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「大奥」第14話:仲間由紀恵の美しさでより怖さを増した“サイコパス治済”爆誕

NHKドラマ10「大奥」のシーズン2が2023年10月3日に放送開始となった。よしながふみの同名漫画を原作に、3代将軍・家光の時代から幕末・大政奉還に至るまで、若い男子のみが感染する奇病により男女の立場が逆転した江戸パラレルワールドを描く本作。シーズン2の前半「医療編」には、鈴木杏、村雨辰剛、松下奈緒、玉置玲央、仲間由紀恵ら豪華キャストが名を連ねる。

本記事では、第14話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。

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「大奥」第14話レビュー

田沼意次(松下奈緒)の失脚から数年後。亡き家治(高田夏帆)に代わって、治済(仲間由紀恵)の息子・家斉(中村蒼)が将軍職に就任した。3代・家光以来となる男将軍の誕生である。

NHKドラマ10「大奥」“医療編”の後半戦がスタートした。前回までとは雰囲気も登場人物もガラリと変わり、寂しく感じた人も多いのではないだろうか。

少し話は逸れるが、先日フジテレビの「大奥」が復活し、2024年1月期の木曜劇場枠で放送されることが発表された。こちらは、大奥を舞台に繰り広げられる女の闘いを描いた東映制作の時代劇シリーズで、よしながふみの漫画を原作にしているわけではない。

ただ人気シリーズなことには変わりなく、これまで何度も連ドラとスペシャルで放送されている。菅野美穂、松下由樹、藤原紀香、小池栄子といった名だたる女優陣が繰り広げる、毒を盛ることも厭わない激しい女のバトルに幼い頃の筆者は時折挟まれる官能的な場面に気まずさを覚えながら夢中になったものだ。その大奥に少し近しいものを感じるのが、医療編の後半戦である。

美男三千人の大奥は、美女三千人の大奥へ。幕府の悩みはもっぱら子が多過ぎること。出産という大仕事を担わねばならない女将軍にはある程度、子を作るのには限度があったものの、男将軍である家斉は種をつけるだけ(それも大変だが)なので限度がない。そのため家斉と側室の間には5年で11人の子が生まれ、財政を圧迫していた。

また、これだけ将軍の子をもうけた“御腹様”がいれば、誰が最も将軍から寵愛を受けているかどうかで揉めそうなもの。しかし、家斉の御台所である茂姫(蓮佛美沙子)が人格者であることから大奥の平和は保たれていた。茂姫の子と側室・お志賀の方(佐津川愛美)の子が同時期に亡くなるまでは。

治済が「お志賀はあなたに嫉妬していると思いますよ」と茂姫に釘を刺した直後、お志賀の方の子が風邪を拗らせて亡くなった。後を追うように茂姫の子も死亡。原因は同じく風邪だと思われたが、実際はお志賀の方から贈られてきたカステラに仕込まれている毒だった。

女優の久保田磨希が演じる毒味役の「美味でございます~」で有名なフジテレビ大奥でも、側室の子が毒殺される場面があるが、子を亡くした親の悲痛な叫びはあまりに辛くて見ていられない。また、「気に入らない者がいれば毒を盛ってしまえばいい」という前例が生まれてしまえば、みんなが疑心暗鬼に陥って大奥全体がギスギスとした雰囲気に包まれてしまう。だが、それが狙いだったのだ。治済の。

茂姫とお志賀の方を仲違いさせるため、双方の子に毒を盛ったのは治済だった。普通の人なら、その意味を考えてしまうはずだ。もしかしたら茂姫が大奥の女性たちから慕われているのが気に入らなかったのかもしれない。自分以上に大奥で権力を持たれてしまっては困るから。いや、そこまで深い意味など治済はきっと持ち合わせていないだろう。ただ暇を持て余していたから、人が嘆き悲しみ、ひいては憎み合う姿を余興として楽しもうとしたに過ぎない。

「世には人が悶え苦しむ様を楽しむ趣味のものもおるのじゃぞ」

治済の行いに気づいた茂姫から事情を聞き、にわかには信じられない家斉だったが、治済に楯突いたことで老中職を解任された定信(安達祐実)からそう言われてあることを思い出す。それは幼い頃、自分が怪我をしたせいで武女(佐藤江梨子)が治済に毒を飲まされた時のこと。あまりのショックで防衛機能が働き、家斉の記憶から消されていたのだろうが、その時たしかに治済は恍惚の表情を浮かべていた。

仲間由紀恵の美しさも相まって、治済は原作以上の恐ろしさを醸し出す。ちなみに源内(鈴木杏)を梅毒持ちの男に襲わせ、家治やその娘を毒で死に追いやった武女はこれ以上の殺生を拒み、隠居を願い出たことで治済に毒殺された。サイコパス以外の何者でもない。

前話に引き続き、地獄展開となった第14話で唯一の希望は家斉が赤面の人痘接種を再開すべく黒木(玉置玲央)の元を訪ねたこと。その行動は、ずっと母である治済に屈服してきた結果、自身の妻も子も守れなかった後悔から来るものである。

「男とて女を守れる世に変えたい」

源内と青沼(村雨辰剛)の唯一の心残りであった人痘接種の普及を、ようやく瞳に志を宿した家斉が担っていく。

(文:苫とり子)

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