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2023年09月18日

「VIVANT」最終回:【考察】いくつかの謎は残るものの、ベキの結末だけはタイトルの仏語訳が回収してくれている?

「VIVANT」最終回:【考察】いくつかの謎は残るものの、ベキの結末だけはタイトルの仏語訳が回収してくれている?


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ベールに包まれていた、日曜劇場「VIVANT(ヴィヴァン)」(TBS系)が2023年7月16日(日)より遂に始まった。
主役の丸菱商事の乃木憂助を演じるのは「半沢直樹」以来、3年ぶりの日曜劇場主演となる堺雅人。タイトルの「VIVANT」(ヴィヴァン)の謎に迫る。規格外のアドベンチャードラマの演出を務めるのは福澤克雄。共演は、阿部寛、二階堂ふみをはじめ、役所広司や二宮和也など”主演クラス”が名を連ねている。

本記事では、最終回をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。

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「VIVANT」最終回レビュー

敵か味方か、味方か敵か――。
意味深なキャッチフレーズではじまったドラマ「VIVANT」。

第1話を観た直後の感想は、「初回のスケールのまま最終回まで突っ走るのは無理だとは思うが…」だった。
しかし、息をのむストーリー展開、次々に登場する出演者たちの怪演に魅せられ、最後の最後まで楽しませてもらうことができた。

最終回を終えた今、「VIVANTロス」というよりも、「考察癖」が抜けない自分がいる。
視聴者と同様にいくつかの「なぜ?」は残っているが、これも製作者からの「置き土産」だと受け取り、しばらくは家族や仲間内で“答えのない考察”を楽しみたいと思う。

最初は主人公の乃木憂助(堺雅人)が勤める丸菱商事の誤送金からはじまった問題が、公安と別班、そしてテントという3つの組織の攻防戦を経て、最後は国と国の大きな問題へと発展。
物語の背景もさることながら、乃木という人物の変わりようと、彼を支えると登場人物たちの貫禄がこのドラマの魅力だった。


たとえばテントのリーダー、ノゴーン・ベキを演じた、役所広司。
最初は、極悪非道な人物に映っていたが、次第に愛情あふれる慈悲深い人間なんだということが視聴者の心にすっと入っていく。
カンヌ映画祭で最優秀男優賞を受賞したことが記憶に新しいので、その演技に注目していたが、筆者のような素人目にも「すごさ」が画面越しに伝わってきた。

次にこのドラマに欠かせない存在だったのが、阿部寛が演じた野崎だ。
野崎がいなくてはこのドラマは成立しなかったのではないだろうか。
彼の行動力、勘の鋭さ、周りを動かすカリスマ性があったから、乃木が頭の中で描いていた通りに展開していった。
この2人はこの先、立場上、友情関係になれるかどうかはわからないが、お互いにとって”特別な存在”になったことは確かだ。


最終回を見返すと、「すぐ日本に向かいます」と電話で野崎に伝えたところで2人の会話劇は終わっている。欲を言えば、この2人の最後のシーンをもう少し見せてほしかった。

ドラマが中盤に差し掛かると、「裏切者は誰だ?」という考察合戦が繰り広げられたのも、このドラマの特徴だ。
とくに素性がよくわからないドラム(富栄ドラム)が怪しいと思ったが、彼の公式グッズやLINEスタンプが発売されたあたりから裏切者ではないことを確信。(最後に裏切るような者のグッズなど販売しないだろうから)
最終回直前は、TBSが「ドラム祭り」を展開し、富栄が連日、愛くるしいキャラクターを懸命に演じてくれたことが印象に残っている。

主人公に“F”という別人格がいるという設定が最初からあったことも斬新だった。
このFと乃木が会話をすることで、自然と視聴者に説明をしているようなシーンが何度かあった。
同時に、主人公だけど「この人も怪しくない?」という不信感を観る側に与え、惑わすことにも成功しているように思う。
要するにFという存在はこのドラマにはとても好都合な存在で、最後の最後にも薫(二階堂ふみ)と抱き合っているところに登場し…
「おいおいおい、いいところ悪いけどよぉ、憂助!そろそろ見たほうがいいんじゃないの?置いてあるぞ!」
と、ストーリーテラーの役割をきっちり務めていた。


また、他国に比べるとそこまで馴染みのある国ではなかったモンゴルがずいぶん近い存在になり、その魅力も大いに感じることができた。

初回では憎たらしくてたまらなかった、バルカ警察のチンギス(Barslkhagva Batbold)が孤児院出身という設定には無理矢理感が否めなかったが、最後にベキに土下座をしているシーンは胸アツで涙が出たし、広大な土地をベキとノコル(二宮和也)が馬で走るシーンや、砂嵐の中をラクダに揺られながら渡るシーンなどはやはり日本では撮影できないと思う。
モンゴルでのロケ、モンゴル人の役者とモンゴル語が飛び交うという異例の“モンゴルづくし”も私たち日本人の度肝を抜いたように思う。
要するにモンゴルという国の“スケール”もこのドラマの一翼を担っていたと言い切れる。

最終回を観終わって数時間が過ぎたが、なぜ乃木は黒須(松坂桃李)に刀を渡したのか? 丸菱商事は大損したままで終わりなのか? 薫と乃木はどうなる? など、考えればきりがない疑問はある。
しかし、最大の謎、「ベキは生きているのか?」という疑問の答えだけは、番組のタイトル「VIVANT」(フランス語で「生きている」)がすべて意味していると都合よく考え、おとなしく続編を待ちたいと思う。

あっという間の3か月間。
少し大げさかもしれないが、ドラマの存在があったから1週間を乗り切れた日もあった。
異次元の体験をさせてくれたドラマ「VIVANT」のキャスト・スタッフの方々に感謝と「お疲れ様でした」という言葉を心から贈りたい。

(文:駒子)

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