『トイ・ストーリー4』完結の“その先”を描けた「5つ」の理由

2:映像表現もここにきて3DCGアニメできる頂点に!
それは物語とも不可分の要素だ!

『トイ・ストーリー4』は映像表現としての進化も特筆に値します。続編が作られるごとに技術が発達し、それに伴って新たな表現が可能になっているため、『トイ・ストーリー』シリーズはそのまま3DCG技術の進歩を示していると言っても過言ではないでしょう。1作目から24年の時を経た今回は、もはやアニメーションという媒体でできる表現の、最高レベルまで到達していました。

例えば、1作目では画面に映る“液体”、“激しい爆発”、“人間の長い髪”の表現はありませんでした。ロケットから出る排気ガスはかろうじて表現できたものの、当時の技術で描写できなかったことは極力避けられていたのです。4年後の『トイ・ストーリー2』ではさらにスケールの大きくなったアクションが展開した上に人間の描写のリアルさも増し、それから11年後の『トイ・ストーリー3』ではぬいぐるみのモサモサした毛並みや、それが“雨に濡れた時の質感”までもを表現しきっていました。

それからさらに9年後の今回の『トイ・ストーリー4』でまず圧巻なのは、“豪雨”のシーンから始まるということでしょう。その大量の水滴の1つ1つが圧倒的なリアリティを持って描かれているだけでも驚異的なのに、おもちゃたちが濡れた時の質感の“本物”ぶりには鳥肌が立つほど圧倒されました。その映像表現は、雨によってできた濁流に“飲み込まれてしまうかもしれない”という恐怖にもつながっているのです。

そして中盤からは、何万点のもアイテムが並ぶアンティークショップと、昼には多数のカラフルな遊具施設を一目で見渡すことができ夜には煌びやかなライト(その数なんと3万個!)があちこちに点灯する移動遊園地という、2つの舞台が中心となり展開していきます。どちらも細かな部品や、床や壁の材質の質感まで、あらゆる方向から尋常ではないこだわりを感じさせるでしょう。

重要なのは、こうした技術の進歩により可能になった、しかもディテールをとことん突き詰めた映像表現が、物語とも不可分であるということです。冒頭の豪雨のシーンはおもちゃたちの途轍もない悲しみと恐怖を表現するために不可欠でしたし(映画における雨は登場人物の“涙”を指していることが多くあります)、今ままでのシリーズになかった移動遊園地の楽しさ、アンティークショップの美しさは、世界の広がりや、別の価値観や可能性という、物語でもっとも重要なことも映像として提示していたのですから(これについては後述します)。

そもそも、1作目『トイ・ストーリー』の時点で“世界初の長編フル3DCGアニメ映画”ということが、“おもちゃが見ていないところで生きて動いている”物語を語る上で重要でした。もしも、これが2Dで描かれた平面のキャラだったとすると、彼らが現実にあるおもちゃと同一だとは納得しにくかったでしょう。日ごろから触れているおもちゃが、3Dのそのままの見た目で、まさに生きて動いている(これこそ“アニメーション”)ように見えるということ……『トイ・ストーリー』シリーズはそれぞれで目指すべき表現と技術が一致しており、続編が作られるごとに技術の発達を踏まえた表現に挑戦し、その全てが物語上と不可分になっているという……アニメおよび映画史を塗り替えたと断言できる偉大な功績が、このシリーズにはあると断言していいでしょう。

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