前代未聞の体験型ホラー!『クワイエット・プレイス』の魅力とは?

こんにちは、八雲ふみねです。
今回ご紹介するのは、9月28日から公開の『クワイエット・プレイス』。

八雲ふみねの What a Fantastics! ~映画にまつわるアレコレ~ vol.175

音に反応して襲撃してくる“何か”によって、人類は滅亡の危機にさらされていた。

そんな荒廃した世界で暮らす、1組の家族、アボット家はリーとエヴリンの夫婦、そして息子と聴覚障害を持つ娘の4人。

彼らは決して音を立てず、ひっそりと生き延びていた。

しかし、静寂を保ちながら生活するエヴリンの胎内には、新しい命がを宿っていて…。

音を立てたら、即死。前代未聞の体験型ホラー映画が誕生。

ホラー映画で恐怖を煽る手法として欠かせないのが、音による効果。

不気味に繰り返されるBGMしかり、不意に聞こえる人の声や足音しかり、絶妙なタイミングで奏でる音は観客の緊張感や恐怖の感情を高めていきます。

しかし本作では、制作者自ら“音”によるホラー表現を封印。まったく新しい体感型ホラー映画が完成しました。

『クワイエット・プレイス』は今年5月に全米3,500館で公開されるやいなや、低予算作品ながら初登場No.1でオープニング成績5,000万ドルという数字を叩き出し、近年のホラー話題作やメジャー作品を超える興行成績を記録。

SNSを中心に口コミを呼び、その凄まじい臨場感が高評価を得ています。

エヴリン役にはハリウッドきっての実力派女優、エミリー・ブラント。

そしてエヴリンを支えるリー役は、監督・脚本・製作総指揮も務め、実生活でもエミリーの夫であるジョン・クラシンスキー。

本作では初の夫婦共演を果たし、“言葉にせずとも理解し合える関係性”を体現。

この『クワイエット・プレイス』におけるシチュエーションは彼らだからこそより確かな信憑性を持って観ることが出来るといっても過言ではない素晴らしいパートナーシップを見せています。

また娘リーガン役には、自身も聴覚障害を持ちながら女優としてのキャリアを重ねているミリセント・シモンズ。

そして息子マーカスを演じるのは、『ワンダー 君は太陽』での好演が記憶に新しいノア・ジュプと、素晴らしい演技力と存在感を持つ俳優たちが集結しました。

「予算がない!」なんて言い訳は通用しない!映画はアイデアと脚本で、こんなに面白くなるのだ!!

“音を立てたら、即死”というルールのもとに作られた『クワイエット・プレイス』は、セリフも音楽もほとんどなく、キャストも少人数でストーリーが展開されます。

“音を立てずに生活する”って、皆さん、少し想像してみて下さい。

まず、会話は出来ませんよね。テレビやラジオを使うこともできないので、外界の情報を入手することも困難です。食事の時に食器がカチャッと音を立てることも歩く時の靴音も、速攻“何か”が近づいてきて殺されてしまうのです。この映画に登場するファミリーは、会話は手話、そして移動する時は裸足で歩き、とにかく“静寂”の中で生活を営んでいます。

ただただ音を立てずに静寂の中で暮らすファミリーが放つ緊迫感は、観る者にも伝染し、音に対して非常に敏感に。映画を観ながらポップコーンを食べたりジュースを飲んだり、自分が放つ“音”さえも恐怖の対象となり、スクリーンに釘付けにされてしまいます。恐怖におののきながらも、観終わった後には、その計算し尽くされた脚本とアイデアに感心させられることしきり。

低予算作品でありながら、むしろそれを逆手に取るようなシンプルかつ分かりやすい設定からも、作品としてのクオリティの高さが感じられます。

一時期、ハリウッドでは脚本不足が嘆かれていたものですが、少し視点を変えるだけでこんなに面白い映画が出来るとは。

映画ってまだまだ可能性を秘めているんだなぁ〜と驚かされるばかりです。

そして、彼らは“音を立てると殺されてしまう”という運命のために、家族としてのコミュニケーションを制限されてしまった人たちでもあります。

嬉しい時悲しい時、その感情を相手に伝えることが出来ない。

“伝えたいことが言えない”状況下でも、言葉ではなくお互いの愛情を確かめ合う姿には思わず涙があふれることも。

本作は卓越したホラーであると同時に、家族の物語としても秀作と言えるでしょう。

<作品情報>

クワイエット・プレイス
2018年9月28日(金)から全国ロードショー
監督・脚本・製作総指揮・主演:ジョン・クラシンスキー
出演:エミリー・ブラント、ミリセント・シモンズ、ノア・ジュプ
©2018 Paramount Pictures. All rights reserved.
公式サイト https://quietplace.jp/

八雲ふみね fumine yakumo

八雲ふみね大阪市出身。映画コメンテーター・エッセイスト。
映画に特化した番組を中心に、レギュラーパーソナリティ経験多数。
機転の利いたテンポあるトークが好評で、映画関連イベントを中心に司会者としてもおなじみ。
八雲ふみね公式サイト yakumox.com

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