「彼こそが海賊」が映画音楽を変えた! パイレーツシリーズの音楽を振り返る

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みなさん、こんにちは。

7月1日より『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』が公開され、週末興収が10億円を超えるスタートダッシュを決めるなど、改めて人気の高さを見せつけました。前回記事で同作を紹介しましたが、シリーズを支える魅力の1つに「音楽」が挙げられます。

と、いうことで! 今回の「映画音楽の世界」では「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの音楽を追い続けている筆者が、独断と偏見で過去4作品のおススメ楽曲をピックアップして紹介したいと思います!

『パイレーツ・オブ・カリビアン / 呪われた海賊たち』

Pirates of the...

記念すべきシリーズ第1作目。アドベンチャーアクション系映画音楽史の1つのターニングポイントにもなった作品ですが、全米公開を間近に控えて作曲家が交代するという過程がありました。

そのためアドバイザーとして指名されたハンス・ジマーがデモテーマを作曲、それをジマーが主催するプロダクションのメンバーからメインコンポーザーのクラウス・バデルト、『パシフィック・リム』のラミン・ジャワディ、『トランスフォーマー』シリーズのスティーヴ・ジャブロンスキー、「最後の海賊」で単独登板を果たしたジェフ・ザネリら、ジマーを含め8人体制という異例の布陣で作曲にあたっています。

なんと言っても本作のおススメは「彼こそが海賊」([He’s A Pirate])でしょう。ヒロイックなモチーフや勇壮なメロディ、冒険心を煽るリズムと、どこをとっても完璧な楽曲。そのキャッチーなサウンドはテレビ番組など多くの場面で使用され、映画音楽に詳しくなくても耳にすれば「あ、パイレーツ」と結びつきます。

ジマー、バデルト、ザネリが作り出した新たな海賊音楽が永遠に残る海賊音楽となったのです。

本作のサウンドトラック、捨て曲のないまさに名盤中の名盤となっていますがあえてそこからさらにおススメ曲をピックアップするならば、不穏な立ち上がりからド迫力のバトルサウンドが展開する「決闘」([Swords Crossed])(本編では連れ去られたエリザベスがブラックパール号で骸骨船員に遭遇するシーンなので「決闘」はしていない気がするのですが…)。

ブラックパール号が大海原を進む「飢えたバルボッサ」([Barbossa Is Hungly])、「彼こそが海賊」のフレーズを利用したソードアクションが冴える「海賊の印」([Skull And Cross Bones])なども「彼こそが海賊」に負けない壮大なサウンドに仕上がっているのではないでしょうか。

『パイレーツ・オブ・カリビアン / デッドマンズ・チェスト』

パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト オリジナル・サウンドトラック

クラウス・バデルトが離脱し、本作から音楽はハンス・ジマーの単独クレジットに。前作から一転、コメディカルなシーンは控えめでダークな雰囲気を漂わせた作品となっています。悪役としてデヴィ・ジョーンズが初登場、北欧神話をモチーフにした巨大クリーチャー・クラーケンも登場して見事な暴れっぷりを披露してくれます。と、言うわけで本作の一押し曲は「“深海の魔物”クラーケン」([The Kraken])。

まさに海の底から浮上してくるかのような低音からスタートして、クラーケンが圧倒的な破壊ぶりを見せる映像に合わせて音楽もオーケストラが底力を見せコーラスまで導入。迫力満点の楽曲に仕上げています。

他にも、チェロの響きが気高さを感じさせ前作以上にキャプテン・スパロウのテーマの役割を果たした「ジャック・スパロウ」([Jack Sparrow])やオルゴールとオルガンの音色が哀愁感を漂わせる「デイヴィ・ジョーンズ」([Davy Jones])。

酒場の陽気なノリが楽しめる「ホーンパイプ(トルトゥーガ)」([Two Hornpipes(Tortuga)])、クラーケンバトルと双璧を成すアクションスコア「運命の輪」([Wheel of Fortune])などがおススメ。

『パイレーツ・オブ・カリビアン / ワールド・エンド』

パイレーツ・オブ・カリビアン:ワールド・エンド オリジナル・サウンドトラック

「デッドマンズ・チェスト」から続く形でスタートする物語。舞台はシンガポールから始まり、チョウ・ユン・ファ演じるサオ・フェンも登場。二胡などの中華楽器でオリエンタルな雰囲気を出しつつ、パイレーツサウンドとしての“パワー”も盛り込んだ「Singapore」(シンガポール)がサオ・フェンのテーマとして用意されているように、シリーズ史上最も各キャラ、あるいは各シーンへのテーマ曲がはっきりと表現された作品となっています。

例えば他にもクラーケンに飲み込まれたジャックがさまよう世界を不協和音で再現して見せた「マルチプル・ジャック」([Multiple Jack])や現実世界への突破口を発見したジャックがブラックパール号を“ひっくり返そう”とする「上は下、下は上」([Up Is Down])、海賊たちの決意を高らかに謳い上げる「何に命を懸ける?」([What Shall We Die For])、ウィルとエリザベスの運命を決定づけるラストバトルを盛り上げる10分超えの大作曲「それどころじゃない」([I Don’t Think Now Is The Best Time])が挙げられます。

中でもシリーズ屈指のエンディングを迎える「さあ、飲み干そう」([Drink Up Me Hearties])は、「彼こそが海賊」とウィル、エリザベスのテーマが融合、シリーズの終幕に相応しい壮大な音楽で幕引きが行われています。

ちなみに。本作の「パーレイ」(Parlay)などで印象的なエレキギターソロをプレイしているのは、三部作の監督を務めるゴア・ヴァービンスキー本人。多才な面を見せてくれていますが、ジマーいわく監督の起用は「節約のため」だそう(笑)。

『パイレーツ・オブ・カリビアン / 生命の泉』

パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉 オリジナル・サウンドトラック

ロブ・マーシャルを監督に迎えた第4作目の音楽は、新章スタートながら旧三部作の音楽の総括的なアプローチになっていて、例えばジャック・スパロウのテーマ以外にも「アン女王の復讐号での反乱」([Mutiny])で「決闘」などが使われるなど、多くの場面で旧シリーズのフレーズも顔をのぞかせます。

また「女海賊、アンジェリーナ」([Angelina])、「ホワイトキャップ湾の人魚」([Mermeids])といった新しいテーマもあり、新旧テーマ曲が混在する形となっています。

本作の音楽ではシリーズで初めてジマーチーム外からソロプレイアーティストをフィーチャー。スペインが物語に絡んでくることもあってか、メキシコからアコースティックギタープレイヤーのロドリーゴ・イ・ガブリエーラを招き流麗なギターサウンドを取り込んでいます。

「女海賊、アンジェリーナ」では艶のある弦の音を響かせている他、ジャックとバルボッサのヤシの森からの逃走に音楽的な躍動感を与えた「ヤシの木からの逃走」([Palm Tree Escape])、ロドリーゴ・イ・ガブリエーラのギタープレイを最も全面に押し出した「怒り、そして再び…」([Angry And Dead Again])などで超絶的なギタープレイを堪能することができます。

まとめ

冒険映画にはやはり胸踊り心ときめかせる音楽を必要としていることを改めて知らしめたシリーズとなったのではないでしょうか。贔屓目を抜きにしても「彼こそが海賊」はみなさんの耳と心に残り続ける珠玉の名曲だと思います。「最後の海賊」でも新たなテーマをミックスした「彼こそが海賊」が高らかに鳴り響きますので、ぜひ劇場の音響で音楽も堪能してください。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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(文:葦見川和哉)

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