『全員死刑』の台本にはなぜか『家族の絆』のタイトル…その理驚きの理由とは!?

©2017「全員死刑」製作委員会

こんにちは、八雲ふみねです。
今回ご紹介するのは、現在絶賛公開中の『全員死刑』。
タイトルに偽りなしの刺激的な一作です。

八雲ふみねの What a Fantastics! ~映画にまつわるアレコレ~ vol.133

借金を抱え困窮した生活を送っている首塚家は、組長の父テツジとヒステリックな母ナオミ、姑息な長男サトシと家族想いの次男タカノリの4人家族。
彼らは近所の資産家一家が脱税で蓄財していることを知り、その金を強奪する計画を企てる。
しかしあまりにも無計画でお粗末な強盗の末、資産家の息子を殺害してしまったことから事態はとんでもない展開にエスカレート。
「家族のため」と「愛」を合言葉に、タカノリたちの人殺しは暴走を極めていく…。

©2017「全員死刑」製作委員会

炎上上等?! 前代未聞の狂悪エンターテイメントが日本映画界に殴り込み!

モチーフとなったのは、かつて福岡で発生し、被告である家族4人全員に死刑判決が下った強盗殺人死体遺棄事件。その実行犯だった次男の獄中手記をベースにした鈴木智彦による原作「我が一家全員死刑」(コアマガジン/小学館文庫刊)を映画化しました。

破滅へのあまりにも愚かな3日間を切れ味鋭く描き出したのは、狂気の新人監督、小林勇貴。若干27歳で本作が商業映画デビューとなる小林監督、衝撃作『孤高の遠吠え』では本物の不良をキャストに起用するなど、その大胆かつ野蛮な作風で注目を集めてた鬼才です。

見た目は“ヤンキー???”という印象がしなくもありませんが(失礼!)、瞳はキラキラと美しく、映画制作に賭ける情熱は誰よりも熱い青年が、凶暴すぎるデビューを飾りました。

そんな実録犯罪映画で初主演を飾ったのは、間宮祥太朗。持ち前の爽やかなイケメンぶりを封印して、犯罪に手を染めていく家族想いの主人公タカノリを狂気たっぷりに演じています。

さらに殺人家族へと化していく父に六平直政、母に入江加奈子、長男に毎熊克哉、さらにタカノリの彼女に清水葉月と実力派俳優たちが、小林勇貴の才能に惚れ込み結集。

観る者の度肝を“ぶっ殺う(ぶっさらう)”怪演は必見ですよ。

©2017「全員死刑」製作委員会

常軌を逸したバイオレンス作品は、撮影現場もエキサイティング!しかし、思わぬ苦労も…。

『全員死刑』というタイトルからして物議を醸し出すバイオレンスな作品ですが、実はこんなエピソードが。

本作の撮影時、送られてきた香盤表を確認していると異変に気付いた六平直政さん。なんと作品タイトルの部分が『全員死刑』ではなく、『家族の絆』となっていたのです。自分が出演するものとは別作品の香盤表が送られてきたのか、はたまたタイトルが『全員死刑』から急遽変更になったのか???

不審に思った六平さんはプロデューサーに連絡、そして返ってきた答えが。

「『全員死刑』というタイトルだと、何処も撮影場所として協力してくれないんです…」。

実はロケ協力を要請しても、タイトルがネックとなって断られることが連発。

そこで苦肉の策として、いわゆる“外向け”には『家族の絆』というタイトルで交渉を進めることに。

さらに映画が完成するまで『全員死刑』というタイトルは外部に漏らしてはいけないと、香盤表をはじめ他人の目に触れる可能性のあるものはすべて『家族の絆』と記載。小林監督いわく、台本も表紙には『家族の絆』、そして1枚ページをめくると『全員死刑』となっていたとか。

う〜ん確かに、『家族の絆』なら“ヒューマンな感動作”というイメージが湧いて撮影に是非とも協力したい!と思うけど、『全員死刑』と言われると…。

不穏なコトが起こらないか、協力に躊躇してしまう担当者もいらっしゃる、かも。

映画製作って、思わぬところに苦労があるモノなんですね。

しかしこの『家族の絆』、決して適当につけたタイトルと言いきれないのです。何故ならば、『全員死刑』は“家族の絆”を大切にするあまり、犯罪者になっちゃった家族のお話なのですから。

借金に頭を悩ませる父、天真爛漫に息子に人殺しを“おねだり”する母、自分では決して手をかけないヘタレの長男。そして愛する家族のために、“家族愛”を大義名分に(?)、次から次へと無計画に人を殺めていく次男。

実話がベースになっているという空恐ろしさを感じながらも、あまりにも無鉄砲でマヌケな連続殺人劇は、恐怖と残忍さと笑いが同時に襲ってくるような、いまだかつてない映像体験を巻き起こします。

タイトルに偽りなし!いや、それ以上に斬新で危険な作品です!!

©2017「全員死刑」製作委員会

劇中ではイカツイ顔したキャスト陣も、待望の初日に笑顔満面!

初日舞台挨拶には、主演の間宮祥太朗をはじめ、毎熊克哉、六平直政、入江加奈子、清水葉月、小林勇貴監督が登壇。
満員の観客を“ぶっ殺う”迫力満点の舞台挨拶が繰り広げられました。

フォトセッション時、カメラを睨みつけながら手を振る面々。
表情とアクションがなんともアンバランス…。
皆さん、器用な方々です。

こうして並ぶと、まるで“顔面凶器”のようなメンバーですが…。

笑顔もとってもチャーミングなんです!カメラマンから「怖い表情で!」「今度はニッコリ笑顔で!!」とリクエストされる度にクルクルと表情を変える登壇者に、会場は大爆笑。

私も司会を務めながら、お腹がよじれてしまいました。

ちょっぴりエキサイティングな“家族の絆”を描いた作品世界同様、アットホームな舞台挨拶となりました。

作品情報

全員死刑
2017年11月18日からヒューマントラストシネマ渋谷、テアトル新宿ほか全国ロードショー
監督・脚本:小林勇貴
出演:間宮祥太朗、毎熊克哉、六平直政、入絵加奈子、清水葉月、落合モトキ、藤原季節、鳥居みゆき ほか
©2017「全員死刑」製作委員会
公式サイト   http://shikei-family.jp/

八雲ふみね fumine yakumo

八雲ふみね大阪市出身。映画コメンテーター・エッセイスト。
映画に特化した番組を中心に、レギュラーパーソナリティ経験多数。
機転の利いたテンポあるトークが好評で、映画関連イベントを中心に司会者としてもおなじみ。
「シネマズ by 松竹」では、ティーチイン試写会シリーズのナビゲーターも務めている。

八雲ふみね公式サイト yakumox.com

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