映画コラム

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2018年03月02日

『プリンシパル』は高杉真宙のかわいらしさと“ギャップのある”魅力が全開!原作ファン納得の理由を全力で語る!

『プリンシパル』は高杉真宙のかわいらしさと“ギャップのある”魅力が全開!原作ファン納得の理由を全力で語る!



(C)2018「プリンシパル」製作委員会


3月3日よりいくえみ綾の少女コミックを原作とした映画『プリンシパル〜恋する私はヒロインですか?〜』が公開されます。本作は極めて誠実に作られた、王道の女子中高生向け恋愛映画として優秀な作品でした! 大きなネタバレのない範囲で映画の魅力をお届けするとともに、役者・高杉真宙の魅力も語ります!

1:実力派のスタッフが集結!
同監督の『深呼吸の必要』も要チェックだ!


昨今の少女マンガの実写化映画化作品は、ベテランの監督やスタッフが関わっていることが多くなっており、それは本作『プリンシパル』でも同様です。篠原哲雄監督は『真夏のオリオン』や『花戦さ』など、どちらかと言えば大人向けの作品を多く手掛けていて、とくに2004年の『深呼吸の必要』は青春映画の隠れた名作として、映画ファンから熱い支持を集めていました。



脚本を務めたのは、メインターゲットとなる中高校生だけでなく、大人からもその完成度の高さで話題を集めた『くちびるに歌を』や『青空エール』の持地佑季子。どちらも原作(小説/マンガ)がある作品で、2時間の映画にまとめるためのエピソードの取捨選択や再構築が見事に行われた、原作ファンも納得の秀作に仕上がっていました。

その他、ベテランの撮影監督である上野彰吾、人気テレビドラマやCMの音楽を数多く手がける若手作曲家の世武裕子、エンディングテーマは第68回NHK紅白歌合戦にも出場したLittle Glee Monster、挿入歌は動画サイトでも人気のCHiCO with HoneyWorksなど、熟練したスタッフはもちろん、若い世代から支持を集めるアーティストも参加しているのです。監督と脚本家だけでなく、脇を固めるスタッフも信頼できる。これだけでも、本作が水準以上の出来になっているのはもう保証済みと言ってもいいでしょう。

ちなみに、『深呼吸の必要』は香里奈、谷原章介、成宮寛貴、長澤まさみなど、後年でブレイクした役者たちが出演しています。彼らの若かりし頃(14年前)の魅力を知りたい方にオススメできるのはもちろん、豊かな自然(さとうきび畑)の中で作業に悪戦苦闘しながらも交流をしていく若者たちの物語は、大人こそがグッと来るものがありますよ。

2:実写化でさらに魅力が増したポイントとは?
現実的な問題が描かれた物語と、北海道ロケも重要だった!


原作マンガは7巻で完結と、昨今の少女マンガの中では短めの内容になっています。ともすれば、2時間で原作の要素をすべて採りきるか、はたまたどれほどスリム化するか、という映画化に際しての選択はより難しくなると思うのですが……さすがは『青空エール』の持地佑季子、原作のエピソードの多くを無理なく拾いつつ、ずっと画面を観続ける映画ならではの繊細な描写や“盛り上がりどころ”も外さず、時には大胆にエピソードの内容をアレンジするなど、今回も確かな脚色の手腕を発揮していました。

何より、“ハブ(仲間はずれ)にされてしまったヒロインが主役になることを目指す”という物語が、実写映画にすることでさらに魅力的になっていることは特筆に値します。

ヒロインは些細なことで前の学校でハブにされてしまい、今はプリンシパル(バレエ団における主役級のダンサー)のようになることを夢見ています。それは、集団意識で悩みがちな女子中高生の、「少女マンガの(主役の)ような恋がしたい」という気持ちに寄り添っていると言ってもいいでしょう。

また、単なる夢いっぱいで楽しい物語だけでなく、信頼している人に裏切られてしまったり、愛憎入り混じる感情をぶつけてしまうといった、現実的な問題が描かれていることも原作の大きな魅力になっていました。この恋愛に限らず、人生で多くの人が経験するであろう苦しさは、映画でも過不足なく描写されています。

ヒロインが公園でバレエを踊るシーンも重要なフックになっています。黒島結菜はこのためだけにレッスンを重ねており、その“気恥ずかしさ”も含めて、生身の人間が踊る(=実写映画でしか成し得ない)みずみずしいしい魅力に溢れていました。若手女優の“今しかない”姿を切り取る青春映画としても、このバレエシーンは必要だったと言えるでしょう。

また、「原作を大切にしたい」という思いから、全編で北海道ロケが行われていることも重要です。雪が降り積もる北海道の風景はそれだけで美しくて魅力的ですし、居場所を求めてやってきたヒロインの心情に、“広くて”、“寒いけれど(人の心は)暖かい”という北海道のイメージが重なりあっているのですから。

まとめると、原作マンガのエッセンスは工夫された脚本により映画でも存分に拾われている(バレエシーンも含めてより魅力的になっている)、原作と舞台を変えずに北海道ロケを行っていると、極めて原作に対して誠実な作り方がされているのです。原作ファンにとっても、大納得の内容と言えるのではないでしょうか。



(C)2018「プリンシパル」製作委員会



3:高杉真宙が演じる“ギャップを感じる”キャラの魅力はこれだ!


“気が強そうに見えても実は繊細”なヒロインを演じた黒島結菜、良い意味で絵に描いたような“俺様キャラ”の小瀧望(ジャニーズWEST)、“親友のように接しているけど秘めた想いも抱えている”川栄李奈が素晴らしかったのはもちろん、“病弱でかわいいけどプライドは高い”少年役を演じていた高杉真宙が超・最高だったことは語らなければならないでしょう!

本作で高杉真宙が演じるのは、“昔は女の子に間違われていた”ほどの美少年で、優しくて人懐っこく、老若男女問わずに「かわいい!」と思えるキャラクターです。しかしながら、想い人に対しての行動は激烈と言っても良く、良い意味で“ギャップを感じる”性格でもあるのです。

高杉真宙は他作品でも、(普通の少年役を演じていても)眼光の鋭さもあってか、“内に抱えたもの”や“計り知れない何か”が見える優れた役者だと感じていましたが、本作はその持ち味が最大限に発揮されていると言っていいでしょう。



(C)2018「プリンシパル」製作委員会



4:アラフォーの大人が感情移入できる恋愛要素もあった!


主人公たちの親……具体的に言えば子持ちのアラフォー世代の恋愛の“こじれ”が描かれていることも、本作の大きな特徴です。

たとえば、ヒロインの母は4度も再婚をする自分勝手な母親ですし、 (過去に離婚した)父は娘を溺愛していても頼りなくて冴えなかったりします。その後も、主要登場人物の(いい年をした)親たちが度々登場するものの、その恋愛模様は“子どもっぽい”と言ってもいいほどにかわいらしかったりするのです。メインターゲットの中高生女子だけでなく、子どもに連れられて観た親御さんも、同世代の大人の不器用な恋愛にクスクス笑い、時には応援したくなるのではないでしょうか。



(C)2018「プリンシパル」製作委員会


人間関係を通して成長していく過程や、素直に悩みを打ち明けたことでの救済など、描かれる出来事は教育上もとても良いですし、性描写もほぼ皆無です。“女子中高生の子どもを持つ親御さんにも積極的にオススメできる”というのも、本作の美点ですね。

また、注目キャストとしてもう1人、谷村美月も挙げておきます。彼女がどういう役であるかは(具体的にはネタバレになるので)書きませんが、2010年の『おにいちゃんのハナビ』では純粋な女子高生を演じていた彼女が、あらゆる意味で“大人”の役を見事に演じていたことに驚き、また時の流れを感じざるを得ませんでした。

5:“目線”に注目! セリフに頼らない映画ならではの魅力もあった!


本作には、説明的なセリフに頼らない、“演出や役者の演技でこそ語る”映画ならではの魅力もあります。役者たちの繊細な表情の変化で心情を語るのはもちろん、時には“目線の動き”だけで想いを示すシーンもあるのですから。

とくに、中盤のキャンプシーンでの“目線”のクローズアップは、どんなセリフよりも雄弁に彼らの気持ちが語られていると気づけることでしょう。

序盤は原作マンガのセリフをそのまま再現したため、生身の人間が演じる実写映画としてはやや不自然なところもみられましたが、映画でしかできないセリフや演出も十分に盛り込まれていることも、本作の魅力と言えるでしょう。


(C)2018「プリンシパル」製作委員会



まとめ:誠実に作られた、王道の恋愛映画だからこそオススメだ!


パッと見の本作『プリンシパル』のイメージで、既視感を覚えた方も多いのではないでしょうか。事実、こうした少女マンガを原作とした、キラキラしたイメージの女子中高生向け恋愛映画は年間10数本を超えて製作されており、“供給過多”と言われてしまうこともあるようです。本作も“アラフォーの親たちの恋愛も描かれる”というポイント以外では、それほど目新しさはないと言っていいでしょう。

しかしながら、女子中高生が「映画館に行ってみたいな」と思い立った時に、その需要に合った恋愛映画が必ずと言っていいほどに公開されている、というのは歓迎すべきことではないでしょうか。しかも、本作は信頼できるスタッフが集結し、原作に対してのリスペクトも存分で、若手役者の魅力に溢れ、教育上も良い内容になっていると、“安心してオススメできる”要素ばかりです。前述した通り、若手役者の“今しかない”姿を切り取るという意義も存分にあります。

繰り返しますが、極めて誠実に作られた、良い意味で王道の女子中高生向け恋愛映画、それが本作『プリンシパル』なのです。それを期待するのであれば、間違いなく水準以上の満足感が得られるでしょう。「あまりこういうタイプの映画を観たことがない」という方も、きっと楽しめますよ。

おまけ:高杉真宙の魅力を堪能できる3つの映画はこれだ!


最後に、『プリンシパル』と合わせて観て欲しい、高杉真宙という役者の魅力を堪能できる、3つの映画を紹介します。

1.『ぼんとリンちゃん』



幼馴染同士の少年少女が、東京にいる音信不通の友だちを探しに行くという青春映画です。その特徴は、何よりも“オタク”を描いていること。同人誌、ゲーム、アニメ、BL(ボーイズラブ)への価値観が赤裸々に語られ、萌え美少女イラストが一面に貼られた部屋や、下ネタも盛り沢山で登場するという、ある意味で破天荒な内容になっていました。

ヒロインの佐倉絵麻が、矢継ぎ早に好きなものへの想いをしゃべる“オタク全開な少女”を好演。高杉真宙は冷静なツッコミ役でありながらも、時折“中二病”なセリフを発したりもしています。しかしながら、高杉真宙が女の子と見間違うほどの美少年なので、その中二病がそれほどイタイタしく見えないというのも驚異的でした。“会話のおかしみ”を楽しみたい方にオススメします。

2:『逆光の頃』


京都を舞台にした青春映画です。66分と短く、大きな事件もそれほど起きない低予算の作品ですが、画の一つひとつがうっとりするくらい美しく、観た後はすぐに京都に旅行したくなるほどの魅力に溢れていました。

何より、劇中で“水もしたたるいい男”になる高杉真宙の色気が半端ない! 京都弁で話す高杉真宙、鴨川ではしゃぐ高杉真宙、夜の学校で月光に照らされる高杉真宙、豪雨の中で「ケンカ、しよか?」と鋭い眼光のままつぶやく高杉真宙など……彼の“不良性”の魅力が全力で飛びかかってくるのでお腹がいっぱいでした。高杉真宙ファンであれば絶対に観なければならない1本でしょう。

その他、高杉真宙が劣悪な環境下にいる少年を演じた『PとJK』、見た目はヤンキーのようだけど心根は優しい主人公の親友を演じた『ReLIFE リライフ』も、彼の不良性を堪能できる映画としてオススメですよ。

※『PとJK』の解説はこちら↓
□『PとJK』は恋愛だけではなかった!“ギャップのある”3つの魅力を語る

※『ReLIFE リライフ』の解説はこちら↓
□映画『ReLIFE リライフ』はアラサーの大人こそ必見! 原作ファン大納得の傑作である8つの理由!

3:『散歩する侵略者』



見知った人が突如として自身を宇宙人だと宣言し、その後も“話がどこに向かうのかさっぱりわからない”が続く、良い意味でぶっ飛んでいる映画です。シリアス一辺倒ではなく笑えるシーンも多数、それでいて『回路』や『クリーピー 偽りの隣人』にあった黒沢清監督らしいホラー演出も炸裂していました。

高杉真宙は主演ではないですが、“長谷川博己に生意気な口を聞く、憎たらしいけどカワイイというキャラ”をこの上なく楽しそうに演じています。美少年でありながらも、その内面が読みにくい(計り知れない)のでちょっと不気味でもある、という役に彼はバッチリとハマっていました。『散歩する侵略者』は3月7日よりBlu-ray&DVDが発売予定です。

その他、高杉真宙が(良い意味で)極端な“解説役”をこなしているドラマ『賭ケグルイ』、冷静すぎて少し怖さも感じさせるツッコミを繰り出すドラマ『セトウツミ』もオススメです。以下の記事でも、高杉真宙の魅力を解説しているので、読んでみてください!

□俳優・高杉真宙、“本当は”イイ男だった!

※高杉真宙は『虹色デイズ』と『ギャングース』でもマンガの実写映画化作品で主演を務めます↓
□2018年公開のマンガ実写映画化まとめ!名作の予感ばかり!?

(文:ヒナタカ)

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