映画コラム

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2016年10月11日

ゆとりですが『マイ・フェア・レディ』観てみた

ゆとりですが『マイ・フェア・レディ』観てみた

こんにちは、23歳のながちです。
生まれた年の興行収入1位映画は「ジュラシック・パーク(93年8月)」です。

1人のゆとり女子として、名作の感想をシネマズに書かせていただいております。

前回記事


20年前の「どんでん返し」、色褪せない。(ゆとりですが名作観てみた)

今回は『マイ・フェア・レディ』


この連載を読んだわたしの母が「書いて〜!」と推薦してきたのが、『マイ・フェア・レディ(64年公開)』。

1964年って、50年以上前…!母自身も、生まれて間もない頃の映画です。

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主演はオードリー・ヘップバーン。
あの、白黒映画でローマをスクーター2ケツしている女優さんです。

…というのは冗談で、もちろんわたしだって、彼女が20世紀のファッションシンボルのひとつであること、映画史に名を残した偉大な女優であることは知っています。

とはいえ、演じている彼女をちゃんと観たことがありませんでした。もはや歴史上の人物と言っても過言ではない彼女の名作に、挑んでみました。

ヘップバーンも怒鳴る、叫ぶ、凄む


前述した通り、美しい白黒の彼女しか知らないわたしは、まず「カラー映画出てたんだ」というところから驚きでした(本当にすみません)。

あの絶世の美女がどんな姿で出てくるかと思いきや…貧しい花売りの娘。しかも英語が苦手なわたしでもハッキリとわかるほど、汚い言葉遣いで登場します。

わたしが知っているオードリー・ヘップバーンと違うぞ、と。

演じている様子を観たことがないわたしは、どこか彼女をファッションモデルのように感じ取っていたのかもしれません。

ヘップバーン演じるイライザは作中で、とにかく怒るし喚くし叫びます。目を見開き、舌を出し、相手を蔑み、ひどいありさまです。

無知なわたしはもう、表現に圧倒されてしまいました。この人って、美しいだけじゃないんだと。

そんな貧しく汚いイライザを「レディに仕上げる」ため、言語学者のヘンリー・ヒギンズ教授(レックス・ハリソン)が家に引き取ることから、物語は進んでいきます。

独身おじさんが道楽でヘップバーンを教育する物語


50年前のミュージカル映画ということもあり、ストーリーは単純明快です。
ヒギンズ教授はイライザをレディにするため、あの手この手で言葉遣いや所作を直そうとしますが、もちろん一筋縄ではいかず…。

ワガママで思いやりのないイライザに悩まされるたび、教授はこんなようなことを歌います。「男は最高、女はクソ。独身は最高、結婚はクソ。なぜなら女がクソだから」みたいなことを。

50年後の日本でそんなこと言ったら袋叩きにされますが、ヒギンズ教授は露知らず、どんどん男尊女卑独身至上主義を繰り広げていきます。

独身おじさんが道楽のような賭けでイライザ(ヘップバーン)を教育…。

公開年のアカデミー賞作品賞を受賞し、世界が熱狂したとも言われる名作がそんな物語だったとはと、驚きを隠せませんでした。

後半から一気にヘップバーンワールド、もはや直視できない


今作は3時間ある大作です。
前半の1時間半はずっと汚くてやかましいイライザにちょっと腹が立つのですが、レディに仕上がり始めたぐらいからもう、イライザではなくなります。

イライザが「オードリー・ヘップバーン」という完全体に成長していくようだと言ってもおそらく過言ではありません。

イライザのヘップバーン化以降、物語の中の教授とイライザはうまくいったりいかなかったりするのですが、彼女が美しすぎてどうでもよくなり始めます。

競馬場でのミュージカル演出も、上流階級の全員を騙した華やかな舞踏会の様子も、やはり彼女がいるからこそ引き立つものです。

舞踏会が終わり「お役御免」となった彼女の寂しそうな横顔ったらなりません…。

オードリー・ヘップバーンの絶大な人気の理由を、まざまざと思い知りました。
名作なのにハッピーエンド&悲しい要素がゼロなのもわたし的には高得点。

後半部分に彼女が繰り広げる「男と女論」は、今でも十分響く素敵なものでした。

「レディと花売り娘との差は、どう振る舞うかにあるのではありません。どう扱われるかです。私は、あなたにとってずっと花売り娘でした。なぜなら、あなたはずっと私を花売り娘として扱ってきたからです」

調べてみたら、彼女が亡くなった1週間後くらいにわたしが生まれていたことが判明。
ずっとずっと、昔の方だと思っていました。

でも、画面の向こうでめいっぱい叫び喚き、力強く生きて歌う彼女を観ていたら、全然そんなことなかったんだなあ…と感動でした。

さて、次はどんな名作がよいでしょうか。読者のみなさまからのご提案もお待ちいたしております。

(文:ながち)

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