『007 スペクター』をより面白く堪能するために……

ジェームズ・ボンドの宿敵たる
犯罪組織スペクター

007 SPECTRE スペクター

本作のタイトルにある“スペクター”とは、SPecial Executive for Counter-intelligence Terrorism Revenge and Extortion(対諜報活動やテロ、復讐、強要などを行うための特別機関)の頭文字をとってSPECTREとネーミングされた世界的犯罪組織のことで、実は007シリーズ第1作『ドクター・ノオ』(62)から第6作『女王陛下の007』(69)まで登場した、いわばジェームズ・ボンドの宿敵といった存在なのです。

つまり本作でスペクターが登場するということは、ダニエル・クレイグ主演によるリセットされた新007シリーズが、いよいよ本来のシリーズ第1作に至る設定に近づいてきたということなのです。

もっとも今回は、スペクター幹部のひとりフランツ・オーベルハウザー(クリストフ・ヴァルツ)は登場しますが、首領のブロフェルドは登場しません。

このブロフェルド、007シリーズの人気悪役ランキング1位をキープし続ける大物ですが、なかなか姿を現さず、初めて顔を見せたのは第5作『007は二度死ぬ』(67)のドナルド・プレザンスがこれを不気味に演じました。

ダニエル・クレイグは今回が最後のボンド映画出演といった噂も流れていますが、私はブロフェルドが登場するまでは降板してもらいたくないというか、ダニエル・クレイグ版の新シリーズにおけるボンドとブロフェルドの対峙を見てみたいと願っています。

007 アストンマーチン

その他、第3作『ゴールドフィンガー』(64)のオッドジョブや第10作『私を愛したスパイ』(77)のジョーズなどを彷彿させる怪力の殺し屋Mrヒンクス(デイヴ・バウティスタ)や、『ゴールドフィンガー』に登場した名車アストン・マーチンの新型が今回登場するなど、過去への目くばせも実は多く、そうなってくると数日かけてもシリーズ全作品を見ておきなさいとも言いたくなるのですが、まあ、そこまでしなくても、単体でも十分に楽しめる作品に仕上がっているのも間違いないので、ご安心のほどを(でも、これを機に、未見の方はシリーズ全作品を見直していただきたいものです)。

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画レビュー・コーナー『戯画日誌』を連載中。近著に『映画よ憤怒の河を渉れ 映画監督佐藤純彌』(DU BOOKS刊)がある。

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