映画『search/サーチ』が超圧倒的に面白い「5つ」の理由!

10月26日より映画『search/サーチ』が公開されます。本作は、端的に言ってめちゃくちゃ面白い! 映画評価サービスのIMDbでは7.8点、Rotten Tomatoesでは93%という高評価を得たことも大納得の、老若男女を問わずに誰もが最初から最後まで楽しめ、高確率で「良い映画を観た!」という満足感が得られる、素晴らしいエンターテインメント作品なのです。

本作は“予備知識が全く必要ない”ということも美点の1つ。むしろ、何も知らないほうが特異な表現方法や先が読めないスリリングな展開にのめり込むことができるでしょう。2018年の“誰にでもおすすめできて”、“何も知らずに大期待して観て欲しい大傑作映画”は『カメラを止めるな!』と『若おかみは小学生!』と『search/サーチ』の3本であると断言します!(『カメラを止めるな!』との共通点は他にもあるので後述します)

そんなわけで、本作を最大限に楽しみたいのであれば、事前情報はここまででも十分。今すぐにでも劇場情報を確認して映画館に向かいましょう。デートでも、家族でも、1人でも、最高の映画体験が待っていることを保証します!

<『search/サーチ』劇場情報>
https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=search

さて、ここからは本作の見どころをたっぷりと解説します。ネタバレはありませんが、“まっさら”な状態で楽しみたいという方はご注意を!

1:100%全てがパソコンの画面上で展開!
それでも全く飽きることがない!

本作の最大の特徴でありセールスポイントは、102分という上映時間の全てが、パソコンの画面のみだけで構成されている(!)ということです。これを聞いて「飽きてしまうのでは?」「ストーリーが伝わってくるのか?」と思う方もいるでしょう。結論から言えば、そんな心配はまったく必要ありません。最初から最後までハラハラドキドキでき、思いがけない感動すらも、そこにはあるのですから。

なぜパソコンの画面から全く動くことがないのに、退屈しないスリリングな内容になっているのかと言えば、大まかに以下の3点に集約されます。

・伏線が巧みに回収される驚きの展開が詰め込まれたサスペンスとして面白いから

・SNSという“世界とつながる”“人間の内面を示した”現代のツールが重要になってくるから

・“リアルで見えているものが少ない”ことも作劇に活かしているから

以下からはそれぞれについて解説しましょう。

2:エンターテインメント性をとにかく追求!
“昔ながらの面白い映画の基本”に立ち返った作品だった!

“全編がパソコンの画面上で展開”という最大の特徴を抜きにしても、本作はサスペンス(ミステリー)映画として、とてつもない完成度を誇っています。何気ない会話や、画面に表示された“何か”が後に特別な意味を持つようになる(伏線が回収される)、緻密な構成になっているのですから。主人公と共に“謎解き”をしていくような、時にはまさかの事態に翻弄されてしまうといった面白さが満載なのです。

監督のアニーシュ・チャガンティ(何と現在若干27歳!)は製作に当たって、「自分たちが一番観たい映画を作りたかった」「僕らが一番好きなのは、サスペンスや陰謀がたっぷりあって、思わず引き込まれてしまうエモーショナルな映画なんだ」「観客が謎の中に入り込んでしまって、物語がどのように語られるかを忘れるようなものにしたい」などと語っています。つまり、何よりも“エンターテインメント性を重視した”映画でもあるのです。

しかも、アニーシュ・チャガンティおよび共同で脚本を手がけたセブ・オハニオンは、行方不明者もののサスペンス映画を何十本も観て、何が効果的で何が効果的でないか、また情報を隠してさりげなく観客をミスリードしていくにはどうすればいいか、ということまで“研究”を怠らなかったのだとか。全編がパソコンの画面という型破りなで作風ありながら、実は“昔ながらの面白い映画の基本”に立ち返った作品でもあるのです。

さらに、物語そのものは“父親が行方不明になった娘を探す”という、普遍的な “家族愛”に迫った内容でもあります。序盤からしっかりと登場人物に感情移入ができ、その行く末を最後まで応援したくなる……やはり、ただただ単純に「面白い!」と感じられる要素が詰め込まれているとも言っていいでしょう。

ちなみに、本作の撮影はわずか13日で終了したのですが、編集やアニメーションの作業のために2年の歳月を掛けたのだそうです。編集にどれだけ手が込んでいるか、とにかく観客を楽しませたいという気概に溢れているかは、“掴み”として抜群のオープニングだけも存分にわかることでしょう。また、劇中の音楽も美麗かつ臨場感たっぷりですよ!

3:SNSでこそ現代人をリアルに描けていた?
インターネットの世相を鑑みた映画だった!

本作で製作を務めたのは、『ウォンテッド』や『リンカーン/秘密の書』などの監督で知られるティムール・ベクマンベトフです。彼は「現代人は1日の半分をデバイスの前で過ごしていて、人生はそこでも展開しており、周りに影響を及ぼす選択もしている」ということを踏まえ、全編がパソコン画面上で展開するという本作のコンセプトを“現代人をリアルに描くための1つの方法である”などと語っていました。

言わずもがな、現代はメールやSkypeで遠く離れた場所とのコミュニケーションも可能になっていますし、Twitter、Facebook、InstagramといったSNSでは世界中の話題や写真を見ることができます。(語弊はあるとは思いますが)“パソコンの画面だけでも世界が広がっている”という状態であるため、確かにそれだけでも誰かの人生を切り取って、エモーショナルな物語を構築することは不可能ではないのだろうという説得力があります。現代の発達したインターネットの世相を鑑みたティムール・ベクマンベトフの狙いは、見事に成功していると言っていいでしょう。

なお、劇中ではSNSをたどって娘の行く先を探す父親の姿が描かれますが、彼は“(娘も)SNSのことも良く知らない人間”でもあるため、SNSに馴染みがない、または全く使ったことがないという方でも問題なく楽しめます。また、SNSや現代のコミュニケーションツールを悪し様に描くのではなく、そのメリットとデメリットを客観的な視点で捉えているというのも優れたところと言えるでしょう。これもまた、幅広い方におすすめできる理由なのです。

4:“パソコンの画面上だけではわからない”ということもメリットになっていた!

“パソコンの画面上だけで展開する”という作劇による利点が、もう1つあります。それは、“リアル(パソコン画面以外)のことがわからない”ということ。これだけ聞くとデメリットに聞こえるかもしれませんが、実はそれすらもミスリーディングや謎解き要素にプラスに働いているのです。

インターネット上だけでは、現実の世界で起こり得ることや、その人の全てを把握することはできない……これは、現実のインターネットおよびSNSの本質ともシンクロしています。同時に、それは “娘の裏の(SNSでの)顔を知っていく”という、ある意味では“ホラー要素”にもなっていくのです。

ネタバレになるので詳しくは書けませんが、パソコンの画面上だけで展開するからこそ、良い意味で「そこは一体どうなったんだよ!」と心配してしまうという、“見えない部分”があるからこそのハラハラドキドキも構築されていました。

総じて、インターネットおよびSNSの本質を寓話的に描きながらも、やはり全編でエンターテインメント性が全く損なわれていないということ……これこそが本作『search/サーチ』の最大の魅力と言えます。

5:『クレイジー・リッチ』に続く“カウンター”だ!
アジア人俳優が活躍するからこその痛快さとは?

本作『search/サーチ』はアジア系の俳優が配役されており、誰もが知る大スターは出演していません。主演のジョン・チョーは2009年からリブートされた『スター・トレック』シリーズで乗組員のヒカル・スールー役などを演じていたりするものの、やはり特に日本では知らないという方が圧倒的に多いでしょう。

しかしながら、『search/サーチ』は批評家から俳優の演技を含めて軒並み絶賛され、サンダンス映画祭では観客賞を受賞、わずか9館で限定公開され1館あたりの興行成績ではNo.1を記録、その後は一気に1100館規模での拡大公開がされ、大ヒットを遂げていたのです。

この快挙で思い出すのは、北米映画興行収入ランキングで3週連続No.1を記録するメガヒットを遂げ、現在は日本でも公開中の『クレイジー・リッチ!』です。

© 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND SK GLOBAL ENTERTAINMENT 

主要キャストがアジア系の俳優のみで固められるというのはハリウッドでは異例のこと。これまでのハリウッド映画ではアジア系の俳優が端役のみの起用であったり、極めてステレオタイプ的な描かれたりすることもありました。スターとしての圧倒的な魅力を持つアジア人が活躍する『クレイジー・リッチ!』は、そのハリウッドでアジア人が冷遇されてきたことへの1つのカウンターにもなっているのです。

映画としての圧倒的な面白さと、今まであまり日の目を見なかった(知名度が決して高くはない)実力派のアジア系の俳優が“普通に主演を務めている”という事実、現代の世相を反映した作劇になっていること、そして異例の大ヒットになっているということ……これらが、『search/サーチ』と『クレイジー・リッチ!』で共通しています。両作は映画の内容のみならず、その作品が持つパワー、映画の歴史の転換点になっているということも“痛快”とも言えるのです。

おまけその1:『カメラを止めるな!』との共通点もたくさんあった!

『search/サーチ』と共通点の多い作品は他にもあります。それは、2018年の日本映画界の話題を席巻した『カメラを止めるな!』。

『カメラを止めるな!』 ©ENBUゼミナール 

両作のネタバレにならない範囲で箇条書きにすると、以下のようになります。

『search/サーチ』と『カメラを止めるな!』の共通点

・アイデアが独創的

・そのアイデアを最大限に生かした、練りに練られた脚本が素晴らしい

・有名なスター俳優がキャスティングされていないけど全員が超ハマり役

・公開当初は公開劇場がわずかだったものの評判が評判を呼び拡大公開&大ヒット

・新鋭監督の劇場用長編映画デビュー作

・ただただめちゃくちゃ面白い

・低予算

・ちょっとだけ怖い

・笑える

・家族愛に溢れている

・映画館で観てこそ真の感動がある

・ラストでは…(共通点はあるけど両作のネタバレになるから言えない!)

・やっぱりネタバレなしでは何も言えない!「とにかく観に行って!」とだけ訴えたくなる!

しつこいようですが、両作とも「本当に面白い!」ので、ただただ観て欲しいのです。

おまけその2:同じく全編がパソコンの画面で展開される『アンフレンデッド』も要チェック!

実は、全編がパソコンの画面だけで展開する映画は、本作だけではありません。2014年に公開された『アンフレンデッド』はそのコンセプトが“ホラー”という要素に振り切っており、製作に『search/サーチ』と同じくティムール・ベクマンベトフが関わっていたりもするのです。

アンフレンデッド(字幕版)

『アンフレンデッド』はPG12指定のレーティングがされており、性的な話題やショッキングな残酷描写もあるため、お子様にはおすすめできません。しかしながら、「パソコン画面だけでどうやって怖がらせるの?」という疑問に「その手があったか!」と感心できるアイデアがふんだんに詰め込まれており、『search/サーチ』同様にエンターテインメント性が存分に高い良作に仕上がっていました。“ネットいじめ”という社会問題の恐ろしさや浅ましさも存分に描かれていることも美点でしょう。「普通のホラー映画には飽きた」という人にこそ観て欲しいです。(しかも、『search/サーチ』の劇中では『アンフレンデッド』に登場した“Laura Barns”という名前がちょっとだけ表示されるのだとか?)

この他、『search/サーチ』と似ている映画には、行方不明になった娘の本性が暴かれていく『渇き。』(こちらはR15+指定でも甘いと思える過激さなので安易におすすめできない!)や、消息を絶った息子の無事を祈る母の愛を追う『チェンジリング』(2008年)、SNS時代のコミュニケーションが真摯かつホラー的にも描かれた『リップヴァンウィンクルの花嫁』などがあります。ぜひぜひ、合わせて観てみてください!

ちなみに、『search/サーチ』の監督であるアニーシュ・チャガンティは、「Seeds」というGoogle Glassで撮影した2分半ほどの短編映画が話題を呼び、映画界デビューへのチャンスを掴んだという経歴の持ち主でもあります。こちらも素晴らしい作品ですよ!

(文:ヒナタカ)

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