『本能寺ホテル』だけではない!あっぱれ戦国タイムスリップ映画の数々!

■「キネマニア共和国」

本能寺ホテル メイン

(C)2017 フジテレビジョン 東宝 ホリプロ

映画『本能寺ホテル』は、綾瀬はるか扮するヒロインが本能寺の変の前日にタイムスリップし、織田信長と出会うといった奇想天外なSFファンタジーです。

タイムスリップと織田信長といえば、現代の高校生がひょんなことから戦国時代にタイムスリップして織田信長と入れ替わる羽目になる石井あゆみのコミックを原作に、TVアニメ(14)にTVドラマ(14)、そして映画(16)と拡がっていった『信長協奏曲』が記憶に新しいところですが、どうもこのタイムスリップというやつ、戦国時代と相性が良いみたいです……。

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.192》

というわけで、戦国時代にタイムスリップしちゃう映画をちゃちゃっとおさらいしてみましょう!

本能寺の変は、信長が糖尿病だったから起きた!?

その前に、史実の本能寺の変についてちょっと説明しておきますと、1581年6月2日未明、戦国乱世の中、天下統一を目前に控え、京都の本能寺に宿泊していた織田信長が、家来の明智光秀の謀反によって寝込みを襲われ、自害して果てた事件です。

この本能寺の変そのものを題材にした映画は意外に多くはなく、明智光秀の側から事件を描いた松竹映画『敵は本能寺にあり』(60)あたりが有名なところでしょうか。

一方、TVドラマでは「太閤記」(65)をはじめ「国盗り物語」(73)「おんな太閤記」(81)「徳川家康」(83)「信長 KING OF ZIPANG」(92)「秀吉」(96)「利家とまつ」(02)「功名が辻」(06)などなどなど、戦国時代を描いた大河ドラマで本能寺の変は定番のエピソードです(そういえば昨年の「真田丸」は、逆にあっさりした描写で意表をついてましたね)。

異色なのは岡本喜八監督のテレビ大型時代劇スペシャル「太閤記」(87)。

ここでは何と織田信長(松方弘樹)と明智光秀(千葉真一)が燃えさかる本能寺の中でチャンバラを始めるという粋のよさで、まるで『魔界転生』(81)のクライマックスでも見ているかのような高揚感でした。

最近は、やはり明智光秀を主人公にした「敵は本能寺にあり」(07)や、「明智光秀~神に愛されなかった男~」(07)のようなTVスペシャル時代劇も目立つところです。

ちなみに、晩年の織田信長は糖尿病を患っていて神経障害の症状があったことが史料に記されており、信長が何かと光秀を虐待し続けたのはそのせいではないかという説もあります。

つまり、信長が糖尿病に侵されていなかったら、日本の歴史は大きく変わっていたかもしれないということですね。

千葉真一もしんちゃんも有村架純もみんな戦国時代にタイムスリップ!

さてさて、そんな戦国乱世にタイムスリップしてしまう映画の代表格といえば、やはり斎藤光正監督の『戦国自衛隊』(79)でしょう。

戦国自衛隊

しかしこの作品、半村良の原作は主人公の自衛隊隊長・伊庭がいつしか織田信長と同じ運命を歩んでいくのに対し(つまりタイムスリップした彼こそが歴史上の人物・織田信長として後世まで語られることになっていく!)、映画版では歴史を狂わすことを時は断じて許さないとばかりに、武田信玄率いる3万の ̄軍との激戦に勝利するもほとんどの武器弾薬をなくした伊庭(千葉真一)ら自衛隊員たちは、盟友でもあった長尾景虎の裏切りによって抹殺されてしまいます(また、このときの舞台が荒れ寺で、これがラストで燃えさかることで、どこか本能寺の変を彷彿させたりもしています)。

その後、戦国時代にタイムスリップして織田信長になり代わった自衛隊隊長と、彼らの歴史の介入を阻止すべくタイムリープしてきた別の自衛隊とが対峙する手塚昌明監督『戦国自衛隊1549』(05)や、関ケ原の戦いを舞台にしたTVドラマ「戦国自衛隊 関ヶ原の戦い」(06)といった新たな発想の作品も制作されています。

戦国自衛隊1549

人気「クレヨンしんちゃん」シリーズもタイムスリップ・ネタはいっぱいありますが、原恵一監督の『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』(02)はその名のごとくしんちゃん一家が戦国時代にタイムスリップし、争いの悲劇に直面するというシリーズの中でも異色の話題作で、これを原作に山崎貴監督の実写映画『BALLAD 名もなき恋のうた』(09)が制作されたほどです。

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今をときめく有村架純がブレイク前に主演した『ギャルバサラ―戦国時代は圏外です―』(11)は、名古屋の高校生たちがタイムスリップしてしまい、まだ岐阜城に居を構えていた頃の織田信長と出会うという、コミカルSF青春映画テイストで、監督が「マジスカ学園」の佐藤太なだけに、篠田麻里子など当時のAKBグループの面々も多数出演。信長には、これまた時代劇スターの大御所・ ̄松方弘樹が扮していました。

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実写映画化を強く望みたい『時空の旅人』

さて、そんな戦国タイムスリップ映画の系譜の中、『本能寺ホテル』よりも先にタイムスリップと本能寺をかけあわせた作品があります。眉村卓の小説「とらえられたスクールバス」(映画化に際して映画タイトルに改題)を原作にした真崎守監督のアニメ映画『時空(とき)の旅人』(86)。

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竹内まりやの主題歌が当時は大ヒットしたことでも知られるこの快作、実は今回もっとも強く訴えておきたい作品です。

『時空の旅人』は、高校生たちが乗るマイクロバスに突如として謎の少年が乗り込んできたことで、東京大空襲時の1945年にタイムスリップ。

そしてどんどんバスは時を遡っていき、ついには本能寺の変直前の時代へ行きつくのです。

この作品の中で語られる本能寺の変の真実は、見る者すべてを驚かせることでしょう。

アニメ映画の実写化が盛んな昨今ではありますが、なぜこの作品が未だに実写化されないのか不思議に思うほどの面白さです。

ここはひとつ声を大にして、『時空の旅人』を実写映画化してくれ! と叫びつつ、今回は終わらせていただきます。

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(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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