映画コラム
iPhone/iPadで撮影された映画たち
iPhone/iPadで撮影された映画たち
今年もアカデミー賞は大きな盛り上がりを見せましたが、毎年アカデミー賞の授賞式の中の「In Memoriam」という、前年の授賞式から1年の間に亡くなった映画業界に大きく関わった方々を追悼するコーナーがあります。
今年は、デビッド・ボウイや、「ハリーポッター」「ラブ・アクチュアリー」のアラン・リックマン、「モンスターズインク」「ベイマックス」の脚本家のダニエル・ガーソンらの画像が、Dave Grohlが謳う「Blackbird」に合わせて流れました。
2012年のIn Memoriamでは、Apple製品の寄与により映画を作る上で大きな影響を及ぼし、またピクサーをCGアニメーション映画と言えば誰もが1番に思い浮かべる会社までにしたスティーブ・ジョブズもこのコーナーで追悼されました。
「Apple CEO」ではなく「Executive」の肩書で「Stay hungry, Stay foolish」とスティーブの肉声が流れ、「What a Wonderful World」の曲に合わせて顔が映し出されました。
「映画を撮影する上で活躍するApple製品」と聞くと、「Mac Pro?」「Final Cut?」と思いがちですが、もっと身近なiPhoneやiPadでも映画が撮影されているというのは知っていますか?今回は、iPhoneを使って撮られた映画をご紹介します。
「シュガーマン 奇跡に愛された男」
アカデミー賞(長編ドキュメンタリー映画賞)を取った作品。
70年代の雰囲気を出すために、最初は8mmカメラで撮影をしていたところ、「あと少し!」というところで資金が底をついたため、監督のマリク・ベンジュルールは彼のiPhoneと$1.99のアプリケーション「8mm Vintage Camera」を使って残りを完成させたそうです。
実際に作品を観てみましたが、どこまで8mmで撮って、どこからiPhoneで撮影したか区別できません!
現在もこちらのアプリケーションは購入が可能で、日本のApp Storeでは「8ミリカメラ」という名前で240円で販売されています。映画もiTunes Storeで購入、レンタルが可能です。(2016年3月1日現在)
(参照)
http://mashable.com/2013/02/24/iphone-app-8mm/#pexhacdEhSqq
「ナイトフィッシング」
「オールドボーイ」や「親切なクムジャさん」のパク・チャヌク監督のホラームービー。
前編32分iPhone 4のみで撮影され、制作費用は約1100万円。撮影から編集まで全ての過程をiPhoneのみで行ったそうです。
「レンズが小さいことにより制限はあるが、この映画は、予算がなくて映画を撮れない人に希望を与えるかもしれない」と監督は語っています。この作品はベルリン国際映画祭で短編金熊賞を受賞しています。
(参照)
おまけ「モダン・ファミリー」
こちらは映画ではなくアメリカのドラマですが、モダン・ファミリーのシーズン6 エピソード16は全編、Mac、iPad、iPhoneを駆使して撮影されています。この番組、登場人物がときどきカメラに向かって直接話す、というモキュメンタリー方式で進められていくドラマです。
(参照)
http://qz.com/350518/modern-familys-apple-centric-episode-is-product-placement-at-its-best-and-great-tv/
iPhone 6 sのCMでは、「シェフ」の監督・主演のジョン・ファブローがiPhoneを使って撮った学生フィルムを観て「これ、学生が撮った映画なの?この子に電話をして!」とiPhoneを握りながら言い、ナレーションが「それが電話だけど?」というシーンがあり、
また、撮影現場で監督が自分のイメージを俳優たちに伝えるために「Hey Siri! ムササビの画像を見せて」とiPhoneに呼びかける、というバージョンのCMもあります。
その他にもiPhoneやiPadを使って撮影した映画やミュージックビデオがたくさんあります。大型で本格的なカメラではなく、ポケットに入るiPhoneで撮影することの利便性は、いつも使っているデバイスとアプリケーションだけで撮影ができるだけでなく資金面でも大きなメリットがありいい作品を作る可能性を広げています。
(文:hosohana)
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