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2023年11月07日

<大奥 Season2>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

<大奥 Season2>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

NHKドラマ10「大奥」のシーズン2が2023年10月3日に放送開始となった。

よしながふみの同名漫画を原作に、3代将軍・家光の時代から幕末・大政奉還に至るまで、若い男子のみが感染する奇病により男女の立場が逆転した江戸パラレルワールドを描く本作。シーズン2の前半「医療編」には、鈴木杏、村雨辰剛、松下奈緒、玉置玲央、仲間由紀恵、後半の「幕末編」では、古川雄大、愛希れいか、瀧内公美、岸井ゆきの、志田彩良、福士蒼汰ら豪華俳優がキャストに名を連ねる。

CINEMAS+では毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。

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もくじ

・第11話ストーリー&レビュー

・第12話ストーリー&レビュー

・第13話ストーリー&レビュー

・第14話ストーリー&レビュー

・第15話ストーリー&レビュー

・第16話ストーリー&レビュー

・第17話ストーリー&レビュー

・第18話ストーリー&レビュー

・第19話ストーリー&レビュー

・第20話ストーリー&レビュー

・第21話ストーリー&レビュー

・「大奥 Season2」作品情報

第11話ストーリー&レビュー

第11話のストーリー

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8代・吉宗公の薨去(こうきょ)よりおよそ20年の年月が流れ―平賀源内(鈴木杏)は、長崎・出島で蘭学の習得者探しに奔走していた。それは亡き吉宗公より「赤面疱瘡」の撲滅を託された田沼意次(松下奈緒)からの内命であった。源内はそこで蘭方医・吾作(村雨辰剛)と出会い、赤面疱瘡の解明に挑むため大奥入りを誘う。大奥入りを果たした吾作は名を青沼と改め、黒木(玉置玲央)の補佐のもと蘭学の講義を始めていくが…

第11話のレビュー

8代将軍・吉宗(冨永愛)が「この国は滅びぬ」と言い残し、この世を去ってから20年。相も変わらず世の中を脅かす流行病、赤面疱瘡と戦う人たちがいた。2023年1月期に放送されたNHKドラマ10「大奥」の待望の続編が開幕。記念すべき初回の放送で描かれるのは、吉宗の悲願が導いた運命の出会いである。

よしながふみの原作とは異なり、シーズン1の終盤に赤面疱瘡の撲滅に動き出した吉宗。薬種問屋・田嶋屋に婚いだ水野(中島裕翔)や町医者の小川笙船(片桐はいり)らの力を借り、赤面疱瘡に効く特効薬を探したが、結果は敗北に終わる。しかしながら、その思いは龍(當真あみ)、のちの老中・田沼意次(松下奈緒)に引き継がれた。

舞台は明和6年(1769年)の長崎・出島。田沼から内命を受けた本草学者・平賀源内(鈴木杏)が、大奥内での蘭方医学普及に努めてくれる蘭学の習得者探しに奔走していた。なぜ、蘭学なのか。日本の医学では赤面疱瘡に太刀打ちできないと知った吉宗たち先人が、異国の薬に解明の糸口を見出したからである。「吉宗編」と「医療編」の繋ぎ方が実に鮮やかだ。

そこで、源内に才覚を見出されたのが蘭医・吉雄耕牛(飯田基祐)の弟子である吾作(村雨辰剛)。血の繋がりがないにもかかわらず、耕牛が跡目を継がせようとしていたほど、吾作は弟子の中で最も蘭語と医術に優れていた。そんな吾作が大奥入りを決めたのは、オランダ人と丸山遊女の間に生まれた“合いの子(そこには、差別的意味を含む)”の自分を懇意にすることで周囲との間に対立を生んでいた耕牛を困らせたくなかったというのもある。ただ、それ以上に「ありがとうって言われたい」という源内のシンプルで根源的な願いに共鳴したからだ。

この「医療編」において大きな見どころとなっているのが、様々な違いを超えていく友情である。特に、女性で武家育ちの純日本人である源内と、男性で奉公人、さらには日本人とオランダ人の血を引く吾作は何もかもが違う。性格だって正反対で、飄々としていて早口でまくしたてるように喋る源内に対し、吾作は基本的に口調が穏やかで真面目。ただ、同じだったのはどちらも大事な家族を赤面疱瘡で亡くしていること。赤面に至っては男性のみ感染するが、身分や人種を問わず襲いかかってくるウイルスから人々を守り、感謝されたい(承認されたい)という欲求は共通している。

その一点のみで人と人が繋がり、同志となっていくのが「医療編」と言えよう。大奥入りを果たした吾作、改め青沼と黒木(玉置玲央)もそうである。青沼が大奥で受けるのは、心ない異人差別。当時はまだ異人を目にしたことのない日本人がほとんどだったのだから無理もないが、自分たちと風貌が異なる青沼に対して大奥の男たちはあけすけに拒否反応を示す。

源内が外で赤面疱瘡の解明に努める中、大奥で最初の味方となってくれるのが黒木だ。黒木は尊敬に値しない町医者の父が蘭学をかじっていたこともあり、医者も蘭学も嫌っていたが、風熱、今でいうインフルエンザに罹患した御半下の家臣たちを懸命に看病する青沼の姿を見て気持ちを改める。「病を治すのは患者自身の持つ体の力」という考え方は父親と青沼とで共通していたが、父親のはただの“怠慢”であるのに対し、青沼の方は“謙虚”さを表していた。

どんな薬も治療も万全ではないと理解しながらも、自分にできうる限りを尽くす。その目的が金銭ではなく、あくまでも感謝である点に黒木は感銘を受けた。医師、そして蘭学の習得者ということだけで浅ましいと決めつけていた黒木の偏見が解けた瞬間である。

一方の青沼にもまた、どこかで大奥の男たちは上の者に取り入るだけの浅慮な人間という偏見が少しもなかったかと言えばそうではないだろう。確かに黒木が「皆様が気になるのは、上様のお好みやどなたに取り入ればうまく過ごせるか」と語るようにそういう部分ももちろんあるが、それは彼らがこの大奥でずっと単なる“種馬”として扱われてきたからである。それ以外のことを望ませてもらえるような環境ではない。

しかし、蘭学を学び始めた黒木が青沼に「オランダ文字が上手」と褒められ、今までにはない笑顔を浮かべていたように、誰しもが承認欲求を持っている。青沼は大奥に入り、黒木と関わることによってそれを知った。5代徳川綱吉(仲里依紗)時代の大奥総取締・右衛門佐(山本耕史)の「生きるという事は、女と男という事は、ただ女の腹に種を付け、子孫を残し、家の血を繋いでいく事ではありますまい」という台詞を、今ここで再び思い出す。「医療編」は彼のその言葉を裏付けしていくようなエピソードとなるだろう。


※この記事は「大奥 Season2」の各話を1つにまとめたものです。

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