「らんまん」図鑑にみんなの名前と感謝が載った<最終回>


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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。

「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。

ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、最終回を紐解いていく。

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スエコザサ

寿恵子「らんまんですね」

万太郎「らんまんじゃ」

タキ(松坂慶子)が亡くなったときに「らんまんじゃ」のセリフを使っていたので、もう使わないかなと思ったら、使用されました。やはり、〆はこれですよね。

寿恵子(浜辺美波)に見せるためにも図鑑づくりを急ぐ万太郎(神木隆之介)のもとに、綾(佐久間由衣)竹雄(志尊淳)が新酒を持って訪ねてきます。新酒の名はーー

輝峰。

綾が望んだように明るいお酒になって、槙野家、大絶賛。

そして、ついに槙野万太郎植物図鑑が完成。

万太郎は出来上がった図鑑を縁側でうとうとする寿恵子に見せます。

3206種もの植物が掲載された、分厚い立派な本です。

なによりすばらしいのは、巻頭に、この図鑑にこれまで万太郎の研究に関わった人たちの名前がずらりと掲載されていたことです。

手伝ってくれた藤丸(前原瑞樹)、波多野(前原滉)、丈之助(山脇辰哉)だけでなく、最終週に出てこなかった大窪(今野浩喜)や、亡くなった田邊(要潤)まで。

家族の名前も。

もちろん寿恵子の名も(ここに名前が載っていない人がいたらショックですけれど)。

寿恵子の好きなボタン、園子がみつけたヒメスミレ……
ページをめくるたびに思い出が鮮やかに蘇ります。

そして、最後に1ページ、急遽加えた、スエコザサ

万太郎が北海道講演の帰り立ち寄った仙台で発見した新種です。

葉に産毛が生えていてきれいな笹。以前、万太郎が寿恵子の寝顔を光に照らされた産毛までじっと観察していたことを思い出します。

自分の名前がつけられて「万ちゃんと永久に一緒に入られるんですね」と寿恵子は喜びます。そこに主題歌「愛の歌」の2番がかかってーー。

寿恵子は、第128回で万太郎が理学博士になったら「名前が永遠に刻まれる」と言っていたので、彼女の名前も永遠に刻まれてよかったです。

スエコザサだけカラーだったのは、一冊だけ特別に貼りつけたのでしょうか。

万太郎は寿恵子に「わしを照らしてくれた。すえちゃんがわしの命そのものじゃ」と感謝し、寿恵子は「万ちゃんこそ、わたしのお日さまでした」と、お互いが照らし合ってきたのです。ここで「愛の歌」のサビが重なって盛り上がりは最高潮に。ナイス編集。

寿恵子は、自分が死んでも、いつまでも泣かず、植物に会いに行ってくださいね、と言います。図鑑も、自分が絶対に作ってと言い続けてきたからかもしれないと心配していた寿恵子。

自分より植物とは思っていなかったところに、妻としての自信を感じます。そこがこのドラマの大事なところです。なかには、仕事に夢中で、妻は後回しで、資金づくりや家事を一切任されて……という不満を募らせる人もいるでしょう。が、寿恵子はそうではなかった。自分は愛されているとちゃんと信じていたのです。

寿恵子の死ははっきり描かないまま、ときが流れ、万太郎は今日も森へ植物に会いに来ています。そこに、声がして、若い頃の寿恵子の姿が……。

万太郎と寿恵子、ふたりは永遠に一緒。

まだ未知の植物があるかもしれない、探しに行こう、僕らの冒険はまだこれからも続くーーという少年漫画のような爽やかで、美しい最終回でした。

最後にいつも載らないスタッフクレジットをほぼ全員一気に流してくれたら史上最高の最終回だったのに。

(文:木俣冬)

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