■オジンオズボーンオジンオズボーン・篠宮暁の“特撮”向上委員会

いよいよ終盤に差し掛かってまいりました『宇宙戦隊キュウレンジャー』。

最初、「9人もいて大丈夫かいな」と思っておりましたが、蓋を開けてみましたら、結局12人の大所帯。

こうなってくるとひとりひとりに当てるドラマが少なくなるんじゃないかという不安もありました。でも、そこは離脱したり敵側に行ったり、過去に取り残されたりして、それぞれに見せ場を用意し、人数が多いからこそ可能な演出のおかげで、各メンバーがしっかりフィーチャーされております。

本日、10月29日の放送で36話が終わったわけですが、各メンバーに話が振れているとはいえ、やはり露出に差が出てきてしまうのが仕方のないこと。

例年より必然的に各キャラクターの出番が少ないなか、確実に人気を獲得してる人物がいます。

まずは、ヘビツカイシルバーに変身するナーガ。

彼は、感情というものがわからず、それを欲していくキャラクター。キュウレンジャーになる前からの相棒だった、テンビンゴールドことバランスとのやり取りで、初期から人気がありました。

そのナーガが、感情を欲するあまりに敵のジャークマターの一員になってしまい、何話かかけてキュウレンジャーがナーガを救い出す一連の話があるんですが、バランスを始め、キュウレンジャーメンバーのナーガへの想いが溢れまくるこの展開には涙腺が緩みっぱなしでした。

間違いなく「キュウレンジャー」の名シーンのひとつです。

追加戦士のホウオウソルジャーが仲間になるところも、キュウレンジャーが移動に使っていたオリオン号が起動不能になるところも、盛り上がったポイントなんですが、特に好きなポイントとしてあげる人が多いと言われているシーンがあります。

それは、サソリオレンジに変身するスティンガーと、故郷を裏切ってジャークマターの一員となった実の兄・スコルピオとの因縁の部分でしょう。

スティンガーは紛れもないヒーローのはずなんですが、醸し出す雰囲気はまるでダークヒーロー。

そのクールな感じが人気の要因となってるかと思うんですが、そのすさまじい人気によって、スーパー戦隊では相当珍しいスピンオフ作品が制作されるまでになりました。

そのスピンオフ作品「宇宙戦隊キュウレンジャー Episode of スティンガー」が、10月25日（水）に発売されまして、スティンガー人気にさらに拍車がかかっている状態となっております。

内容はスーパー戦隊らしからぬ、結構ハードな内容。

スティンガーと行動を共にするのは、今や相棒として絆を築き上げているものの、その絆が構築される前のオウシブラックことチャンプ。

個人的にはスティンガーとチャンプのコンビが大好きなので、それを存分に楽しめるこの作品はうれしいこと、このうえなしです。

そして、この作品の特筆すべき点は、坂本浩一監督演出の期待以上のアクションもさることながら、ちょこちょこ入ってくるスティンガー役の岸洋佑さんの歌唱シーンです。

この歌唱シーンから、本編では見られないスティンガーの心情などを感じ取ることができ、一段とスティンガーを好きになること間違いなしです。

これがミュージカルほどのあざとさもなく、すごくいい塩梅で組み込まれてくるので、ストーリーの邪魔にもなっておりません。

といった感じで、見どころ満載の「Episode of スティンガー」なんですが、「Episode of スティンガー」のさらにスピンオフ作品「ハイスクールウォーズ」も制作されています。
こちらも合わせて見ると、「キュウレンジャー」をより楽しむことができます。

こちらは単なるコメディ編かと思いきや、しっかりとプロローグも入っており、スーパー戦隊OBの山本康平さんや伊藤陽佑さん、そしてスーパー戦隊が好きすぎてproject.Rのメンバーにまでなった宮島咲良さんが敵役で参加しているという豪華な内容となっております。

注目すべきは、山本康平さんのキョウトウインダベーへの変身シーンです。痺れます。

この作品たちを見て、「キュウレンジャー」の怒涛のクライマックスに備えましょう。

（文：オジンオズボーン・篠宮暁）

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