『新感染 ファイナル・エクスプレス』親子愛・夫婦愛・姉妹愛に劇場は感動の涙!

新感染 ファイナル・エクスプレス ScreenX

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ネットでの予告編が早い段階から話題となり、日本公開が待たれていた韓国発のパンデミック・サバイバル映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』。いよいよ9月1日より劇場公開となった本作を、今回は公開3日目の日曜日午前の回で鑑賞して来た。

場内は幅広い年齢層の観客で満席。作品の内容的には、予想外に男女のカップルの姿が多かった本作だが、果たしてその内容はどんな物だったのか?

予告編

ストーリー

ソウル発プサン行きの高速鉄道KTXの車内で突如起こった、原因不明の爆発的な感染。疾走する密室と化した列車の中で凶暴化する感染者たち。
偶然乗り合わせたのは、妻のもとへ向かう父と幼い娘、出産間近の妻とその夫、そして高校生の恋人同士・・・果たして彼らは安全な終着駅にたどり着くことができるのか—?愛するものを守るため、決死の闘いが今はじまる!(公式サイトより)

実は泣けて感動出来るゾンビ映画!デートにも絶対オススメ!

いや、これは期待を裏切らない映画だった!単に面白いだけでは無い、人間ドラマの丹念な積み重ねにより、ラストの感動と余韻まで観客の心を捉えて離さない本作。そう、実は本作の一番の特徴は、観た人の感想に「感動した」「泣けた」など、「まさかゾンビ映画で感動するとは思わなかった」という物が非常に多い点なのだ。

作品の内容的に、どうしても昨年公開の日本映画『アイ・アム・ア・ヒーロー』を思い出させるのだが、走る列車の中という限定空間で展開する人間ドラマと、様々なアイディアと工夫が盛り込まれた脚本の素晴らしさは、断然本作の方が上!

個人的には、先頃惜しくも亡くなられたゾンビ映画の父、ジョージ・A・ロメロ監督作品へのオマージュが、ちゃんと描かれていたのが嬉しかったと言っておく。(具体的には、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』と『死霊のえじき』)

昨年『アイ・アム・ア・ヒーロー』を劇場で鑑賞した際には、初めてゾンビが出現して殺し合いになるシーンで、女性二人で来場されていた観客が、席を立って劇場を出て行ったのが印象的だったが、本作ではそんな心配は無用!確かに感染者による殺戮シーンは出て来るものの、感染に至るまでの心理描写や登場人物の背景がちゃんと描き込まれているため、嫌悪感やグロさよりも、感染者の悲しみや哀れさの方が観客に伝わって来るからだ。

夫婦や姉妹、そして親子の愛が極限状態で試される本作のストーリー展開は、正に女性にこそ観て頂きたい物となっているので、怖い映画は苦手と言う貴女も、是非ラストの感動を劇場で味わって頂ければと思う。

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本作が本当に描きたかった物とは、いったい何だったのか?

それは、「人間は極限状態に置かれても、なお他人を思いやることが出来るのか?」ということ。

例えば、最後まで自分勝手で助かろうとうするバス会社の重役にも、実は彼なりの生きなければならない理由と目的、そして人間的弱さがあったことが、ラストで判明する。この部分が描かれているからこそ、そこから主人公に起こる悲劇が、実に悲しくやり切れない気持ちにさせるのだ。

思えば映画終盤の、先に先頭車両に避難していた乗客たちが、逃げ延びてきた主人公たちを車両に入らせない様にする描写。これは映画の冒頭で主人公自身が取った行動でもあり、本作では地獄の様な状況を通して、主人公の人間的成長と娘との関係修復が描かれて行くことになる。最終的に他人を救うための彼の行動が、ある悲劇の引き金となるのだが、娘の誕生時の幸福な思い出を胸に、遂に笑顔を取り戻した彼の姿には、ある意味彼が救いを得た様な気がしてならなかった。

一人の勇敢なヒーローの活躍とゾンビとの戦いや、感染の防止と原因の究明がメインでは無く、本作はあくまでも列車に乗り合わせた人々=一般市民の目線から描かれたサバイバル劇。

限られた情報に翻弄されながら、生存への道を捜し求める乗客たちの中でも、特に万国共通のビジュアルで登場する「おばちゃん」姉妹が、終盤で見せる姉妹愛には泣いた!感染者への変わらぬ想いや愛情が、時として更なる悲劇や犠牲を生む展開も、本作が「泣けるゾンビ映画」と評されている理由の一つだと言える。前述した通りこの部分、実はロメロ監督の「死霊のえじき」へのオマージュとなっているので、ここは是非とも劇場で!

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最後に

韓国の地理関係や、列車が停車する各駅の位置関係の知識が無いと、ソウルから目的地であるプサンまで、乗客たちがどれだけの距離を移動しなければいけないのか?日本人にはいまいち把握し辛いかも知れない本作。

幸い映画の公式サイトには、韓国の地図と列車の路線図が掲載されているので、鑑賞後に気になった方やこれからご覧になる方は、是非一度ご覧になることをオススメする。これを見ると、最終目的地「プサン」の手前で列車を乗り換えた「東テグ」駅が、かなりプサンの手前の駅であることも一目瞭然なので、きっと鑑賞のお役に立つはずだ。

『新感染 ファイナル・エクスプレス』公式サイト
http://shin-kansen.com/

エンディングでの生存者の人選に込められた「未来への希望を繋ぐ」と言うメッセージ性が、観客の涙と感動を誘う本作!

乗客たちそれぞれの想いを乗せた運命の列車「ファイナル・エクスプレス」。果たして誰が生き残って目的地に辿り着いたのか?

あなたも是非劇場でご確認を!

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(文:滝口アキラ)

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    ライタープロフィール

    滝口アキラ

    滝口アキラ

    滝口アキラ 映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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