『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士』シリーズ折り返し点に突入!ここからどうなる?

©西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト 2202 製作委員会

現在、東京・丸の内ピカデリーにて爆音映画祭が開催中ですが、1月20日は『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』シリーズの前半にあたる4作品がオールナイト上映。

爆音の迫力もさることながら、1月27日から全国で上映される最新作『第四章・天命篇』を一足早く見られるということで、馳せ参じた次第ですが、やはりシリーズを一気に通して見ていくと、初見では気づかなかった部分なども含めて非常に新鮮な想いで鑑賞することができました……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.284》

ということで今回はシリーズ前半部の総括と、後半部展開を予想していきましょう!

アニメーション・ブームを巻き起こした
オリジナル『ヤマト』シリーズ

まず、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』シリーズに入る前に、その大元となった『宇宙戦艦ヤマト』オリジナル・シリーズについて、ざっと振り返ってみましょう。

もともと『宇宙戦艦ヤマト』は1974年10月から翌75年3月まで放映されたSFアニメTVシリーズです。

西暦2199年の未来、突如侵攻してきたガミラス帝国との激戦の果て、滅亡の危機に陥った地球を救うべく、はるか彼方のイスカンダル星までコスモクリーナーを受け取りに沖田十三艦長率いる宇宙戦艦ヤマトが旅をするという、いわば宇宙のロード・ムービーとでもいった内容。

初回放映の視聴率こそ振るいませんでしたが(何せ当時の裏番組が『アルプスの少女ハイジ』だったのです!)、その後の再放送で徐々に人気を得るようになり、1977年の夏に総集編映画『宇宙戦艦ヤマト』を公開したところ、これが思わぬ大ヒットとなり、日本中にアニメーション・ブームをもたらすことになりました。

翌78年夏には続編『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』を公開したところ、ちょうど『スター・ウォーズ』(77)の日本上陸に伴うSFブームと重なっていたことも功を奏し、日本代表SF映画として前作以上の大ヒットとなり、国産アニメーション・ブームを揺るぎないところにまでもっていったのです。

この後のシリーズの大まかな流れは、以下の通りです。

『宇宙戦艦ヤマト2』(TVシリーズ/78年秋~79年春/79年秋には総集編も放映)

『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』(TVムービー〔後に劇場公開もされた〕/79年〔81年に劇場公開もされた〕)

『ヤマトよ永遠に』(映画/80年)

『宇宙戦艦ヤマトⅢ』(TVシリーズ/80年秋~81年春/83年に総集編も放映)

『宇宙戦艦ヤマト完結編』(映画/83年春公開の35ミリ版や、同年秋公開の70ミリ版など複数のバージョンあり)

『宇宙戦艦ヤマト復活篇』(映画/2009年の劇場公開版と2011年のディレクターズカット版、結末の異なる2バージョンあり)

ちなみに『復活篇』は3部作構想の第1弾で、その続きが待望されるところでもあります。
(実は95年からOVA『YAMATO2520』シリーズがスタートしていますが、こちらも第3巻で製作が中断され、現在も未完のままとなっています)

ここで重要なのは、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』では、ラストで主人公の古代進とその恋人・森雪を乗せたヤマトが、特攻という究極の自己犠牲をもって地球を救います。

つまり、『さらば』で一度シリーズは完結しているのです。

ところがその直後の『さらば』のリメイク的内容で製作されたTVシリーズ『宇宙戦艦ヤマト2』では、ヤマトも、古代はもとよりメインのクルーの大半も生還してしまったのでした!

これによってシリーズはパラレルワールド的に分岐されてしまったのです。

(さらに申しますと、映画第1作も初公開版と1年後のTV放映版はクライマックスの内容が異なり、現在は後者が正編とされています)

©西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト 2202 製作委員会

21世紀にヤマトを再発進させた
『宇宙戦艦ヤマト2199』シリーズ

さて、こうしたシリーズの中、ヤマトを新たに蘇らせようということでスタートしたのが『宇宙戦艦ヤマト2199』シリーズです。

ストーリーはオリジナルのTVシリーズ第1作を基軸としつつ、長い宇宙の航海の中、艦内クルーの反乱事件やら、敵のガミラス帝国内でもクーデターが勃発するなど新たな要素をまぶしながらドラマは進行していきます。

総監督の出渕裕をはじめスタッフの大半は子どもの頃にオリジナルシリーズを見ていた世代なので、オリジナルの長所を活かしつつ、21世紀にリニューアルされたヤマトの構築に腐心しているのが大いにうかがえる野心作となりました。

『宇宙戦艦ヤマト2199』シリーズは、まず全26話分のエピソードを全7章に分けた映画として2012年に劇場上映し、同時にDVD&ブルーレイを販売。そして翌13年からそれらをTVシリーズとして放映。

さらにその後、シリーズ総集編映画『宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海』(14)が、そしてヤマトがイスカンダルから地球に帰還する途中のエピソードを描いた映画『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』(14)がそれぞれ劇場公開されています。

そして今回の『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』シリーズは『2199』の続編として、映画『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』およびTV『宇宙戦艦ヤマト2』で描かれたガトランティス帝国との激戦を新たな構想で描いていきます。

そうなると、旧来のファンがもっとも気になるのは、果たして今回のラストは『さらば』と『2』、どちらになるのか? ということです。

『2199』の時点で加えられたオリジナルとは異なる新しい設定の数々も、今回はどう発展していくのか?

また『さらば』も『2』も前作ラストから1年後の2201年、見事に復興を成した地球を舞台にしていましたが、さすがにたった1年で復興とは早すぎるのでは? ということで今回は2002年に変更されています。

監督は『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』のメカニック演出を担当(そのディレクターズカット版ではディレクターを務めた)、『2199』にも画コンテや演出で参加した羽原信義。

そして脚本に『機動戦士ガンダムUC』シリーズなどでも著名の小説家・福井晴敏を迎えていますが、これがヤマトとガンダムの融合なるか? といった按配でファンの期待を高めることにもなっています。

©西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト 2202 製作委員会

『さらば』とも『2』とも異なる
『宇宙戦艦ヤマト2202』の魅力

では、これまで公開されてきた『2202』シリーズを振り返ってみましょう

基本的な形式は『2199』と同じで、26ほどのエピソードを全7章の映画として公開し、同時にDVD&ブルーレイソフトを発売(おそらくシリーズ完結後にTV放映もされることでしょう)。

『第一章・嚆矢篇』では冒頭いきなり敵の帝星ガトランティスの大帝ズォーダー大帝が「愛」を説き始めます。なかなか意表を突いた出だしですが、ここで説かれる「愛」の本質が、後に『第三章・純愛篇』の大きなカギとなっていきます。

一方、地球連邦政府はオリジナル版とは異なり、ガミラス帝国と和平条約を結び、共存しながら復興を進めています(ただし、ガミラスの総統デスラーは行方不明のままです)。

そして地球連邦政府は波動砲艦隊計画に基づき、新鋭艦アンドロメダを量産し、軍備拡大を推進しています。

オリジナルの『さらば』や『2』では、早々と復興を成し遂げて平和ボケに陥った地球を古代進らヤマト・クルーが嘆いてましたが、今回は軍拡化していく地球を憂い、不安視しています(このあたり、どことなく現代的な解釈にも思えますね)。

『2199』ではヤマトの必殺兵器・波動砲は危険な武器であるとみなされ、二度と使用しないという約束をイスカンダルのスターシャとかわしており、これが『2202』では後々の大きな障害に繋がっていくのですが、そんな中で波動砲を備えたアンドロメダの量産は、既にスターシャとの約束をほごにしたものと捉えられるでしょう

また、どうして短期間の間にアンドロメダを量産できるのかといった謎の驚異的真相は『第二章・発進篇』で解き明かされます。

『発進篇』では、宇宙の危機を告げるテレザート星のテレサのメッセージを受け取り、地球政府の制止を振り切って再び宇宙へ旅立つヤマト・クルーが描かれますが、ここで面白いのは、ヤマトのゆく手をアンドロメダが阻むくだりです。

このエピソードは『宇宙戦艦ヤマト2』でも描かれたものですが、このときのアンドロメダ艦長は、映画『さらば宇宙戦艦ヤマト』で二代目ヤマト艦長を務めていた土方竜でした(このときの改変も当時議論を呼びました)。

しかし今回の艦長は、映画『ヤマトよ永遠に』で三代目ヤマト艦長を務めた山南修なのです。

正直『ヤマトよ永遠に』ではさほど見せ場がなく、ただ戦死する際に「部品の一つが壊れただけだ」の名言を残した山南が、ここではキャラクターデザインも一新され、一見飄々とした風貌の中にペシミズムを漂わせた猛者として登場し、見事にヤマトと対峙するシーンは今回のシリーズ全体の中でも名シーンといってもいいでしょう。

しかし、では今回の土方竜はどうなっているのか? といいますと、彼は波動砲艦隊計画に反対したことで第十一番惑星に左遷させられています。

そしてこの惑星にガトランティスが襲来し、ヤマトが生存者の救助に向かってガトランティスとの戦いを始めるところから『第三章・純愛篇』がスタートします。

『純愛篇』ではヤマトによる第十一番惑星生存者救出ミッションを中心に、艦長代理としての重責に苦しむ古代とその恋人・森雪の純愛が描かれていきますが、古代の前に突如敵ズォーダーのイメージが現れます。
(彼はテレサのメッセージを受け取った者たちに興味があったようです)
そして「愛」があるからこそ人は争うのだという(かつてタモリは「愛さえなければ世界は平和」の名言を吐きましたが、それと似てますね)世の心理を説き、そこで古代に試練を与えます。

正直に申して、このあたりの展開はドラマとしてかなり破綻していて、実際『純愛篇』はファンの間でも賛否両論真っ二つに割れてしまっています。

ただ、個人的な意見としましては、ヤマト・シリーズにはドラマを犠牲にしてでもメッセージを訴えようとする傾向が昔からずっとあるので、私などはちょっとそのあたりが懐かしく思えたりもして、決して嫌な感じは受けませんでした。むしろヤマトらしいなあとほっこりしてしまったほどです。

また『純愛篇』では土方が救出され、ヤマトに乗り込み、一瞬ではありますが戦闘の士気を司ります(ここで土方が波動砲を発射させるときの「沖田、借りるぞ!」も名言! 彼は沖田の親友という設定でもあるのです)。

実は私、ヤマト・シリーズの中でもっとも好きな登場人物がこの土方さんでして、特に『さらば』では沖田十三という偉大なるヤマト初代艦長の後を受け、敗北の屈辱を知りつつも二代目艦長の任を見事に果たしていく勇将ぶりは涙を禁じ得ないものがありました(だからこそ『2』でのアンドロメダ艦長への設定変更が当時は許せなかった!)。

『純愛篇』での彼はまだ二代目艦長就任要請を断り、あくまでも古代の後見人として立ち回る意思を固めたようですが、それが最新作『第四章・天命篇』ではどうなっていくのか?

また『発進篇』ではガミラスの、『純愛篇』ではガトランティスのスパイがヤマトに乗艦してしまいますが、彼らの目的は? これまた『天命篇』では、彼らの新たな真相のいくつかが明かされていきます。

そして『天命篇』では、なんといっても、あの行方不明となっていたガミラス帝国のデスラー総統が遂に登場し、再びヤマトとあいまみえていくのが最大のお楽しみではあるでしょう。

もっとも今回、シリーズの折り返し点として興味深いのは、オリジナルの設定を基軸にしつつ、かなりの『2202』独自の設定が加えられていることです。

このあたりはネタバレになるので書けませんが、正直見続けていくごとにびっくりすることばかり。

『天命篇』の後半はテレザート星に到着したヤマトと、彼らを迎え撃つガトランティスの激戦がクライマックスとなり、それ自体はオリジナルと同じですが、ここでのメカや兵器などにも大いに注目でしょう。

そしてラストまで見終えたとき、場内では「マジかよ⁉」の観客の声が漏れ響きました。

そう、マジに驚くほどの事態が起きてしまっています。

実は私自身も、『2202』のラストは当初『さらば』か『2』のどちらになるのかといったところが最大の興味ではあったのですが、ここに至り、もはやそんなレベルでこの作品は語れなくなってしまったほどの独自性を痛感させられるとともに、今後もまったく予想だにつかない展開が大いに期待できそうです。

論より証拠、ぜひ『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第四章・天命篇』をご覧になってみてください。

旧シリーズを見て育った世代も、初めてヤマトに触れる新世代も、あっと驚くこと必至でしょう。

(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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