あなたも知ってる?耳と心に残る数々の映画名曲たちを振り返る

■「映画音楽の世界」


みなさん、こんにちは。

今週はアカデミー賞の発表が行われ、各部門話題性に事欠かずいつになく大きな盛り上がりを見せました。

そんなアカデミー賞の数ある部門の中に、「作曲賞」という部門がありますよね。作曲賞とは文字通りその映画のために作曲された音楽、劇伴を評価する部門で、ノミネートは当然その映画の作曲家本人が受けることになります。

劇伴(げきはん)、という言葉は映画好きの方から見ても普段あまり聞き慣れない単語だと思います。劇伴音楽をスコアとも呼び、主題歌・挿入歌を集めたコンピレーション盤に対し劇伴を収録したアルバムをスコアサウンドトラック、スコア盤と呼びます。

今回の「映画音楽の世界」は「映画本編に使われる音楽」から、このスコアについてご紹介したいと思います。

映画を縁の下から支えるオリジナルスコア


映画にとってスコアとは、映像では表現しきれない感情面をフォローしたり、映像と音楽をセットにすることで観客にその場面を印象付けるために用いられることが多く、映画の補足的な役割を果たしています。

補足と言っても、その影響は作品を構成する上で非常に重要で、例えば『スター・ウォーズ』や『ジョーズ』、日本では『ゴジラ』など、タイトルを聞いただけでテーマ曲が一緒に浮かぶほど、映画とは切っても切り離せない関係性を持っています。

その作曲スタイルは様々で、古くはクラシカルなオーケストラ演奏が、近年ではシンセサイザーやサンプリングなどの電子楽器が隆盛し、それぞれの時代を反映した作曲方法が多くの作曲家によって編み出されてきました。

それではここからは、みなさんもどこかでその音楽を聴いたことがあるのではないか、という人気の映画音楽作曲家を紹介していきましょう。

映画音楽界の重鎮、ジョン・ウィリアムズ


ジョン・ウィリアムズはもはや現代映画音楽の巨匠中の巨匠で、クリストファー・リーヴ主演の『スーパーマン』、『スター・ウォーズ』シリーズ、『ホーム・アローン』『ハリー・ポッターと賢者の石』等、書き出せばキリがないほど歴史に名を残す数々の名作映画の音楽を手掛けてきました。

そんな中でも特にスティーヴン・スピルバーグ監督とのコラボレーションは有名で、アカデミー作曲賞を受賞した『ジョーズ』を皮切りに『インディ・ジョーンズ』シリーズや『ジュラシック・パーク』など、誰もがそのフレーズを口ずさむことが出来る、耳に残りやすい音楽を生み続けています。

残念ながら健康上の理由から現在公開中のスピルバーグ監督の『ブリッジ・オブ・スパイ』は担当することができませんでしたが、『スター・ウォーズ フォースの覚醒』ではJ・J・エイブラムス監督からの指名により見事シリーズに復帰を果たし話題となりました。



また、最新作にはファンには嬉しいスピルバーグ監督とのタッグ復活による『THE BFG』が控えています。

西部劇にこの人あり。エンニオ・モリコーネ


エンニオ・モリコーネはマカロニウエスタン音楽と言えばこの人、と称されるほどのイタリア人作曲家で、ウィリアムズと肩を並べるほどの経歴の持ち主です。
『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』などを手掛け多くのファンを持ち、クェンティン・タランティーノ監督もその一人。今回『ヘイトフル・エイト』でようやく監督からの長年のラブコールが実り作曲を担当、そして今回、モリコーネ自身初となるアカデミー作曲賞の受賞となりました。



80年代にはジョン・カーペンター監督の『遊星からの物体X』でホラー作品にも挑戦し、異色のタッグながら実にシンプルなメロディで恐怖演出に拍車を掛けていました。実は日本作品にも縁があり、NHKの大河ドラマ、『武蔵 MUSASHI』の音楽も担当していました。

同じくイタリア人監督ジュゼッペ・トルナトーレ作品への登板が有名で、『ニュー・シネマ・パラダイス』のキャッチ―で感動的な音楽はモリコーネの代表作の一つでもあります。最新作はトルナトーレ監督の『La Corris pondenza』。

まさに職人技、ジェリー・ゴールドスミス


ジェリー・ゴールドスミス。ウィリアムズ、モリコーネを語るならばこの作曲家を外すわけにはいきません。残念ながら2004年に75歳で他界してしまいましたが、古参ながらゴールドスミスのスタイルは前衛的でもあり、電子音楽も積極的に取り入れた先駆者とも言えます。また担当作はアクションからホラーまでその振り幅はとても広く、多くの名曲を映画界に遺しました。

ゴールドスミスも力強くかつドラマチックなメロディを得意としていて、『猿の惑星』『ランボー』『グレムリン』『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』などで勇壮にオーケストラを鳴らすタイプでした。

かと思えば、『オーメン』や『エイリアン』といったホラー映画の傑作も手掛け、そんな人気作曲家でありながら、中にはモンスター映画としてカルト的な人気を誇る『リバイアサン』『ザ・グリード』までも担当するという心意気を見せてくれたりもする作曲家でありました。

また、自身がコンダクターとして指揮を担当するコンサートも実施、日本でも作曲家本人が来日を果たす数少ないコンサートとして人気を集めました。

その功績は没後十年以上経った今もリスペクトされ、ファンに愛され続けています。

さて今回はここで一旦区切りを付けまして、次回は映画音楽作曲家の中でも中堅から若手の人気作曲家、日本人作曲家を紹介していきたいと思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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(文・葦見川和哉)

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