『仮面ライダー剣(ブレイド)』悩めるヒーローの克服劇が爽快!【篠宮暁の特撮辞典・第17回】

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【オジンオズボーン・篠宮暁の特撮辞典】

“人間の弱さ”が徹底的に描かれる

昭和のヒーローが完全無欠の絶対的な存在だったことを否定するところから始めた、平成「仮面ライダー」シリーズ。

弱さとは無縁だったヒーローでしたが、『仮面ライダー剣(ブレイド)』では、人間の弱さが徹底的に描かれています。

第3話

「ブレイド」に変身する剣崎一真(椿隆之)は、人類基盤史研究所「BOARD」に所属する会社員。物語の冒頭は、“アンデッド”というモンスターをカードに封印し、給料をもらう、職業ライダーとして活動しています。

嫉妬、逃避…ヒーローらしくない葛藤

第10話

その剣崎よりも一足先に「BOARD」に所属し、仮面ライダーギャレンとして活動していた橘朔也(天野浩成)という人物がいるのですが、この人がとにかく弱い。

才能ある剣崎に嫉妬したり、好きな女に日々の苦しみを慰めてもらったり、挙句の果てには心の弱さのせいで変身に耐えられない体になり、“アンデッド”につけこまれて言いなりになったり。

そのさまは腹立たしくさえあります。

しかし、そのヒーローらしくない橘の悩みは特別なものではなく、自分もしょっちゅう直面する悩みでもあるので、橘に感情移入してしまい、いつの間にか応援するようになりました。

橘はある悲劇をきっかけに立ち直り、一気にヒーローらしくなるのですが、そのシーンは自分の悩みが解決したかのような爽快感。橘に対して、一緒に苦しみを味わった戦友のような気持ちになったのを憶えています。

ムカつきの連続…それが爽快感に!?

第13話

橘が立ち直ったかと思えば、また弱い人間が現れます。

仮面ライダーレンゲルに変身する上城睦月(北条隆博)です。

元々は気の弱い高校生だったんですが、過去のトラウマのせいで“アンデッド”につけこまれ、ブレイドの前に立ちはだかります。

気の弱い人間が大きな力を手に入れてしまうことほど、タチの悪いものはありません。とにかくムカつきます。

平成「仮面ライダー」シリーズには、とにかくムカつくやつがよく現れます。でもムカつけばムカつくほど、同時に楽しんでる自分もいるんで不思議です。

物語の終盤、睦月はいろんな人の助けを借りて“アンデッド”の呪縛を解きます。ムカついた分だけ、このシーンで一気に爽快感を得られます。

睦月を苦しめた“アンデッド”を倒すシーンは、よほど気持ちよかったのか、僕の中で平成「仮面ライダー」シリーズ名シーンのTOP10にランクインしています。

第42話

他にも、“アンデッド”が人間の心を持ってしまった苦悩や、人類が滅ぶという事実を前にどう行動するか葛藤する剣崎の姿など、見所はたくさんあるんですが、僕はこの弱さを持つライダー達の克服劇を楽しむことをオススメします。

見ないとスタッフさんに無礼ドよ。

ちなみに、橘を演じた天野浩成さんは雛形あきこさんの旦那様。剣道の腕前は段持ちなんですが、橘が変身するギャレンは剣でなく銃を使います。

(文:オジンオズボーン・篠宮暁)

※この記事は、WEBサイト「WB」にて以前連載していたものを、再編集したものです

以前の記事はこちらから

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