インタビュー

2017年05月17日

【超会議2017】中村獅童が舞台上で分身する!「超歌舞伎」でNTTが使った被写体抽出技術

【超会議2017】中村獅童が舞台上で分身する!「超歌舞伎」でNTTが使った被写体抽出技術



2017年4月29日・30日に千葉・幕張メッセで開催された「ニコニコ超会議2017」。

超会議ではたくさんの目玉イベントが行われ、とても2日間では回りきれないボリュームであることは先日のレポートでおわかりいただけたかと思います。

なかでも、中村獅童とヴァーチャルシンガーの初音ミクが同じ舞台上で共演する、超歌舞伎『花街詞合鏡(くるわことばあわせかがみ)』はたいへん盛況でした。




緊張感が漂うクライマックスは最大の見せ場。初音太夫に恋心を寄せる2人の男、八重垣紋三(中村獅童)と蔭山新右衛門(澤村國矢)の戦いは、最新の映像技術を用いたものでした。

なんと、両者の分身が舞台上に現れ、演者本人の動きをリアルタイムでそのまま真似するのです!




これには筆者はもちろん、会場にいるお客さんとネットで視聴したお客さんのすべてが驚いたことでしょう。

一体、どんな仕組みなのか。事前に収録しておいた映像を分身として投影しているだけだと思った方もいるかもしれませんが、実はそうではないんです。




これは作品のなかで、「電話屋」の屋号で呼ばれていたNTTが研究を進めている「リアルタイム被写体抽出技術」というもの。任意の場所で撮影しながら、別の場所に投影する最新の技術です。

舞台上にいる中村獅童さんと澤村國矢さんの動きをカメラで捉え、それを幅10メートル、高さ3メートルの透過型スクリーンにリアルタイムで映し出します。ほとんど遅延がなく、演者に連動して映像が同時に動くので、その技術の高さにビックリ! 下はスタッフが解説用のデモを行ってくれたときの写真です。







例えば、手前の舞台で中村獅童さんが飛び跳ねて刀を振りかざすと、それとまったく同じ姿を映像として奥の透過型スクリーンにリアルタイムで投影。このように分身的な表現が可能になったというわけ。




また、炎や光といったエフェクト効果は客席後方のエリアでスタッフがリアルタイムで処理し、シーンを盛り上げる演出を行っていました。




一方、音響では最新技術の「波面合成音響技術」を導入しています。

客席前方に設置した240台のスピーカーが異様な雰囲気を漂わせていましたが、通常のサラウンドでは難しい奥行き方向の音の表現を、この240台を制御することによって可能にした技術です。龍が飛んでくるシーンや雷のシーンでは、あたかもすぐ耳に近いところで音が鳴ってるように聞こえます。




ただ、この波面合成音響技術による最新の音響を体験できたお客さんは、非常に限定されます。スピーカーの影響する範囲、つまりアリーナ席の前方にいるせいぜい百数十人程度だったそうですので、体験できた人は幸運だったことでしょう!




筆者が見た回は、超歌舞伎『花街詞合鏡』の千秋楽です。たいへん混雑していたのでほぼ満席で、残念ながら2階席のサイド側と決して見やすい席ではありませんでしたが、八重垣紋三と初音太夫のやり取りには驚きましたし、八重垣紋三と蔭山新右衛門のバトルシーンでは手に汗を握りました。

重音テトが手紙を持ってくるシーンでは素直に「電話屋!」と叫びましたね。




今、こうして原稿を書くために超歌舞伎を振り返っていますが、あの面白かった数々の場面を思い出すと心拍数が上がります。ラストはまさか、中村獅童さんたちによる「千本桜」のライブパフォーマンス! これも超歌舞伎の楽しみ方なんですよね。本当に面白かった!

これはもう来年の新作に期待せざるを得ません。




(取材・文:アスカ)

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