『マイティ・ソー バトルロイヤル』、いよいよ面白くなってきた第3弾!

(C)Marvel Studios 2017 All rights reserved.

目下、国内外のヒーロー映画は花盛りで、特に11月はマーベル・スタジオ・ヒーローたちが集うアベンジャーズもの=“マーベル・シネマティック・ユニバース”と、DCヒーローが集う“ジャスティス・リーグ”が激突するということで、映画ファンは目が離せないものがあるかと思われますが……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.268》

11月3日から公開された
、その“マーベル・シネマティック・ユニバース”最新作『マイティ・ソー バトル・ロイヤル』は、正直前2作には見られなかった面白さが充満している快作なのでした!

重々しい雰囲気から脱却した
軽妙洒脱なヒーロー活劇!

そもそもマイティ・ソーは、マーベル・コミックの中から創造されたヒーローのひとりで、今ではアイアンマンや超人ハルク、スパイダーマンなどとともに“アベンジャーズ”の一員として、彼らをクロスオーバーさせた“マーベル・シネマティック・ユニバース”シリーズに登場し続けています。

ソー自身は『マイティ・ソー』(11)『アベンジャーズ』(12)『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(13)『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』(15)『ドクター・ストレンジ』(16)の順でお目見え。

そして今回の『マイティ・ソー バトル・ロイヤル』は6度目の登場にして、3度目の主役となります。

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『マイティ・ソー』シリーズは、惑星アスガルドの王オーディーン(アンソニー・ホプキンス)の長男ソー(クリス・ヘムズワース)が、血のつながらない弟ロキ(トム・ヒドルストン)との王位継承をめぐる確執をメインに描くものですが、1作目『マイティ・ソー』は『ヘンリー五世』(89)『ハムレット』(96)などの名匠ケネス・ブラナーを監督に迎えたことで、シェークスピア劇さながらの格調高い力作に仕上がってはいましたが、正直なところ「ヒーローものとしては重すぎないか?」というのが私見ではありました。

そのせいか、続く第2作『マイティ・ソー/ダークワールド』はアラン・テイラーに監督がバトンタッチされましたが、こちらはやや力不足。思うにマーベル・ヒーローの中でも宇宙全体を舞台にしている分スケールも大きいソー・シリーズの世界観を半端に感じさせてしまうものがありました。

しかし、今回の第3弾は、見事なまでに壮大かつ明快なSFエンタテインメント・ヒーロー活劇として屹立しているのです。

これには今回の監督タイカ・ワイティティの手腕に負うところも大きいでしょう。ニュージーランドで監督・脚本・そしてコメディアンとして活躍してきたフットワークの軽さが、今回はソーにまとわりつく重々しさを払拭させ、実にテンポ良い軽妙洒脱な、それでいてある程度の格調高さも巧みに保持しています。

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遺憾なく発揮されたキャストの魅力
壮大なる宇宙スペクタクルの妙!

新キャラクターとしては今回、ソーとロキの姉で父オーディーンを憎み、アスガルド崩壊を目論む“死の女神”ヘラの登場が大いに際立っています。演じるは名優ケイト・ブランシェット。その貫録は相当なもので、こりゃソーもロキも叶うわけないわ! と戦慄させるほどのすごみがみなぎっています。

本作でソーは、彼を象徴する必殺武器のハンマーをヘラに壊されてしまいます。また、いろいろあって髪形も長髪から短髪へイメチェンするなど、前2作にはない清潔感みたいなものまで醸し出されているのも、さりげなくも大きなポイントでしょう。

さらにアスガルドへ向かおうとしていたソーを捕らえる惑星サカールの独裁者グランドマスターに扮するジェフ・ゴールドブラムの飄々とした悪漢ぶりも今回は大いに見もので、ここにもワイティティ監督の資質が見え隠れしているようです。

ソーの宿命のライバルと化して久しいロキは、今回も期待を裏切ることなく性格悪く(?)、魅力的。また今回アベンジャーズ仲間としてはゲスト的にドクター・ストレンジなどが登場しますが、大活躍するのは何といっても超人ハルク! さらには新キャラクターとして賞金稼ぎの女戦士ヴァルキリー(演じるは『クリード チャンプを継ぐ男』でヒロインを演じたテッサ・トンプソン)や、全身岩男コーグ(演じているのは何とワイティティ監督!)等が登場し、アベンジャーズならぬ“リベンジャーズ”を結成してくれるのもお楽しみ。もちろん日本から我らが浅野忠信もシリーズ・レギュラーとして出演していますが、はてさてその結末は?

唯一、前2作のヒロインを務めていたナタリー・ポートマンが出演していないのは残念ではありますが、それを補ってあまりあるほどの興奮の作劇!

姉ヘラによるアスガルド崩壊を、ソーとロキの兄弟は阻止できるのか? そして今回の顛末は、ソー・シリーズとしても、マーベル・シネマティック・ユニバース・シリーズの中でも、最大級の宇宙スペクタクル・エンタテインメントとして溜飲が下がるものになっています。

今後の展開も実に愉しみな、ヒーロー映画ファンにはたまらない快作です。やはり見続けてきてよかった!

(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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