『となりの怪物くん』菅田将暉と土屋太鳳が最高過ぎる!雫の現在の職業とは?

(C)2018映画「となりの怪物くん」製作委員会 (C)ろびこ/講談社 

講談社の『月刊デザート』で2008〜2014年に連載された同名人気漫画を、菅田将暉と土屋太鳳主演で映画化した話題作『となりの怪物くん』が、4月27日から全国公開された。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』や、同じく人気漫画を映画化した『ママレード・ボーイ』と同日公開となった本作は、既に2012年にテレビ東京系列でTVアニメ化もされているほどの人気作。だが、今回の監督が昨年『君の膵臓をたべたい』でも原作からの見事なアレンジを見せた月川翔監督なだけに、この主演の二人を使ってどんな内容に仕上げているのか?かなりの期待を持って鑑賞に臨んだ本作。

予告編の印象からは、ここ数年の日本映画の流行である、漫画原作による青春恋愛映画の様に思える本作だが、果たしてその出来はどうだったのか?

ストーリー

行動予測不能な超問題児で“怪物”と呼ばれる春(菅田将暉)と、ガリ勉&冷血の雫(土屋太鳳)は、高校1年生の4月、雫が不登校の春の家に嫌々プリントを届けに行ったことがきっかけで出会う。

それ以来、春は雫を勝手に“初めての友達”に認定し、さらに唐突に「シズクが好き」と告白。はじめは無関心だった雫だが、やがて春の本当の人柄に触れ、次第に心惹かれていく。そして春と雫の周りには、夏目(池田エライザ)、大島(浜辺美波)、ササヤン(佐野岳)ら、いつしか個性豊かな友達が増えていった。そして、春のライバル・ヤマケン(山田裕貴)の登場により、初めての三角関係も巻き起こり、二人の世界が変わっていく。

そんなある日、春の兄・優山(古川雄輝)が春のもとに現れたことがきっかけで、春は絶縁状態だった父親の元へ突如連れ戻されることになり、雫の前からも姿を消してしまう。

春が“怪物”になった、その真実が明らかになったとき、春と雫の恋の行方は−−−?

(公式サイトより)

予告編

月川翔監督による見事なアレンジは、今回も大成功!

昨年公開された『君の膵臓を食べたい』でも、原作とはまったく違う、成長した主人公たちの回想として物語が進む見事なアレンジで、映画独自の作品として高評価を得た月川翔監督。それだけに今回も、鑑賞前から期待値のハードルはかなり上がっていたのだが・・・。 

いや、実は今回もその期待は裏切られなかった!
映画の冒頭に登場する大人になった雫が、仲間たちとの高校生活を回想する形で物語が進行するという月川翔監督ならではのアレンジが、今回も見事に成功していたからだ。

果たして、この現在の雫の状況がこれから語られる過去の出来事とどう関係するのか?既にこの冒頭部分だけで観客の興味が最後まで持続する上に、こうした回想形式を取ることにより、春の人間離れした暴れっぷりで始まる展開が、過去の思い出として多少オーバーに描かれているのかも?と、原作を未見の観客にも無理なく受け入れられるのが実に上手いのだ。

個人的には、冒頭から展開する漫画的なアクションとコミカルな雰囲気から、台湾青春映画の傑作『私の少女時代』を思い出してしまったのだが、物語が進むにつれて徐々に主人公二人の心の闇と、幼少期のトラウマが描かれる展開に、「これは普通の青春恋愛映画じゃないのでは?」と、観客も次第に気付かされることになる。

今回の映画版では、雫が原作やアニメ版よりも若干大人っぽくリードする側であり、むしろ春の方が子供の様に無邪気で純粋な存在として描かれている。そのため、幼い頃に母親との関係に恵まれなかった雫が、一種の母性本能から春に惹かれ接近する過程が、観客にも自然に受け入れられやすくなるのだ。

もちろん、こうした月川翔監督の演出やアレンジだけでなく、それに応えて見事にキャラクターに命を吹き込んだ出演キャスト陣の素晴らしい演技が、本作成功の重要な要因となっているのは言うまでもない。

ただ、全13巻に渡る長編コミックスを100分の上映時間に収めるためには、やはり登場人物を削ったり、彼らの背景やエピソードを省略しなければならないため、その辺が気になる方にはどうしても辛口の意見が多く見られるようだ。原作との細かい違いが見られる本作の中でも、その外見も含めて一番違っているのは委員長である大島千づるのキャラクターだろう。しかし、これも演じる浜辺美波の演技力によって、映画独自のキャラクターとして実に魅力的にアレンジされているので、ご安心を!

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雫の母親の職業と、現在の雫の関係とは?

映画の冒頭で登場する雫は、既に高校を卒業した社会人として描かれている。当然ながら高校時代の仲間たちも、それぞれ社会人として生活していることが描かれるのだが、実は本編中では誰がどんな職業に就いているかの、具体的説明は一切無かったりする。

同時に、雫が子供の頃から忙しくてすれ違いを続けている母親の職業についても、本編中では一切の説明が無い。だが、原作を読むとこの両者の職業的関係性には、実は大きな意味があることが分かる。そう、雫があれほど周りの物を犠牲にして勉強していた理由にも、実はこの部分が大きく関係しているのだ。

映画の冒頭、一瞬雫の顔がアップになるシーンで判別出来る様に、実は現在の雫の左胸に付いているのは弁護士のバッチであり、雫の母親の職業も同じ弁護士なのだ。母親と同じ職業に就くために、あらゆる物を犠牲にして勉強に励んで来た雫の夢が叶った、とも受け取れるこの描写。それと同時に、あれほど深い溝があった雫と母親との関係性も、恐らく元の親子関係に戻ったであろうことが、、このバッチ一つで示唆される点も実に上手い!

前述した通り、最近の作品としては短い上映時間の部類に入る本作。だが、想像以上に多くの情報量が含まれているにも関わらず、こうした月川監督の細やかな演出のおかげで、観客に慌ただしさや詰め込みすぎ感を感じさせない点にも、是非注目して頂ければと思う。

(C)2018映画「となりの怪物くん」製作委員会 (C)ろびこ/講談社 

とにかく主演二人と、出演キャスト陣がみんな適役!

今回の映画版では、原作の序盤に顕著だった春の凶暴性や言葉使いの乱暴さが押さえられ、その子供の様な純粋さを前面に出すことで、彼の高い学力とあまりに自由過ぎる行動や感情表現とのギャップの面白さが強調されている。

対して雫の方も、他人に興味の無い冷たい性格の部分や、幼い頃に自分の感情を殺すことを覚えてしまった悲しさが強く描かれており、映画版ではむしろ春によって雫の方が、感情と人を信じる気持ちを取り戻す過程が描かれることになる。実はその他のサブキャラにも、トラウマを抱えながら生きている者が多い本作。そのため、過去の忌まわしい経験の呪縛から人が如何にして解き放たれるか?を描く人間ドラマとして、単なる学園物や青春恋愛物には終わらない作品に仕上がっているのが素晴らしい!

冒頭でも触れた通り、本作の出演キャストはどれもみんな適役で素晴らしいのだが、中でも主演の二人は、コメディから人間ドラマまで多彩に演じ分ける演技派だけに、原作を未読の観客でも一発でこの二人が大好きになる効果を作品にもたらしている。

春を演じる菅田将暉は、今回その外見も含めて正に原作のキャラクターとして適役としか言いようがなく、映画後半で春の過去が判明してからのシリアスな展開も、前半とのギャップを感じさせることなく演じ分けているのが見事!

そして何と言っても本作の見所となるのが、雫役の土屋太鳳の演技だ。小学生にして既に人生に期待することを止めてしまった彼女の心の闇を見事に表現する。その無感情な表情も素晴らしいのだが、春との出会いと別れによって次第に感情を取り戻す彼女が見せるその笑顔も、実にまた魅力的なのだ。彼女の実年齢の関係もあってか、確かに原作よりもかなり大人っぽい雫ではあるのだが、そこが逆に映画の冒頭で登場する現在の雫の姿に説得力を与えているので、今回の映画版オリジナルの展開には正に適役だったと言えるだろう。

その他にも、報われない恋に悩む池田エライザの安定の可愛さや、雫を3年間陰から見守る山田裕貴の誠実さなど、有望な若手俳優陣の演技が存分に楽しめる本作。既に社会人となった大人の方にこそ、是非劇場でご覧頂きたい作品なので、全力でオススメします!

(C)2018映画「となりの怪物くん」製作委員会 (C)ろびこ/講談社 

最後に

本作の印象的な宣伝コピー、「この怪物に出会うまで、私たちはみんな独りだった」が象徴する様に、今まで接点の無かった雫たちが、春という一種の触媒によって偶然出会い、徐々に絆を深めながらもやがて卒業の時を迎えて、それぞれの新たな人生への旅立ちの時を迎える本作のラストは実にせつない。

貴重な青春時代のある期間を、春という怪物と過ごしたその経験が、卒業後の彼らの人生をどれだけ実り多いものにしているかが分かるエンドクレジットまで、既に大人となってしまった観客にも、高校時代の青春の思い出を蘇らせてくれる本作。

人間は自分と異なる存在と出会うことで初めて成長し、自身の世界を広げることが出来る。そんな人生の真理を教えてくれる映画こそ、この「となりの怪物くん」だと言えるだろう。

実は今回はスケジュールの関係で、一番近い郊外のTOHOシネマズでの鑑賞となった本作。もちろん、普段もそれほど混雑しない映画館ではあるのだが、それにしても鑑賞した回の観客が自分を含めて5人だったのには、正直驚いた。

冒頭でも触れた通り、確かに『アベンジャーズ・インフィニティ・ウォー』や、『ママレード・ボーイ』と同日公開という点を差し引いても、これはあまりに残念な結果であり、実際、公開初週の週末観客動員数ランキングでは初登場6位となっている本作。もちろん、映画の興行成績が作品の出来とイコールではないし、主演二人や脇を固める若手俳優陣の見事な演技、そしてなにより月川翔監督の演出力と見事なアレンジは、充分劇場に足を運ぶ価値があると断言出来る。

くれぐれも人気漫画の映画化という先入観や偏見に惑わされることなく、一見青春恋愛物に見えながら、実はその奥底に流れる家族というものへの強い想いを感じ取って頂くためにも、是非一人でも多くの観客に劇場へ足を運んで頂ければと思う。

(文:滝口アキラ)

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    ライタープロフィール

    滝口アキラ

    滝口アキラ

    滝口アキラ 映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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