『最強のふたり』の再来!?納得の観客賞受賞作『神様の思し召し』
第28回東京国際映画祭で観客賞を受賞したイタリアからのエントリー作品「神様の思し召し」。その感覚がストレートにつながり観客賞を受賞したのもうなずける。
(C)Wildside 2015
本国で大ヒットをすでに記録している本作の監督エドアルド・ファルコーネはなんと、これが監督デビュー作。脚本家としてのキャリアはあったものの監督として最高のスタートを切ったといって良いだろう。
あらすじ
腕利きのエリート天才心臓外科医トンマーゾは、傲慢な性格が災いし、周囲からは面倒がられ妻との仲は冷え切り、家族ともぎくしゃくしている。医大に通う優秀な息子アンドレアが自分の跡を継ぐことだけを願っているが、ある日息子から神父になりたいと告白されてしまう。そこでトンマーゾは息子が慕う(実はムショ帰りの)ピエトロ神父の正体を暴くために、妻からのDVに悩む失職中の男性信者を装い教会に潜り込む。ところが神父に一度家族に会いに行きたいといわれてしまい、逆に追い詰められる羽目に・・・。
(C)Wildside 2015
「最強のふたり」の再来!? 納得の観客賞受賞!!
テイストはもちろん社会的な面も少し抑えながらビターそれでいてストレートな面白さを感じさせてくれる。そういうところで言うと、制作国こそ違うもの2011年東京国際映画祭で絶賛を浴びてグランプリと最優秀男優賞の二冠を制し。翌年日本でも劇場公開されフランス映画としては日本国内では最大のヒット作となった「最強のふたり」を思い起こさせる(ちなみに配給会社も同じGAGA)。
実際にポスターやチラシ、予告編など「最強のふたり」の笑いと涙、再び!という宣伝がされているが、そのうたい文句に外れなく。「最強のふたり」にはまった人にはたまらない快作となっている。
実際、WOWOW賞審査員の間でも観客賞が「神様の思し召し」に決まった時は全員納得したものだ。
(もう一つ獲るならと思っていたのは最優秀男優賞受賞作品「地雷と少年兵」)
(C)Wildside 2015
日本初お披露目から、最速ペースで公開
ちょっと内側の話をすると昨年の東京国際映画祭での日本初お披露目を受けて、日本配給の買い付けが決まり、このタイミングで公開されていることを考えると、最速ペースでの公開といっていいだろう。
それだけ作品の力、そして映画祭での劇場での盛り上がりが大きく、早期公開へと背中を押したということだ。
偶然といえばそれまでかもしれないが、なんとローマ出張中の矢田部吉彦東京国際映画祭コンペティション部門プログラミングディレクターが現地で、エドアルド監督と再会。
→https://twitter.com/yoshiyatabe/status/759132756429463552
抜群のタイミング、これこそまさに“神様の思し召し”だろうか?
(C)Wildside 2015
続々公開予定、東京国際映画祭関連作品。
映画祭にエントリーする作品は、邦画や招待作品などを除くと決して日本公開が約束されているわけではない。しかし、それでも徐々に公開が決まりつつあるので、憂いしい限りだ。
イーサン・ホークが伝説的なJAZZミュージシャンチェット・ベイカーを演じた「ブルーに生まれついてBORN TO BE BLUE」。
人気落語柳家喬太郎初主演作、注目の若手女優石井あんな共演の「スプリング、ハズ、カム」。
大混戦の日本映画スプラッシュ部門を制した「ケンとカズ」。
中小規模映画の公開が年々難しくなっている中で、これはうれしい流れだ。
コンペティション部門の作品でも前述の「地雷と少年兵」、グランプリ&最優秀女優賞の二冠制覇作品「ニーゼ」辺りはぜひ多くの人に見てほしい映画だったので、劇場公開が待ち望まれる。
(文:村松健太郎)
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