映画コラム

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2016年03月03日

【急】上映館減少中!「ドラゴン・ブレイド」は真の意味でのアクション映画だから全映画ファンは見るべし!

【急】上映館減少中!「ドラゴン・ブレイド」は真の意味でのアクション映画だから全映画ファンは見るべし!

ジャッキー・チェンの最新作「ドラゴンブレイド」を自分が鑑賞したのは、公開後2週間が経過した地元のシネコン。既に1日1回のみの上映となっていたのだが、日曜日の午前9時代、一番小さいスクリーンでの上映にも関わらず、客席の半分近くが埋まっていたのに、まず驚かされた。それだけ既に観た人の口コミで、この作品の良さが伝わっているのだろう。


まず、結論から言おう。

この「ドラゴン・ブレイド」、確かにここ数年のジャッキー映画の中でも、文句なしの最高傑作だ!
特に、最近ジャッキー映画から足が遠のいているファンの方々にこそ、是非見て頂きたい作品だと言える。

ドラゴン・ブレイド


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実は、鑑賞前に非常に不安だったのが、「中国の歴史的世界に、ローマ軍や有名外国人俳優が登場して、果たして大丈夫なのか?」という点だった。確かに、いきなり登場したローマ軍に多少の戸惑いはあったものの、直ぐにその不安は消える事になった。

なぜならば、ジャッキー達の砦を攻めるローマ軍にも、彼らなりのやむを得ない事情と、重く悲しい過去がちゃんと設定されていたからだ。そして、それに呼応して語られる、ジャッキー自身の重く悲しい過去。

これにより、それまで戦いを好まず、争う者同士を話し合いで和解させようとしてきたジャッキーの行動に、抜群の説得力が加わる。やがて両者に芽生える人種と文化を超えた友情、そして迎える悲劇的な展開からの、感動的なラスト。これこそまさに映画の王道、エンタテインメントの基本中の基本を押さえた脚本ではないか。

こうした優れた脚本に答えるかの様に、出演俳優陣の演技が、どれもまた素晴らしい。特に、本作で見事な悪役振りを見せる、エイドリアン・ブロディの演技!己の名誉や出世・金だけのためでは無い、意外な彼の動機(ここは、是非とも劇場でご確認を!)。単純な悪役では無く、複雑で魅力あるキャラクターを見事に演じる彼が、まさかのカンフー映画&ジャッキーファンだったとは!

更には登場する女性キャラクター、そして脇役の一人一人に至るまで、全ての登場人物のキャラが立っている事も、特筆に価するだろう。そして、もちろん本作でのジャッキーの演技の素晴らしさと言ったら!自身の悲しい過去を抱えながら、シルクロードの民のために強大なローマ帝国に立ち向かうジャッキーの姿は、正に年輪を重ねて到達した「真の男の表情」だと言える。

昨年、「クリード」でスタローンの演技に感動した映画ファンなら、本作でのジャッキーの演技にも涙する事は保証付きだ!

もし仮にアクション映画を、「単にスクリーンの中で格闘したり、派手な爆発が起こる映画」という次元で捉えるのなら、確かに本作「ドラゴン・ブレイド」は、コアなジャッキー映画ファンにとっては、多少物足りないと感じるかも知れない。アジア市場向けに、過去のジャッキー映画的なコミカルなアクションシーンも登場するが、実は今回の見所はアクション以外のドラマ部分にあるからだ。

本作において、主人公を含む登場人物たちは、幾度と無く服従か反抗かの重大な選択を迫られる。その中で、理想と自身(民族)の誇りを守るため、敢えて不利で困難な選択枝を選んだ人々の、気高い行いを見る事で、我々観客の感情が動かされる(アクションする)。本作の様に、観客の感情を動かし、心まで動かしてこそ、真の意味でのアクション映画だと言えるのではないだろうか。

本作の重要なテーマとして、映画のラストにも象徴的に登場する、「敵を友とせよ」の言葉。そして、映画の中で描かれる「争いや人種の差別など無い、平和な世界への希望」。

それらはもちろん綺麗事だけでは実現出来ないし、そんなものが簡単に実現するはずもない。多大な犠牲と、時には悲しみや恨み、それらを乗り越えて共に未来に向かって協力して進もう、という本作に込められた明確なテーマと強いメッセージが伝わるからこそ、我々観客の心と感情は激しく動かされ、感動し涙するのだろう。

最後に、エンドクレジットに流れるNG集は、日本だけの特別バージョンである事をお伝えしておく。是非最後まで席を立たずに、NG集と共にエンドクレジットに流れる主題歌の歌詞も味わって頂きたい!映画館を出た時、あなたの周りの光景が以前と違って明るく見える筈だから。

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(文:滝口アキラ)

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