美少女はみんな『ホラーの天使』!そのワケとは!?

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(C)2016「ホラーの天使」製作委員会

11月26日より公開される映画『ホラーの天使』は、とある廃校を改造した撮影スタジオで起きる恐怖譚を描いた、タイトルに偽りのないホラー映画です。

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.178》

ところで、どうしてホラー映画には美少女がつきものなのでしょう?

旧校舎を改装したスタジオで起きる
怪現象を描く『ホラーの天使』

『ホラーの天使』では、映画の撮影に訪れたふたりの女優(葵わかな、恒松祐里)、ダンスレッスンに励む3人のアイドル(水谷果穂、矢倉楓子、藤田みりあ)、そしてネタ合わせのお笑いコンビが、それぞれスタジオに泊まり込み、やがて起きる恐怖に巻き込まれていき、さらにはそのひとつひとつの出来事が……⁉ といった内容です。

このスタジオ、実はかつて地下室に閉じ込められて、そのまま行方不明になった女子高生の噂があるのでした。

まあ、お笑いコンビのほうは藤原一裕(ライセンス)と草野イニといった男どもなので今回は置いといて(あと、竹中直人が本人役として冒頭に登場し、実際に体験した恐怖譚を語ってくれています)、やはり恐怖と対峙していく2+3の女の子たちに焦点を定めていきたいもの。

本作はフェイク・ドキュメンタリー形式で構成されており、そこでの少女たちの等身大の演技が功を奏し、特に前半から中盤にかけて彼女たちが怪事件に巻き込まれていく過程の臨場感はなかなかのものです。

また、その過程のさなか、次第に女の子同士の友情の裏に潜むドロドロとしたものまで露になっていき、いやはや、やはり女は怖いと、また違う意味で男性客をぞっとさせてくれるものがあります⁉

そして美少女たちの、

悲鳴!

悲鳴!!

悲鳴!!!

これこそ美少女を大挙出演させてのホラー映画の醍醐味でしょう!

しかし、どうしてホラー映画と美少女は、かくも相性が良いのでしょうか?

ホラーの天使 ht01

(C)2016「ホラーの天使」製作委員会

ホラー映画こそは
若手女優の登竜門!

洋の東西を問わず、昔からホラー映画にはなにがしかの美女や美少女が登場するもので、私個人は『東海道四谷怪談』や『怪猫亡霊屋敷』など新東宝の怪談映画にいつも登場する北沢典子のお姫様的な愛らしさにいつも目も心も奪われがちでした。

1970年代オカルト映画ブームの頃の『エクソシスト』のリンダ・ブレアや『ヘルハウス』のパメラ・フランクリン、『サスペリア』のジェシカ・ハーパーなど、忘れがたい女優はたくさんいます。

ただし、美少女ホラーというものをジャンル的に確立させたのは、大林宣彦監督の『HOUSE』のような気もしてなりません。7人の女の子たちが夏休みのバカンスで訪れた古屋敷に食べられてしまう(井戸とか布団とかピアノとか!)キッチュなダークファンタジーはアメリカでも大人気でブルーレイが発売されているほどです。

この後、80年代ビデオブームに乗せて、少女を主演に据えた低予算ホラー映画やオリジナルビデオが急増していきます。

特に『リング』でジャパニーズ・ホラー・ブ-ムが始まって以降、さまざまな若手女優やアイドルたちがホラー映画に登場していきます。

特にこういった流れの中、“キング・オブ・J・ホラー”の異名をとる鶴田法男監督は、『リング0』で仲間由紀恵、『予言』で堀北真希、『案山子』で柴咲コウ、『POV』で志田未来&川口春奈などなど、ブレイク直前の若手女優たちの魅力を引き出し続けています。

これら以外にも、菅野美穂、宮﨑あおい、深田恭子、波瑠、伊東美咲、栗山千明などなど、みんなホラー映画の洗礼を受け、女優としてステップアップしていった感があります。

つまりはホラー映画こそは若手女優の登竜門。

どうしてホラーと美少女の相性が良いのかは、学術的にいろんな説も出てきそうですが、特に思春期の不安定な少女たちの心理と、恐怖がもたらす不安との関連性なども指摘できそうです。

それにしても、このイケメン・ブームの中、どうして美少年ホラーなんてものがなかなか登場しないのか? このあたりにも少女と少年の性的な相違が影響しているのかもしれません……。

あ、でも最近は『トワイライト』シリーズがあるか。そのうち日本映画でも、その手のものが出てくるかもしれませんね。

『ホラーの天使』に関しては、やはり『くちびるに歌を』などが印象深い葵わかなの熱演が光りますが、アイドル3人組のパートもなかなかのもの。

この世で本当に怖いものは一体何なのか? それがよくわかる仕上がりになっています。

(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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