ヴェネツィア国際映画祭、コンペティション部門19作品一挙紹介!!

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映画祭シーズンの秋。いよいよ、世界三大映画祭のひとつ第73回ヴェネツィア国際映画祭が8月31日から開幕する。

昨年はヴェネズエラ映画『FROM AFAR』が最高賞である金獅子賞に輝いたが、まだ日本公開がされていないので、あまりパッとしたイメージを持っていない人も少なくないだろう。しかし、遡ればアカデミー賞レースで好走した『レスラー』や『ブロークバック・マウンテン』が金獅子賞を獲得したり、2012年には『ザ・マスター』が主要部門を独占し、規定により最高賞はお預けとなったりと、日本人から見ても注目すべき作品が毎年登場している。

ちなみに、今年のヴェネツィア国際映画祭での日本勢は、アウト・オブ・コンペ部門でフルCGアニメ映画『GANTZ:O』が、オリゾンティ部門には妻夫木聡と満島ひかり共演の『愚行録』が上映されるのである。

残念ながら日本作品はエントリーしてはいないが、映画祭の華であるコンペティション部門で、世界各国から金獅子賞を争うために集まった強力な19作品を簡単に紹介していこうと思う。

アカデミー賞を狙う新進作家の意欲作

 デミアン・チャゼル『LA LA LAND』

まず今回の映画祭最大の注目作は、『セッション』で世界中を騒然とさせた、デミアン・チャゼル監督の最新作。LAを舞台にしたジャズピアニストと女優の恋模様をミュージカルで描く。日米ともに年内の公開が予定されており、来年春のアカデミー賞では主要部門でノミネートされる可能性も高い。オープニング作品を任されたここで、弾みをつけることができるだろうか。

 デレク・シアンフランス『THE LIGHT BETWEEN OCEANS』

『ブルー・バレンタイン』『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』で高い評価を得たシアンフランスが、マイケル・ファスベンダーを主演に、オスカーウィナーのアリシア・ヴィキャンデルとレイチェル・ワイズを迎え、ベストセラー小説を映画化。

 トム・フォード『NOCTURNAL ANIMALS』

ファッションデザイナーのフォードが、『シングルマン』以来7年ぶりに監督業にカムバック。エイミー・アダムス演じるアートギャラリーのオーナーが、ジェイク・ギレンホール演じる元夫の小説を受け取る。そこに書かれていた復讐の物語に脅威を感じるというスリラー映画。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ『ARRIVAL』

昨年『ボーダーライン』が高い評価を集めたヴィルヌーヴ。今やハリウッドの売れっ子監督まで成長した彼は、来年手がける『ブレードランナー』の続編を前に、本作でSF映画に挑戦。主演はこちらもエイミー・アダムス。オスカー受けしづらい題材ではあるが、ここで高い評価を得れば。

<若手作家を迎え撃つ大御所>

テレンス・マリック『VOYAGE OF TIME』

寡作だったフィルモグラフィはどこへやら。近年コンスタントに作品を発表し続けるマリックが、昨年のベルリンでお披露目された『Knight of Cups』以来の新作をここで披露。宇宙の誕生を描く教養ドキュメンタリーの本作は、IMAX版では40分ほどの短尺に。映画祭で上映されるのは、90分の通常版。

 アンドレイ・コンチャロフスキー『PARADISE』

アンドレイ・タルコフスキー作品の脚本家として活躍し、弟のニキータ・ミハルコフとともにロシア映画界を牽引する大御所。2002年に『Dom durakov』で審査員大賞、一昨年には『白夜と配達人』で銀獅子賞を獲得しているヴェネツィアの場で、悲願の金獅子賞を狙う。

エミール・クストリッツァ『ON THE MILKY ROAD』

名作『アンダーグラウンド』でカンヌのパルムドール、『アリゾナ・ドリーム』でベルリン銀熊賞。そしてこのヴェネツィアでは『黒猫・白猫』で監督賞を受賞し、すでに三大映画祭を我が物にしている名匠が、またしてもヴェネツィアを狙う。9年ぶりの長編劇映画となる今回は、モニカ・ベルッチを主演に迎えた、戦火のラブストーリーのようだ。

ヴィム・ヴェンダース『THE BEAUTIFUL DAYS OF ARANJUEZ』

70歳を超えても精力的に活動を続けるドイツの重鎮。昨年の『Every Thing Will Be Fine』に続いて本作も3Dの劇映画とのことで、ベテラン監督の中で彼ほど積極的に新しい技術を取り入れる存在はいないだろう。このヴェネツィアは、『ことの次第』で金獅子賞を獲得しており、今回のコンペで唯一の受賞経験者である。

<映画祭を賑わす中堅たち>

フランソワ・オゾン『FRANTZ』

現代フランスを代表する個性派監督が、『しあわせの雨傘』以来のヴェネツィア挑戦。未だに三大映画祭での主要部門受賞経験は『8人の女たち』でのベルリン銀熊賞(芸術貢献賞)のみというのが意外なほど。物語は第一次大戦中、フィアンセの戦死に嘆き悲しむドイツ人女性の前に、ミステリアスなフランス人男性が現れるというもの。

ラヴ・ディアス『THE WOMAN WHO LEFT』

新作を発表するたびに話題騒然となるフィリピンの怪物ラヴ・ディアス。今年のベルリンで8時間にも及ぶ作品を発表したばかりの彼が、これまでオリゾンティ部門で2作品を受賞させている高相性のヴェネツィアに、3時間46分の大作を提げて登場する。

ステファン・ブリゼ『UNE VIE』

8月から日本公開する『ティエリー・トグルドーの憂鬱』が、カンヌで男優賞を獲得するなど、近年評価が高まるフランスの職人監督ブリゼ。カンヌ以外の三大映画祭への挑戦は今回が初めてとなる。

アマ・エスカランテ『LA REGION SALVAJE』

三大映画祭初挑戦となった2013年のカンヌ国際映画祭。『エリ』で監督賞を受賞したメキシコ映画界の新鋭が、それ以来となる長編作品で満を持してのヴェネツィア入り。

パブロ・ラライン『JACKIE』

『NO』でアカデミー賞外国語映画賞ノミネート、『THE CLUB』でベルリンの審査員大賞を受賞しているチリ映画界の期待の星、パブロ・ラライン。2010年の『Post Mortem』以来のヴェネツィア挑戦となる本作は、ナタリー・ポートマンがケネディ大統領の妻ジャクリーンを演じるアメリカとチリの合作映画。

ジュゼッペ・ピッチョーニ『QUESTI GIORNI』

2001年のヴェネツィアで、男優賞・女優賞のW受賞を果たした『ぼくの瞳の光』や、一昨年日本でも公開された『ローマの教室で 〜我らの佳き日々〜』のジュゼッペ・ピッチョーニ監督が、現地イタリアの代表として各国からやってくる強豪たちを迎え撃つ。

その他まとめ

上記の作品以外にも、一風変わったミステリーが話題となった『ル・コルビュジェの家』の監督コンビ、マリアーノ・コン&ガストン・デュプラットの新作『EL CIUDADANO ILUSTRE』がアルゼンチン代表として、2年連続の南米への金獅子賞を狙う。

また、『ザ・ヴァンパイア〜残酷な牙を持つ少女〜』のアナ・リリー・アミールポアー監督の『THE BAD BATCH』をはじめ、マッシモ・ド・アノルフィ&マルティナ・パレンティ『SPIRA MIRABILIS』、ロアン・ジョンソン『PIUMA』、クリストファー・マーレー『EL CRISTO CIEGO』、マルティン・コールホーベン『BRIMSTONE』など、各国期待の新鋭たちが名を連ねる。

第73回ヴェネツィア国際映画祭は現地時間8月31日から9月10日まで開催。なお、コンペティション部門の審査委員長はサム・メンデスが務める。

(文:久保田和馬)

    ライタープロフィール

    久保田和馬

    久保田和馬

    久保田 和馬 1989年生まれ。映画評論家/映画ライター/映像作家。フランス映画とアジア圏の映画をこよなく愛する。大学時代からの自主制作の延長で映像制作を行い、2013年から文筆業を開始。「図書新聞」へ映画評の寄稿、「リアルサウンド映画部」への寄稿など。

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