韓国は大統領も、映画のヒットも大変!

今、韓国大統領が大変なことになっています。アメリカの大統領選挙の結果も大騒ぎですが、韓国ではそれが霞むほどの大騒ぎです。韓国政治の中の言葉で“現職大統領を裁けるのは次期大統領”という言葉がありますが、現職中に裁かれてしまいかねない状況です。

しかし、韓国大統領が悲惨な目に合うのはこれが初めてではないのです。

初代大統領イ・スンマン

映画『ブラザーフッド』で描かれた朝鮮戦争を経て就任した初代大統領のイ・スンマンは失脚して亡命、その後の2人目の大統領をクーデーターで引きずりおろした3人目の大統領がパク・チョンヒで今のパク大統領のお父さんです。
ブラザーフッド (字幕版)

バリバリの軍事政権下の独裁者ですが“漢江の奇跡”と言われる経済発展も進めた、功罪半ば、賛否両論な人で日本だと田中角栄みたいな存在でしょうか。

そして、そのパク・チョンヒも暗殺されてしまいました。この時期パク・チョンヒが政敵を潰そうとした話が映画化されたのが坂本順治監督の『KT』。暗殺事件をストレートに描いたのが『ユゴ 大統領有故』です。
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この後の軍事政権を引き継いだチョン・ドファン、ノ・テウの二人の大統領も『ペパーミント・キャンディー』『光州5・18』などで映画化された光州事件(民主化を求める市民に軍隊が出動して鎮圧、多数の死者を出した事件)の責任を問われて、退任後に死刑と無期懲役の刑を受けました(ともにどちらも恩赦で減刑)。

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純然たる民主化政権最初の大統領キム・ヨンサムと『KT』で描かれている通り、死の瀬戸際まで追い込まれた韓国民主化運動の星キム・デジュンの下で研鑚を積んだ人権派弁護士出身の9人目の大統領のノ・ムヒョン元大統領ですら、退任後は汚職で追及を受けて、最終的には捜査の最中で自ら命を絶ってしまいました。

このように大統領退任以後、幸せな生活を過ごせた韓国大統領経験者は実は少数派というような有様です。

そのノム・ヒョン大統領を人権は弁護士への転身のドラマを描いたのが映画『弁護人』です。
弁護人

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劇中ではソン・ウソクという主演と監督の名前を合体した名前で登場していますが、どこからどう見てもノ・ムヒョン大統領です。

主演は名優・ソン・ガンホ。韓国内ではほぼ外れなしの大ヒットメーカーで、自身の主演作品だけで通算一億人の動員を記録したほどです。

ちょっと凄すぎないか?韓国の映画のヒット度。

今年、日本では『君の名は。』が大ヒットして動員が1200万人を突破しました。単純計算でいえば日本国民の10人に一人が見た計算になりますね。ちなみに日本で一番の動員記録を誇るのは『千と千尋の神隠し』で2000万人を記録、これだと6人に一人の日本人が見た計算になります。

ところが、お隣の韓国映画のヒットの仕方はちょっとすごすぎます。ソン・ガンホ一人の主演作で1億人(韓国人口の約2倍!!)を動員したと書きましたが、人口5000万人の人口の国で1,000万人以上の動員を記録した映画が10本以上もあります。自国の映画の上映を保証する制度が国策としてあったりしますが、それにしてもびっくりです。

この映画「弁護人」も1000万人動員を一か月で突破しています。

一番ヒットした映画『バトル・オーシャン』は1700万人以上の動員を記録、こうなると3人に一人です。
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1000万人以上作品でも5人に一人の計算になるので『千と千尋の神隠し』を上回るクラスのヒット作となくなります。そんな映画が10本以上あるなんてちょっと考えられません。

作品の極端なヒット度合いで言ったら世界的に見ても韓国はかなり特殊な国です。

そんな韓国ですから「君の名は。」級(10人に一人)のヒット作はそれこそゴロゴロしています。韓国映画のエポックメイキング作と言われ600万人を動員して、歴代記録を大きく更新した『シュリ』は今や歴代ランキング40位以下というところまで落ちてしまいました。

ちょっと想像してみるとたぶん映画館で5人に一人(1000万人動員)が見ていたらソフトやTV放映などの二次・三次放映も含めると韓国の中で見ていない人はいないんじゃないでしょうか。

汚職の追及を受けて自殺した大統領の映画がそんな大ヒットを普通に記録する韓国映画事情に驚かされるばかりです。日本ではどうやっても起こり得ないことですねぇ…。

(文:村松健太郎)

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    村松健太郎

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    村松健太郎 脳梗塞と付き合いも10年目に入った映画文筆家。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在NCW配給部にて同制作部作品の配給・宣伝、イベント運営に携わる一方で各種記事を執筆。

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