映画コラム
今夜の金ローは「カリオストロの城」!見所をチェック!
今夜の金ローは「カリオストロの城」!見所をチェック!
『ルパン三世』がテレビ放送45年を迎えることを記念して、金曜ロードSHOW!にて『放送開始45年ルパン祭り』と題し3週連続でルパン映画が放送となります。
放送スケジュール
10月7日(金)「ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE」
10月14日(金)「ルパン三世 カリオストロの城」
10月21日(金)「ルパン三世 ルパンVS複製人間」
原作:モンキー・パンチ (C)TMS
今週金曜日は第二弾として『ルパン三世 カリオストロの城』が放送。宮崎駿が手がけたルパンで、演出などとてもこまかく、スピルバーグ監督などからも絶賛されている作品です。今回は作品の見どころを語っていきたいと思います。
原点回帰で緑ジャケット
ルパン三世といえば赤いジャケットだと思いますが、テレビのファーストシーズンは緑のジャケットでした。カリオストロは長編映画第二弾で、テレビシリーズの2と3の間に公開された映画です。しかし、2からはお馴染みの赤ジャケット。なぜそうなったかというと、1の制作に関わっていた宮崎駿は2のルパンが気に入らず「本物」と認めていなかったのです。だから「本物」の緑ジャケットを採用したということです。
それに合わせて時間軸も、2と3の間に公開されたものの、1と2の間の話になります。
演出の巧妙さ
光と影の演出がとてもわかりやすくて素晴らしい。例えば、ルパンが改めてクラリスの部屋へ忍び込むシーン。クラリスが立っている場所は月明かりで明るく照らされていますが、ルパンが立っているのは影。
カリオストロ大公が表舞台(光)で政治など司っていることに対して、敵であるカリオストロ伯爵は国の裏舞台(影)である暗殺や偽札作りなど犯罪部分を背負っています。結婚式の衣装ではそれがとても明確で、クラリスの衣装が純白なのに対し、伯爵の衣装は黒ずくめ。セリフでも「光と影が一つとなる時がきた」と顕著に表れています。ちなみに泥棒も影と認識しているから二人は一緒になれないというラストにも繋がっていたり。
またとても有名な演出では、序盤のクラリスがルパンを手当てするシーンで、手袋を脱いで水につけ、ハンカチ代わりにルパンの額に乗せるのですが、ルパンが気がついた時、手袋から指輪がでてきて、ルパンがクラリスの素性に気がつく……他にも、不二子が脱出しようとしたら、ルパンも地下から城へ戻ってきて……というものがあります。本作ではこのように偶然の積み重ねでストーリーが進んで行くようになっています。
最後のルパンとクラリスの「私も連れて行ってください」といったあとのルパンの数秒の葛藤は今見ても最高の演出です。
成熟したルパンがさらに大人になるための最終試練
同作はハードボイルドというよりは、少年の成長冒険活劇に近いスタイルですが、ルパンがクラリスの「おじさま」に徹するなど大人っぽさを全面に押し出しています。しかし、それでも過去に失敗したカリオストロのゴート札とケリをつけるため再び挑み、クラリスを助け出すことで、本当の意味で大人の男になったといえるでしょう。
ルパンとクラリスのやりとりはどれも好きです。特にお気に入りはクラリスが幽閉されている塔に忍び込んだときのルパンの「泥棒です、花嫁さん」「私の獲物は悪い魔法使いが高い塔の天辺にしまい込んだ宝物。どうかこの泥棒めに盗まれてやって下さい…」というセリフ。
ルパンのダンディズム、何度もご覧になっているかもしれませんが、地上波でやってるのでぜひ確認してください。
(文:波江智)
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