インタビュー

2015年10月02日

引き継がれた物語を描く、劇場アニメ『屍者の帝国』完成披露舞台挨拶

引き継がれた物語を描く、劇場アニメ『屍者の帝国』完成披露舞台挨拶


監督が苦しかった胸の内を吐露


続いて“改めて映画を見て、どうでしたか?”という質問。

細谷「伊藤計劃先生と円城塔先生にワトソンとフライデーの関係性を重ねて観たというか、円城先生の個人的な思いや気持ちが反映されているのかなと感じました。そう思うとキャラクターのセリフもより突き刺さってくる。1回じゃ足りない、何度も観たい作品だと思います」

村瀬「収録しているときから音声の技術が本当にすごいと思っていて。普通だと入らないような微かな息づかいを録音した時に、ちゃんと録れているのかなと思っていたんですけど、モニタールームで確認させていただいたらリアルに音が録れていて。CDなどの2次元的な音と違って、立体的な音が感じられるので劇場で観ることに意味があると思いました」

花澤「SFものって普段あまり読まないので、行ったり来たりしながら原作を読んでいたんですが、そんなにも濃い物語をこの時間にまとめたというのがすごいと思いました。ナレーションで世界感がすぐわかるし、わかりやくまとまっていて、とにかくすごいなって。そういうのは、監督は最初の段階から立ち会って一緒にやっているんですよね?」

と、ここで花澤さんから逆に質問が飛び出しました。

sub


牧原監督は「脚本は2年くらいかけてやったんですが、テキストが多いので全部入らないんですね。だから脚本化というのは、何が一番大事なのかを突き詰めるための作業ですね。最初に伊藤さんの残された序文みたいなものが60ページくらいあって、伊藤さんの言葉なので最初は絶対必要だと思っていたんですけど、そこは使ってないんですよ。伊藤さんと円城さんの関係性とか言葉を引き継ぐことが一番大事だと考えたときに、そこを外したんです。それはすごく怖かったです。作っているときはフライデーの言葉を信じて行動するワトソンのような気持ちでした。それが正しいかどうか返事をもらえないので、ひたすら辛い。誰か助けてという感じだった」と回答。
それに対して花澤さんは「お客さんの反応を見てちょっと安心されたんじゃないですか?」と返します。
「そうですね。本当にお客さんのところにたどり着くまでが長かった」と、牧原監督は作品が公開になるまでの苦悩を告白していました。

キャストから監督に質問攻め!


花澤さんからの質問の流れで、トークはキャストから監督への質問大会に。
「山澤さんの眉毛はなんであんなに太いんですか(笑)?」と花澤さんが質問すると、「日本男児たるものこうあるべきですよね。モデルがいるわけではなくて僕が好きな眉毛なんです(笑)。存在感を出したかった」と牧原監督は答えていました。

村瀬さんからも「監督が映像化において一番大切にしたものはなんですか?」と質問が。
「伊藤さんの残した言葉に円城さん自身も縛られて、それによって円城さんも変化していって救われるところもあってこの原作ができたと思うんです。それで、目に見えない言葉や存在しないものが自分をしばるというか、自分を変えるというのがすごく不思議だな、と。そこが核なのかなと思ってやっていました」という回答に「それを聞いて納得したんですけど、監督も細谷さんもワトソンなんだなって思います」と村瀬さん。

細谷さんも自身の演じたワトソンの言動についてある質問をしますが、監督の答えを聞いて、「“これは何の意味があるんだろう?”っていう疑問の答えになる選択肢がたくさんあるので、ぜひ皆さんにもまた劇場に足を運んでいただき、何度も観てほしいです。それが言いたかった!!」と言い切り、観るごとにいろんな解釈が生まれる今作の魅力をアピールしていました。

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

RANKING

SPONSORD

PICK UP!