読み物としてもアートとしても最高!パンフレット版『トイレのピエタ』の歩き方

最近、映画『トイレのピエタ』の事ばかり書いている編集部公式ライターの大場ミミコです。だって大好きなんだもん、『トイレのピエタ』…。

・「感想をシェアして完結する映画」…笑って泣ける感動作『トイレのピエタ』を観た感想を松永監督に伝えてみた

・RADWIMPS 野田洋次郎がすべて英語で!『トイレのピエタ』日本外国特派員協会での記者会見レポート

そんなある日、松竹の担当者さんからこんな冊子が送られてきました。

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6月6日の公開と同時に販売される“劇場用プログラム”(通称;パンフレット)です。

ピエタ愛をあちこちで熱弁する筆者を見た担当者さんが「そんなに好きなら」と、1冊プレゼントして下さったのです。ああ、なんという粋な計らいなのでしょう !

映画の世界をそのまま再現した、美しいパンフレット

さて、まず表紙を見てみましょう。プールを泳ぐ金魚の群れとオーバーラップするように、主人公の宏と真衣が何かを見つめて立っています。彼らが見つめる先には何があるのでしょうか。すぐそこに迫った死?それとも暗闇で見つけた一縷の光?

映画のワンシーンをそのまま切り取ったようなグラフィックは、美しさと同時に今にも動き出しそうな生々しさも湛えています。そう感じた途端、表紙の中の2人の目線が自分に向けられているような気になりました。「これ、あんたの話だからね」って。

さらにページをめくると、表紙より鮮やかな色調の金魚が自由に泳ぎ回るビジュアルと、厳かなピエタの写真が見開きで並んでいます。この対比も、何かの象徴なのでしょうか。色々と深読みしながらページをめくる、楽しい時間は続きます。

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やっぱり、自然の中がベストなシチュエーション

突然ですが、映画『トイレのピエタ』の中で、筆者が大大大好きなシーンがあります。それは、余命という時限爆弾を抱えた宏が、生まれ故郷の大自然に抱かれ『威風堂々(エルガー作曲の行進曲)』を鼻歌で奏でる場面です。
生死を超えた『宇宙の理(ことわり)』に彼が触れたことを表したシーンですが、そのロケーションは“自然”の中でなければ説得力がないと思いました。

私たち個人はとても小さな存在に思えますが、その1つでも欠けたら、宇宙の均衡が破られてしまうほど大きな力を持っているのだと思います。そんな超バランスの上に、我々のの生命は成り立っているのです。

普段の生活ではなかなか想像しにくいですが、死を目前にした宏は自然と一体化することで、宇宙の全貌を理解してしまったのかもしれません。松永監督は、宏に『威風堂々』を泣きながら歌わせることで、自然の摂理への敬服と帰依を、そして「死=無」という恐れからの解放を表したかったのではないかと勝手に思っています。

そんな大好きなシーンにあやかろうと、ある晴れた日の昼下がりに件のパンフレットを連れて、自然の中へと足を踏み入れることにしました。宇宙の理とまでは行かなくとも、自然の息吹が筆者に何かしら気づきを与えてくれるかもしれませんし、何よりこの素晴らしいパンフレットは、やはり自然が良く似合うのではないかと直感したからです。

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ということで、こんな感じに相成りました。頭上に青空、背面に森林、片手にビール(笑)。
目論み通り、パンフレットと自然の相性はかなり良好でした。

野田洋次郎が紡ぐ主題歌『ピクニック』に涙する

映画のパンフレットというと、スタッフおよびキャストのインタビュー、あらすじや制作秘話などで構成されるのが一般的です。しかし『トイレのピエタ』のパンフレットには、他では見られないスペシャルなページが用意されていました。

それは主役の宏を演じたRADWIMPSのヴォーカル・野田洋次郎さんが、この映画のために書き下ろした主題歌『ピクニック』の歌詞全文です。野田さんが宏になり切って書いたというこの曲には、人生最期の夏に現れた、まだ世の中を上手に歩く術を知らない不器用な少女・真衣への思いが溢れています。

いびつな2つの魂は、互いに名前を呼び合うこともないまま、しかし確実にお互いの心に爪痕を残します。恋でも友情でもない、宏にしか解り得ない玉虫色の気持ちを、シンプルかつリリカルに表現するあたりは野田さんの真骨頂です。

読んだだけでウルッと来てしまう、野田さんワールド炸裂の楽曲『ピクニック』。RADWIMPSのファンはもちろん、映画を観た全ての方…いや、映画を観ていない方にもぜひ読んでいただきたい芸術作品です。

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パンフレットには、夜明けを待つ都会の風景をバックに、希望の光を表す黄色の文字で歌詞の全文がしたためられています。映画『トイレのピエタ』、そしてテーマソング『ピクニック』が放つメッセージに、ぴったり合ったページとなっています。

野田洋次郎と杉咲花が秘話を語り尽くす

主題歌『ピクニック』以外にも、パンフレットにはお宝情報や心ときめくメッセージがたくさん載っています。撮影の裏話やスタッフの熱い思いがたっぷり詰まっているので、映画を観る前、もしくは観た後に、ぜひパンフレットに目を通してみて下さいね。

パンフに書かれた背景や経緯を知ることで、作品を身近に感じることができますし、共感や感動のメーターもグッと上がります。ということで、今回は特別に、少しだけですがパンフレットの内容を紹介させていただきますね。

例えば野田さんのインタビュー。宏役のオファーが来た時のことを、次のように語っています。

「(宏は)僕自身が通ってきた人生とか思考にとても近いものがあって、彼の心情が手に取るように理解できた。〈中略〉 これほどシンクロナイズすることってあるんだと驚いて、運命めいたものを感じました」

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他にも、音楽一本でやってきた野田さんが俳優にチャレンジすることになった理由や、初めて演技をした時の苦労話などが書かれています。

一方、真衣を演じた杉咲さんは、撮影&オーディションの話や共演者とのエピソードを語っています。個人的には「なぜ真衣と宏は惹かれ合ったのか?」という問いに対する杉咲さんの答えがお見事で、このような視点を持つ若き才能に、ただただ驚くばかりでした。
現在17歳の杉咲花さん。今後の活躍が楽しみですね。

「嘘の感情はつまらない」リアルを追求する松永監督

そもそもの話になりますが、こうして筆者が『トイレのピエタ』という映画やパンフについて記事が書けるのも、松永大司監督の存在があったからです。松永監督が手塚治虫さんの日記に出会わなかったら、映画人を志さなかったら、映画『トイレのピエタ』はこの世に存在しませんでした。

言わば、作品の生みの親であり心臓部でもある松永監督ですが、パンフレットではアイデアが膨らんでいく過程やキャスティング、演出で心掛けたことについて語っています。中でも筆者の心を強く打ったのは、

「劇映画だから嘘の感情があるってのはつまらない。台詞やシーンよりも、そこに本当にある感情を見せたい」

という、ドキュメンタリー出身の監督らしい文面でした。嘘が嫌い、そしてピュアな監督のお人柄が垣間見えるインタビュー記事は、映画を観終わった後に読むことでさらにシンパシーを感じることができるでしょう。

錚々たるバイプレイヤーが揃い踏み

そして、パンフレットの中でも一番のお楽しみが『キャスト』のページです。脇を固める俳優さんのプロフィールや過去の出演作品などが紹介されています。

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大竹しのぶさん、岩松了さん、宮沢りえさん、リリー・フランキーさんなど、実力派の俳優さんが多くキャスティングされているのも、映画『トイレのピエタ』の大きな特長です。
このようなベテラン俳優の方々が、演技初挑戦の野田さんや主役初体験の杉咲さんの中に眠っている表情や感情を引き出して、作品に昇華させたのかもしれません。

中でも、窓拭き会社の先輩・田中を演じる森下能幸さんのプロフィールは圧巻です。
名前だけ見ると「誰?」と思われるかもしれませんが、顔を見たら「あ〜、この俳優さんかぁ」と膝を叩く方も多いはずです。そのくらい、多くの映画やドラマ、CMなどに出演されている売れっ子名優さんなのです。

あのハリウッド作品にも?この有名ドラマにも?…その活躍の幅広さと量に、きっと皆さんも驚かれることでしょう。ぜひパンフレットを見て、自分が観たことのある映画やドラマに森下さんが出演していたか確認してみてくださいね。

映画とパンフレットは、人生の水先案内役

時には美しい映像で、時には登場人物の口を借りて、観る者に“生きるヒント”を与えてくれる『トイレのピエタ』。その映画の生き写しのようなパンフレットは、今後の貴方の人生にも、ドンピシャなタイミングで適切なアドバイスを与えてくれるでしょう。

個人的な話になりますが、いま記事を書いている「シネマズ」のお仕事を引き受ける際、臆病風に吹かれて二の足を踏んでしまいました。かつては脚本家の卵として下積んでいた筆者ですが、10年前に主婦になって以来、文章や映画と無縁な日々を送ってきました。私なんかにこんな大役が務まるのだろうか…。

記事を書こうと、当時の資料が入った箱を押し入れから引っ張りだすと、何やら冊子が床に落ちました。それは『アイデン&ティティ』という映画のパンフレットでした。内容などは割愛しますが、当時の自分を主人公に重ねて泣きに泣いたという、私の人生において必要な映画でもありました。

あれから12年。久しぶりに『アイデン&ティティ』のパンフレットを開いたところ、こんな言葉が目に飛び込んできました。

「やらなきゃならないことをやるだけさ。
だからうまくいくんだよ」

筆者はこの言葉に勇気をもらい、今こうして記事を書くことが出来ています。12年の時を経ましたが、このパンフレットが筆者を救ってくれました。その人にとって最善のタイミングで、最高の言葉を送ってくれる…そんな力が、映画のパンフレットには宿っていると筆者は思うのです。

パンフを使ってハッピーになろう

『トイレのピエタ』という映画は、人間の生き死にの先にある、命という偉大なエネルギーの片鱗を見せてくれる奇跡的な作品です。もし、この映画を観て一瞬でも心が震えたなら、パンフレットを買って手元に置いて下さい。

毎朝開いて、目に飛び込んできた言葉をおみくじ感覚で楽しむも良し、人生で困った時や壁にぶつかった時に開いて見るも良し、わざと隠して自然に出てくるタイミングで格言を得るも良し…。
貴方の心に響いた映画、そしてそのアバターであるパンフレットは、貴方の人生をきっと幸せな方向に導いてくれることでしょう。

読み物としてもアートとしても二重丸な『トイレのピエタ』の劇場用パンフレット。珠玉の言葉が詰まったこの冊子は、映画の公開である2015年6月6日、各劇場にて販売開始です。ぜひ手に取ってご覧下さいませ!!

(文:大場ミミコ)

(C) 2015「トイレのピエタ」製作委員会

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    ライタープロフィール

    大場ミミコ

    大場ミミコ

    小学生の息子を持つ主婦ライター。美大卒業後、ストーリー漫画家を目指してシナリオ学校の門を叩く。その後10年ほど、映画・ドラマ・コミック原作などのプロットやコンペ原稿などの下積みを経験し、出産を機に引退。現役中は、お金を浮かせるために飯田橋ギンレイ、早稲田松竹などの名画座に通う傍ら、フリーペーパーなどのシネマコラムも執筆する。好きな映画は「真夜中のカーボーイ」「アメリカン・ビューティ」「チョコレート・ドーナツ」など、切ない&救いのない系の作品。一方、「ウェインズワールド」「プロデューサーズ」などのおバカコメディも大好物♡好きな俳優は佐藤健、好きな監督は中島哲也、内田けんじ。

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