ショート 華麗なる大逆転』。ブラッド・ピットをはじめ豪華スターの共演が見どころの本作は、リーマンショックを題材にしたコメディ映画。アカデミー賞の話題が冷めない来週末に日本公開を迎えるので、作品賞を受賞すれば確実に大ヒットが狙えるでしょう。配給会社が自信を持ってこの週の公開を選んだと考えるとなかなか怖いところ。タイトルの通り、華麗なる大逆転を成し遂げる可能性が極めて高いです。

ところで、作品賞を受賞するには、監督賞・脚本賞(もしくは脚色賞)・編集賞・演技部門のすべてに候補入りしている作品というジンクスがあり、近年でも例外はいくつかあるものの、やはり映画の根幹を担う部門で候補に挙がっていることは重要なポイントとなります。今年の作品賞候補作8作品のなかで、すべてに候補入りしているのは、この2作品のみなのです。とくに、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』は作品賞と上記の部門にのみ候補入りをしており、大本命との見方もできるのでは。

マネー・ショート 華麗なる大逆転

(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

あの人も有力候補!

もちろん、作品賞以外にも注目すべきポイントは盛り沢山。とくに気になるのが、スターが集う演技部門。

前述したレオナルド・ディカプリオが最有力視されている主演男優賞にはドラマ『ブレイキングバッド』でブレイクを果たしたブライアン・クランストン(『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』)や、『オデッセイ』のマット・デイモンらが虎視眈々と頂点を狙う。

主演女優賞では70歳にして初候補となったイギリスの名優シャーロット・ランプリング(『さざなみ』)と、25歳にして4度目の候補となるジェニファー・ローレンス(『Joy』)、インディペンテント映画の女王ブリー・ラーソン(『ルーム』)の新旧実力派女優の対決が見所。

中でも『クリード チャンプを継ぐ男』で実に39年ぶりにアカデミー賞に帰ってきたシルヴェスター・スタローンには、助演男優賞の最有力候補として最大の注目が集まっております。彼をスターに押し上げたロッキー・バルボア役で再び挑むアカデミー賞の舞台で、今度こそ勝利を飾れるかどうか。

第88回アカデミー賞授賞式は、2月29日(月)午前9時からWOWOWで独占生中継。

(文:久保田和馬)

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