映画コラム

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2017年02月11日

子ども版グランド・セフト・オートな映画が公開される件 監督に聞いた“教育上問題ない理由”とは?

子ども版グランド・セフト・オートな映画が公開される件 監督に聞いた“教育上問題ない理由”とは?



(C)Veit Helmer Film-produktion


2月11日より公開の『世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方』というドイツ映画をご存知でしょうか?パッと見のビジュアルは「子どもが活躍するかわいい作品かな?」と思うでしょう。確かに子どもたちはかわいい、かわいいんだけど、実はそれだけじゃない、とんでもない作品でした!以下にその魅力を紹介します!

1:これは幼稚園児のギャング団による『グランド・セフト・オート』だ!


本作の第一印象は、子ども版『グランド・セフト・オート』(以下、グラセフ)でした。ご存知ない方にご紹介いたしますと、グラセフとは世界的に有名なテレビゲームシリーズでして、“街の中で何をしてもいい”という自由度が大きな売りになっています。当然、その“何を”には窃盗などの犯罪も含まれます。グラセフは青少年の健全育成に極めて悪く、18禁指定は大納得なのですが、良識をわきまえた大人にとっては至高の娯楽なのです。

そして、本作『世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方』の子どもたちは、自らを“ハナグマ・ギャング団”と名乗り、イタズラという言葉ではすまされない、犯罪行為を街中で繰り返していきます。

不法侵入?当たり前。

詐欺?当たり前。

車の強奪?当たり前。

しかも終盤には街じゅうに……おっと、これはネタバレになるので書けない。もしこれがグラセフなら指名手配レベルは☆3以上をマークするでしょう。公式Twitterには「この子どもたち、可愛いだけじゃありません」とありますが、かわいいどころかモノホンの犯罪者集団じゃねーか!とツッコまざるを得ないのです。

観る人が観れば「ンマー!こんな教育上悪い映画は許さないザマス!」と叫ぶかもしれませんし、少なくとも文部省の推薦が受けられないことは間違いありません。それでも本作はG(全年齢)指定ですし、この犯罪行為の限りを尽くしても、(グラセフとは違い)最終的にはとても教育上とてもよい(※本当です!)作品に仕上がっていました。この記事の最後に、監督から聞いた“教育上問題ない理由”を書いていますので、そちらもあわせてお読みください。

2:これは「クレヨンしんちゃん」の実写版だ!


本作で連想したものが、グラセフ以外にもう1つあります。それは、日本人なら誰もが知る国民的アニメ「クレヨンしんちゃん」です。何せ、劇中で出てくるのは4歳児が6人でチームを組むのですから。しんのすけ、ネネちゃん、マサオくん、風間くん、ボーちゃんから結成される“かすかべ防衛隊”を彷彿とさせるではないですか(1人多いけど)!

しかも、あの歴史的大傑作映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』のカーチェイスをもほうふつとさせるシーンがあるのです!具体的には……いや、やっぱりネタバレなので書くのはよしておきましょう。幼稚園児に車を強奪させ、さらには“あの方法”を使ったカーチェイスまでさせるとは!クレヨンしんちゃんでしかありえなかったシーンを実写で観られる!もう必見ではないですか!

また、このハナグマ・ギャング団が“ただ歩くだけ”のシーンがめちゃくちゃカッコいいです。その出立ちは、まるで「Gメン'75」のオープニングのようでもありました。



(C)Veit Helmer Film-produktion



3:『ラ・ラ・ランド』に負けていない!子どもたちによるミュージカル映画だ!


本作の魅力はそれだけではありません。なんと、すでに各方面で絶賛の声が相次いでいる映画『ラ・ラ・ランド』(2月24日公開)に匹敵する、ミュージカル映画でもあるのです!

オープニングの歌からもうかわいくって仕方がないですし、楽曲そのもののクオリティーが高く、子どもたちの歌唱力も侮れないものがありました。子どもから親への不満、そして“立場の逆転”を歌ったあの曲は、子どもこそ共感できるでしょう(大人は怖くなるかも?)

なお、『ラ・ラ・ランド』はアカデミー賞にて、史上最多タイとなる14ノミネートを果たしていますが、『世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方』も世界中で50の映画祭を席巻して大好評、いくつかの“最優秀子ども映画賞”を受賞するなど、並々ならぬ高評価を得ていますよ。

4:動物(アカハナグマ)がかわいい!


本作でかわいいのは子どもたちだけではありません。“アカハナグマ”という動物も超キュートなのです!具体的にこのアカハナグマがどういう活躍をするかはネタバレになるので秘密にしておきますが、「そんなこともしちゃうのか!」と驚けることは間違いありません。

このアカハナグマは、ドイツの著名な動物トレーナーの手で、1年以上調教された2匹が演じていたそうです。その芸達者ぶりは、大人顔負け、いや、人間顔負けですよ。



(C)Veit Helmer Film-produktion



5:日本語吹き替え版もあるよ!


本作は“日本語吹替版”が多く上映されています。そのため、大人も子どもも、家族みんなで楽しむことができるでしょう。

そうそう、本作は上映時間が83分と短いのも長所。テンポも早く、お子さんを退屈させてしまうことはないはずです。

おまけ:この映画が好きな人におすすめ!


本作で連想した、“この映画が好きなら絶対に気に入る!”と思えた、3つの作品をご紹介します。

(1)『ロッタちゃんのはじめてのおつかい』


この映画の主人公の女の子は“良い子”とは言えません。かんしゃく持ちで、つよがりで、生意気なのです。でも、子どもの生意気っていうのはかわいいものですよね。映画の序盤、家出をして倉庫で一生暮そうとするロッタちゃんの意地っ張りなところが愛おしく、その後のエピソードではそんな彼女がちょっぴり成長して、誰かを幸せにするシーンもあったりするのですから。
『世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方』とは、“子どもの一番の理解者はお年寄り(おばあちゃん)”なところが共通していますよ。

(2)『長くつ下ピッピの冒険物語』


児童文学『長くつ下のピッピ』を原作とした作品です(テレビシリーズやアニメ版もいくつか作られています)。イタズラが大好きでおてんばな女の子が、たいくつをしていた子どもたちの前に現れて、大旋風を巻き起こすという楽しい内容になっていました。
『世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方』と共通しているのは、街で大騒ぎをしてしまうということと、“普通なんかじゃつまらない!”というメッセージがあること。映画を観た後は、ルールや勉強だけに縛られているだけでなく、楽しく、自分らしくしよう!と思えるかもしれませんね。女の子が力持ち!というのは、現在公開中の映画『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』もほうふつとさせますよ。

(3)『劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス』


ご存知ムーミン一家が、グラセフ並みに犯罪と破壊の限りを尽くす内容です(笑)。フィンランド製のアニメであり、日本以上に世界のアニメはフリーダムであることがわかるでしょう。ムーミンがビキニを着たフローレンに向かって言う「そんな格好ダメだよ!何も着ていないみたい!」は一生心に残るセリフでした。

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