観る前に知っておきたい『アイアムアヒーロー』原作の魅力と映画の見どころ

アイアムアヒーロー 大泉洋
(C)映画「アイアムアヒーロー」製作委員会 (C)花沢健吾 / 小学館

いよいよ4月23日(土)に公開される未曾有のパニック・ムービー『アイアムアヒーロー』は、現在も週刊誌連載中の大ヒットコミックが原作。マンガでは珍しいゾンビものながら、精緻な状況・心理描写や、なさけなくて頼りない等身大のキャラクターの存在感が、圧倒的にリアルな世界観をつくりあげて大ヒットしています。

実写映画版はもちろん原作を読んでいなくても楽しめると思いますが、観る前に知っておけばもっともっと楽しめる、原作コミックの魅力に迫ってみたいと思います。

アイアムアヒーロー(1) (ビッグコミックス)

僕らのリアルな日常を唐突にぶち壊す「本当にあった(ような)ゾンビの話」

『アイアムアヒーロー』を無理やり一言で表すと「本当にあったゾンビの話」です。もちろんフィクションで実話ではないのだけれど、本当にある日突然、家族や仕事の同僚などのごく身近な人たちがゾンビになってしまう「ありえない!そんなのマンガか映画だけだよ!」っていうことが起こっちゃったような錯覚に陥るんです。

コミックス第1巻を読みはじめると、マンガ家アシスタントのダメ男が人生や恋愛に奮闘する生々しい物語が延々と続きます。作者の前作『ボーイズ・オン・ザ・ラン』がそういう作風でしたし、日常における何でもないような物語がとてもおもしろいので、淡々と描かれる平凡な日常

にもグイグイ引きこまれるんですね。

そしてだんだん物語の世界観に肌が馴染んできて、なんだか心地よさまで感じはじめた頃に、唐突に日常がぶっ壊れます!

昨日と同じ退屈な今日に、本当にゾンビがあらわれたかのような圧倒的なリアル!大切な人がゾンビになってしまったら、人はどういう反応をするのだろうか?ある日突然、仕事も社会も常識もぶっ飛んでしまったら、僕らは何を考え、何をするのか?

そういう、決して映画やマンガではない、絵空事ではないリアルな世界が『アイアムアヒーロー』の大きな魅力のひとつです。

ダメ男は、ピンチになればヒーローになれるのか?

主人公・鈴木英雄(35歳)は、うだつのあがらないマンガ家アシスタント。夜道を一人で歩くのにも怯え、アパートの玄関には何重ものロックを施し、灯りをつけたままでないと眠れないほどのチキン野郎。いちおう彼女はいるけど、人気マンガ家の元彼の話ばかりされてもバシッと叱ることもできない。

そんな英雄ですが、クレー射撃が趣味でショットガンを所有していたことから、ゾンビだらけの世界で一目置かれる存在になるんです。昨日までは世界の脇役だったのに、パニックに陥った世界では自分の価値が次第に大きくなっていく。いつもは引きこもってインターネット掲示板に群がっていたような、報われない現実を生きていた男たちも、社会や常識が崩壊したこの世界なら、自分たちも主役になれるんじゃないかと歪んだ希望を抱きはじめる。

今まで社会に虐げられてきた分、彼らの希望は憎悪に変わっていく。

現代の社会においては「報われないダメ男たち」は、崩壊した世界でヒーローになれるのか?一筋縄ではいかない花沢作品において、彼らがどうなるのかも見どころのひとつです。

キャラクターにはモデルがいる?キャスティングも大きな見どころ!

花沢健吾さんの作品の登場人物は、作者本人がモデルになっているようなところがあって、特に本作の鈴木英雄は顔かたちもご本人にそっくり。

他にも(筆者の主観ですが)、同僚のマンガ家アシスタントが三谷幸喜さんに似ていたり、タクシードライバーが温水洋一さんぽかったり、多くのキャラクターにモデルが見え隠れするので、そのへんを想像するのも楽しみのひとつ。花沢さんがイメージしたモデルと、実際の映画版で演じている役者さんを見比べてああだこうだ言うのも楽しいでしょう。

へタレな主人公・英雄を演じる大泉洋さん、ゾンビとのハーフになってしまう女子高生・比呂美を演じる有村架純さん、勝ち気で影のある看護師・藪を演じる長澤まさみさんの主要三人は本当にピッタリのキャスティングだと思います。

売れっ子マンガ家の中田を演じるラーメンズの片桐仁さんなんて、コミック版のモデルもこの人だったにちがいないと思わせるほどそっくりで、どういう感じになっているのか楽しみでしょうがない!

映画を先に見ても、原作を先に読んでも、どっちでもたっぷり楽しめると思いますよー!

著者関連記事

非モテ系男子のバイブル『ボーイズ・オン・ザ・ラン』でダメ男の輝きを見よ!

心がパッカーン!と開いちゃう「悟り」の映画3選

ワガママになるだけでみんなハッピーになる「寅さん幸福論」

人生に無駄があって何がいけない!!『スモーク』が教えてくれる無駄の中の宝物

完璧じゃないあなたにこそ魅力がある!アナ雪の「ありのままで」ってどういうこと?

他の記事も読む

(文:茅ヶ崎の竜さん

    ライタープロフィール

    茅ヶ崎の竜さん

    茅ヶ崎の竜さん

    「30代からの人生をもっと楽しむ!」ための情報を発信するフリーランスブロガー。中高時代は映画監督を目指すも、アメリカ留学直前に心変わりして挫折。「映画は失敗やしくじりもプラスに変えてくれる魔法の芸術」という言葉を胸に、あらゆるジャンルの映画を見ますが、「どんでん返し系」「家族モノ」「奮起して人生やり直す系」が特に大好物。アラフォーになってからは邦画に涙することも増えました。永遠の映画中年!

    ピックアップ

    関連記事

    新着記事

    言語を選択

    私と映画Vol.7 メニコン 田中英成社長
    金曜映画ナビ
    八雲ふみねの What a Fantastics!~映画にまつわるアレコレ~
    能條愛未の「乃木坂週刊映画」
    スペシャル 写真家『早田雄二』が撮影した銀幕の女神たち
    antenna

    人気記事ランキング

    シネマズ公式ライター

    • Yamazaki
    • 茅ヶ崎の竜さん
    • 葦見川和哉
    • 滝口アキラ
    • 朝井麻由美
    • 田下愛

    シネマズ公式チャンネル

    教えて goo

    情報提供元:教えて goo