「タイタニック」を越える感動大河ドラマ!「TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ!」
(C)2016 Asmik Ace, Inc. / TOHO CO., LTD. / J Storm Inc. / PARCO CO., LTD. / AMUSE INC. / Otonakeikaku Inc. / KDDI CORPORATION / GYAO Corporation
「え、今頃公開?かなり前に予告編流れてなかったっけ?」
TVや映画館で予告を観て、そう思われた方も多いのではないだろうか。実は、本来は今年の初めに公開予定だったが、ある事情により公開が延々先送りになっていた本作。約5ヶ月の期間を経て、先日やっと劇場公開の日を迎えたのが、この映画「TOO YOUNG TOO DIE!若くして死ぬ」だ。
NHKの「あまちゃん」で一気にお茶の間にまでその知名度を浸透させた宮藤官九郎が、今回監督と脚本を担当!
その奇抜なストーリーと、豪華でツボを見事に突いたキャスティングから、「早く公開を!」とファンの要望が高かった本作が、遂に劇場公開の日を迎えたので、鑑賞して来ました。
ストーリー
高校生の大介は修学旅行中のバス事故により、なぜか地獄に落ちてしまう!片思い中のひろ美ちゃんを残し、まだキスもしたことないのに、このまま死ぬには若すぎる!大介が地獄で出会った、地獄農業高校の軽音楽部顧問で、ロックバンド「地獄図」を率いる赤鬼のキラーKの特訓を受けて、現世に生まれ変わるチャンスを得るための、大介の抱腹絶倒の地獄巡りが開始された!果たして彼は無事に生まれ変わってこの世に戻ることができるのか?
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神木隆之介くんの軽妙さ、長瀬智也の静と動、そして、尾野真千子が凄かった!
予告編でも印象に残っていたのが、「地獄の鬼」メイクが見事に決まった長瀬智也のハイテンション演技。
実際映画館に足を運んだ方の中にも、全編それを期待して行かれた方が多かったのではないだろうか。あるいは、「ちょっとあのハイテンションな感じは・・・」と、鑑賞を躊躇している方もいらっしゃるはず。実際、自分もちょっとあのテンションで全編通されるのはキツイかも?と、少々心配しながら観に行ったのだが・・・、その心配は無用だった。
実は劇中にはある展開が用意されていて、ちゃんと長瀬智也の静と動の部分が絶妙なバランスで楽しめるように作られていたからだ。特に今回素晴らしかったのが、長瀬智也の「静」の部分の演技だ。これが表現できるからこそ、地獄の鬼という真逆の役柄を演じて違和感が無いのだろう。
同じく素晴らしかったのが、本作での尾野真千子の演技!あまり見る側が感情移入出来ないような特殊なキャラでありながら、あるシーンでの一瞬の表情の変化だけで、一気に観客の心を掴んだその演技力!更に公開時期は前後したものの、映画「太陽」とはまた違った等身大の高校生を軽く演じてみせた、神木隆之介くんの演技の広さ。騒がしいハイテンション演技やギャグ要素を含んだ部分だけでなく、実は普通の日常を描いた静かな部分にこそ、この映画の本質があると言えるだろう。
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とにかく豪華なカメオ出演陣!
前述したように主要キャストだけでも、そのメイクと合わせて強烈なキャラが揃っているこの映画。更に加えて、顔見せ的に続々登場する超豪華なゲストにもぜひ注目して頂きたい。
例えば、サブカル界のシンボルみうらじゅん、伝説のギタリストCharと野村義男の夢のギター対決、知る人ぞ知るゴンゾーのタンバリン芸、ギターと言えばこの二人なマーティ・フリードマン&ROLLYなどなど。
更には憂歌団の木村充揮、烏丸せつこ&田口トモロヲも!この他にも超意外なカメオ出演が隠されているのだが、それはぜひ劇場でご確認を!
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絶好調の宮藤官九郎の脚本と演出は、やはり凄かった!
なぜに、地獄でロック?しかもバンド対決って!?実はこの点だけ理解してしまえば、後は一気に感動のラストまで楽しむことができる本作。
前述した神木隆之介くんと長瀬智也&尾野真千子の素晴らしい演技のサポートもあって、2005年の長編監督デビュー作「真夜中の弥次さん喜多さん」に通じる内容ながら、よりバランスの取れた巧みな脚本と演出による本作は、宮藤官九郎監督作の中でもベストの出来だと言えるだろう。
特に「あまちゃん」以来、「ごめんね青春」や「ゆとりですが、なにか」と続く最近のテレビドラマ脚本のクオリティの高さが、本作にはそのまま受け継がれている。前作「中学生丸山」にいまいち乗り切れなかった方や、宮藤官九郎作品の独特の感じがどうも・・、という方にこそ、ぜひ本作をオススメしたい。
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まず、ロックありきの本作。やっぱり、楽曲のクオリティが凄かった!
予告編で流れている主題歌をはじめとして、本作での楽曲はどれも素晴らしく、一度聴いたら必ず耳に残るほどだ。
個人的には、十分にサントラ盤を買ってもいいレベルだと言える。しかもそれだけでは無く、映画の中で重要なキーとなる「ある音」の表現が、「うん、確かにこれなら聞いて感動する!」と納得させる音になっていることに驚いた!騒がしいロックが苦手な方にも、実は意外な場面で素晴らしい歌が待っている。
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最後に
どうしても、予告編やポスター・チラシなどの印象から、「馬鹿騒ぎする、疲れそうな映画」「地獄と現世とのカルチャーギャップコメディ」「神木くんが生き返って終わるんでしょ」などと考えてしまいがちだが、実は決してそれだけの映画では無いのが本作!
死んだ者と残された者との強い絆を通して、過去は過去として大切にしながらも、それでも今の状況の中で前向きに進んで行こう!という主張は、きっと観た人の胸に明るい希望の火を灯すに違いない。
ラストに向けてのまさに「タイタニック」並みの感動シーンなど、予想を越える展開が待っているだけに、ぜひとも予告編の印象に惑わされることなく、劇場に足を運んで頂ければと思う。
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(文:滝口アキラ)
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