アニメと実写を行き交う『妖怪ウォッチ』なんて、あっていいのか……いや、いい!

映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン! メイン

(C)LEVEL-5/映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト 2016

文字通りのお化けヒットを記録し続ける映画版『妖怪ウォッチ』シリーズですが、今回の第3作はまたまた大胆不敵な仕掛けで、見る者を楽しませてくれます……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.184》

『映画妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険』は、アニメと実写のダブル世界をジバニャンたちが行ったり来たりの大騒ぎ!

アニメと実写のダブル世界の中で
妖怪たちが大活躍のシリーズ第3弾!

今回の作品は、おなじみ主人公のケータくんをはじめジバニャンやウィスパーなど妖怪たちが、なぜか突然アニメ(つまり彼らが日頃住んでいる世界)と実写世界を行き来するようになってしまいます。

世界が切り替わるカギは、空飛ぶ巨大クジラが「ホエー」と泣くと実写へ、そして実写世界で出会った妖怪コアラニャンの鼻を押すとアニメ世界へ切り替わるといった仕掛けですが、いずれにしましても、そんな不思議な事態に、ケータや妖怪たちは大騒ぎ!

日ごと、アニメの世界で生きてきたケータは、実写世界の自分を見て毛穴があることに驚いて、その世界を“毛穴世界”と称するなど、なるほど子どもらしい視点だなと唸らされますが、その毛穴が見える実写世界での人間キャラクターたちが全員アニメから抜け出してきたかのように違和感なくピッタリはまっていて、さらには前作に登場したエンマ大王に山崎賢人、ぬらりひょんに斎藤工といったイケメン・コンビが楽しそうに妖怪たちのトップを快演し、キテレツなダンスまで披露してくれています。

女優陣も武井咲に黒島結菜と可憐な布陣で、また今回のヒロイン・カナミを演じる浜辺美波の清楚な可愛らしさも作品に見合っています。

遠藤憲一扮するジンメン犬も無気味でキモい!
(もう少し出番が多くても良かった!)

一方ジバニャンたち妖怪は3DCGを駆使して生身の人間たちと同じ空間にいてもまったく違和感のない存在感を披露。
(ハリウッドで『ポケモン』実写化も企画されていますが、実現したらこういう感じになるのかな?)

アニメと実写が切り替わるタイミングやその技術も実にスムーズで、クライマックスのスペクタクル・バトル(ただしゆるゆるのギャグも多し!)はアニメと特撮の2本立て映画をごっちゃに見ているかのような愉しみもあり、結果としてよくぞまあこんなアホ…いや、面白いことを考え、見事に実践してくれたものだなと、製作サイドに拍手喝采したい想いです。

映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン! サブ1

(C)LEVEL-5/映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト 2016

毎回、実験精神に満ち溢れた
ヤンチャな映画版シリーズ!

そもそも映画版『妖怪ウォッチ』は第1作『誕生の秘密だニャン!』(14)からして『スター・ウォーズ』など名作映画のパロディを巧みに盛り込み、第2作『エンマ大王と5つの物語だニャン!』(15)は短編エピソードを羅列していきながら、最後にそれらがひとつにまとまってのクライマックスを披露するという構成の妙味を堪能させてくれるものがありました。

そして今回のアニメと実写のドッキングと、映画版『妖怪ウォッチ』は毎回スタッフたちが遊びに遊びながら楽しい作品作りに腐心し続ける実験精神がみなぎっているのです。

ファミリー映画には『ドラえもん』や『ポケモン』のように毎回安定した内容を披露するものと、『クレヨンしんちゃん』のように毎回何が起きるかわからないぶっ飛び実験精神で攻めるものと、大きく二通りあるように思われますが、『妖怪ウォッチ』は断然後者のヤンチャ型です。

また、これらのファミリー映画はある程度の収益が見込めるので、シリーズが続けば続くほど作画などの技術が上がっていきます。簡明な絵柄なだけに一見気づきにくいところはありますが、実はかなりのハイクオリティなのです。

さらに今回の『妖怪ウォッチ』は、とかくファンの賛否を呼ぶ「アニメの実写化」を自ら成し得てしまうという大胆不敵さで、あっさると難題をクリアしてしまっていることにも驚かされます。

やはりヒットする映画にはヒットするだけの理由がある。そのことを痛感させられる楽しいシリーズ。

同時上映の短編『スナックワールド 人嫌いのレニー』も、3DCGによるミュージカル仕立ての作品でした。もう頭のてっぺんからつま先まで遊びまくり!

こういった作り手の姿勢あってこそ、毎年のお正月映画が楽しみに思えてくる道理ですね。

(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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