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日本のアニメーションをリスペクトした アメリカのアニメーション映画『RWBY』
日本のアニメーションをリスペクトした アメリカのアニメーション映画『RWBY』
日本のアニメーションが世界中の人々に影響を与えている事実は、今や歴然たるものがありますが、その中には日本のアニメーションのようなテイストの作品を自分たちで作ろうといった気概の者もいっぱいいるわけで……。
《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街~ vol.57》
アメリカのアニメーション映画『RWBY Volume1』こそ、その代表格ともいえる作品です!
日本のアニメーション愛好家たちの手で
作られたWebアニメーションの総集編映画
『RWBY』のストーリーは、魔物退治の専門家“ハンター”を育成するビーコンアカデミーに入学した15歳の少女ルビーを主人公に、彼女の友人やライバルたちと共闘し、時に喧嘩もしながら、学園生活と戦場とを往来していくもの。
どことなくハリー・ポッター・シリーズにも似た世界観ですが、それ以前にこういった魔法学園ものは日本のアニメーションの十八番でもあります。
本作を製作したのは、アメリカのクリエイティヴスタジオ“Rooster Teeth”。ここの主要スタッフは日本のアニメーション愛好家によって構成されており、そのため現在のアメリカのアニメーション映画は3DCDIで作られたものが圧倒的に多くなっていますが、このスタジオでは3DCGIのセルルック仕様、つまり日本のセル・アニメに倣ったタッチをCGIで表現すべく腐心しており、『RWBY』もその中の1本というわけです。
本作のキャラクターを見ていただけるだけでも、実に日本のアニメーションの影響を受けていることが一目瞭然で、特に元気印の主人公に、プライドの高いお嬢様キャラ、クール・ビューティなどなど、日本の萌えキャラの韻を実に素直に踏んでいるのは微笑ましい限りですが、その一方で正直これでアメリカ国内は大丈夫かな? とあらぬ心配をしてしまうほどです。もともと本作はYou TubeなどでWeb配信されたものをまとめたものであり、既に世界中のアニメーション・ファンの人気を勝ち取ったものなのです。
日本とアメリカの情緒が
巧みにミックスされた面白さ
もっとも日本のアニメーションの影響を受けているとはいっても、そこはアメリカ人が作る作品なだけに、場面のあちこちにアメリカンな情緒が漂っていて、要は日本的要素とアメリカ的な要素が巧みにミックスしているのも本作の大きな特徴ともいえるでしょう。
ストーリーも学園内のイジメはもとより、人種差別などの問題にも踏み込んでいるのはアメリカならではの要素かもしれません。
3DCGIセルルック技術に関しては、日本のポリゴンピクチュアズや三次元などのスタジオによる秀作群と比べると若干見劣りするところもあるのですが、もともとはwebアニメーションであり、銀幕で上映することを想定していなかったものだけに大目に見たいところではあります。
また、今回は日本語吹き替え版での上映で、早見沙織や日笠陽子など人気声優が総出演しているのもお楽しみではありますが、日本のアニメ・キャラのようでいて、よく見ると違うといった微妙な違和感がそのまま吹き替えのほうでも魅力となって活かされているように思えました(逆に原語版との雰囲気を比較してみたい気もしています)。
今回はVolume1ということで、その続きも期待したいところですが、その一方で本作はエンドタイトルの最後に監督のモンティ・オウムに対する献辞が記されてもいます。
モンティ・ウォームは本作や“Dead Fantasy”などの監督として注目されつつ、体調を崩して簡易な治療を受けていたところ、急に重度のアレルギー反応を起こして昏睡状態に陥り、今年の2月1日、33歳の若さで急死しています。
日本のアニメーションを愛し、その実践に努めた彼の精神を後進が受け継いでくれることを祈ってやみません。
まずは、日本のアニメーションの影響力を本作から汲み取りつつ、アニメーションを通した世界各国のクリエイター同士の交流などから文化的友好関係が築けるような、そんな世界の実現を!
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(文:増當竜也)
映画『RWBY Volume1』は11月14(土)より先行上映開始!
公式サイト http://rwby.jp/
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