続・朝ドライフ

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2023年09月27日

「らんまん」理学博士になることを遠慮する万太郎は傲慢なのか<第128回>

「らんまん」理学博士になることを遠慮する万太郎は傲慢なのか<第128回>


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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。

「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。

ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第128回を紐解いていく。

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理学博士になったら図鑑が売れる

波多野(前原滉)万太郎(神木隆之介)に理学博士にならないかと勧めます。今なら、徳永(田中哲司)と波多野の推薦でなれるというのです。

ただ万太郎は、これまで大学に不義理をしてきたし、田邊(要潤)伊藤(落合モトキ)に並ぶのはおこがましいと遠慮します。

若い頃は、あんなに周囲に気遣いのない失礼な万太郎だったのに、すっかり謙虚。年をとって分別ができたのでしょうか。さんざん痛い目にあったので学習したとも言えます。

さらに万太郎は、20歳のときに誓った、植物図鑑を作ることをまだやり遂げてないので、理学博士になる資格はないと考えるのです。

が、波多野はそれを「傲慢」と言います。自分だけでここまで来たわけではない。「〜時代なのか摂理なのかそういうものに呼ばれてここにいるんだ」と波多野。波多野もまた、そのひとりと自覚しています。

栄誉とは、自分のためではなく、皆の代表でやるべきことーーそれもひじょうに困難なことを引き受けること。

寿恵子は万太郎が「勘違い」していると。理学博士になったら図鑑が売れるというのです。さすが寿恵子、しっかりしています。

万太郎が分別のある善人になっている分、寿恵子がちゃっかりしたところを担って、あまりにもいい話になり過ぎないように回避しました。

ついに理学博士になることを決意した万太郎は、寿恵子にスーツを仕立ててもらって、授与式で挨拶。スーツの胸ポケットに黄色の野の花を差しているのがおしゃれでした。

この花はなに?
これまで出てきた黄色い花は キンセイラン、キレンゲショウマ、マルバマンネングサなど。
マルバマンネングサは、makino の名前がついてますから、これがふさわしい気もしますが、ちょっと形状が違う気が……。SNSではオミナエシに似てるという声が多いようです。

徳永がすっかり老いてさらに貫禄がついています。結局、表面上は体制になびいたように見えて、心のなかはいい人でした。

ただ、いま、万太郎を正当に扱わないと世界から見識を疑われる、と波多野が言っていたので、それも少しはあったかもしれません。徳永は、清廉潔白な人などいないということを最も体現した人でした。

そもそも万太郎はマイペースではあったものの、前人未踏の偉業を行っていることは確かであり、それが世間の学歴主義や嫉妬などのせいで、不当な扱いをされていたことはおかしかったのです。

寿恵子は、理学博士になったら、万太郎の「名前が永遠に刻まれる」と喜びます。「永遠に刻まれる」。これ重要です。

万太郎は挨拶で、「あらゆる命には限りがある 植物にも人にも ほんじゃき 出会えたことが奇跡で 今生きることがいとおしゅうって しかたない」と、
寿恵子のほうを見ながら言います。これも重要です。

着々と布石を打っています。

今日も寿恵子は菜箸を落とします。年をとって手が動かなくなる病気とは何でしょうか。リューマチ?


(文:木俣冬)

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