『ピーチガール』は、かわいい男の子が好きな人は、見ろ!!
(C)2017「ピーチガール」製作委員会
5月20日に公開の映画『ピーチガール』は、一時も退屈することがない、最っ高の恋愛エンターテインメントでした!本作の魅力がどこにあるのか、たっぷり紹介します!大きなネタバレはありません。
1:キャスト陣の魅力がものすごい!
特に伊野尾慧のファンは必見だ!
まず語らなればならないのは、主要となるキャスト陣です。それぞれが、原作マンガよりもいい意味でさらに極端になったキャラクターを、生き生きと演じているのが素晴らしいのです!
山本美月:ギャルっぽいけど、超ピュア
山本美月のキャラは一見すると『桐島、部活やめるってよ』の時と同じような“イケイケ”ですが、実は『貞子VS伽椰子』の時のような、友だちを大切に想う優しい性格の持ち主になっています。
この主人公は永野芽郁の策略にまんまとひっかかってしまうのですが、原作マンガよりも彼女が“怒る”シーンが少なくなっていることがミソ。このおかげで、“お人好し”な主人公の健気さを「がんばって!」と応援したくなるのです。
そんな山本美月と伊野尾慧の掛け合いは漫才のようにコミカルであり、伊野尾慧の女子力が高いおかげでときどき女の子同士のウッフキャハハにも見えてきます(笑)。
伊野尾慧:チャラそうだけど、真面目?
何よりも、Hey! Say! JUMPの伊野尾慧のイケメン……いや、ヒロインっぷりを語らなければいけません!この人、男なのにメチャクチャかわいいんですよ!『帝一の國』の志尊淳といい、何を食べたらこんな2次元でしか存在しないような“男ぶりっ子”キャラを降臨させられるんでしょうか! しかも26歳(1990年生まれ)ってマジかよ!高校生役に違和感がなさすぎだよ!
このキャラは「学校イチのモテ王子」という設定なので、「んなもん絶対好きになれるかー!」と観る前は勝手に思っていたのですが、“チャラそうだけど、真面目?”のキャッチコピー通り、実はめっちゃイイヤツなのです。しかも、いつもはかわいいのに、誰かを悲しませてしまった人物に対しては本気の怒りの表情を浮かべることもあります。
映画初主演にして初出演にも関わらず、伊野尾慧はその感情の揺れ動きを、完璧と言っていいほどに表現しています。主人公の幸せをいつも第一に考えているその純粋さ、しかも夢はパティシエで料理上手という女子力の高さに至っては、もうキュンキュンしまくりでしたよ!
ちなみに、伊野尾慧がヒロインであることは、劇中で壁ドンを“されてしまう”側であることでもわかります(しかも3回)。終盤では、さらに女子に見間違うであろう、ある“行動”までも……?
動画はこちら!
真剣佑:さわやかだけど、不器用
『ちはやふる 上の句・下の句』で影のある少年を演じた真剣佑は、本作では“誠実だけど、不器用で融通の効かない”役になっています。伊野尾慧の“何でも言いたいことを隠さずに言ってしまえる”キャラとはまるで正反対で、劇中ではこの2人が主人公を巡って争い、「私のために戦わないで!」な展開まであったりするのです。
イケメン2人(※ただし1人はある意味でヒロイン)に奪い合われたい願望を持つ人は、もう全員観ればいいんじゃないかと思います。
ちなみに真剣佑は8月4日公開の『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』において、原作では“3枚目”であったキャラを演じるとのこと。そちらにも期待しています。
永野芽郁:かわいいけど、悪魔
これまで純粋な役を多く演じてきていた永野芽郁ですが、本作では子悪魔のような心の汚れた少女……いや、もう言い切ってしまいしょう、はっきり言って本作で彼女が演じるキャラはクズです。あの永野芽郁ちゃんが小悪魔も悪魔を通り越して、クズな少女を見事に演じているんです!
あの下卑た表情とドスの効いた声!その行動は完全に犯罪なので笑えなくなる勢い!憎しみを込めて「なんであの女のほうが幸せそうなのー!?(しゃがれ声)」と叫ぶシーンは、『俺物語!』や『帝一の國』で彼女に惚れそうになった男子も必見です(100年の恋も冷める)!
以下のキャラ紹介動画でも観られる“白目”は本当にヒドい(褒めています)!現在トップクラスの売れっ子女優にこんなことさせていいのかよ(いいんです)!
ちなみに、クズだとは書きましたが、永野芽郁がもともと持っているかわいらしさのおかげで、“悪いことばかりをしているのにどこか憎めない”というバランスになっているのもすごいところ。神様は不公平ですね。
(C)2017「ピーチガール」製作委員会
2:本当に5分に1度、恋の事件が巻き起こった!
退屈なんていっさいしないスピーディーさがすごい!
原作は1400万部を突破し、アニメ化、台湾でのテレビドラマ化もされた大ヒットコミック。続編や番外編を除いても18巻にもなる長編なので、当然ながら2時間という制限がある映画では、原作を換骨奪胎して物語を再構築しなければいけません。
最近は『ちはやふる』『青空エール』『PとJK』『ReLIFE リライフ』『3月のライオン』『帝一の國』など、原作マンガを本当にリスペクトしていることがわかる映画が多くて嬉しい!と思っていましたが、本作『ピーチガール』でも、それは例外ではありませんでした。
原作のエピソードの順序を入れ替えるなどして巧みに再構成されており、原作にない設定もキャラや世界観を壊すことなく物語に融合し、映画ならではの盛り上がりどころもしっかり作られ、かつ原作で重要な要素を十分に拾っていると、もう興奮の連続!とにかく完成度が高いのです。
何より、展開がスピーディーであることは特筆に値します。原作を読んだ方なら「もうこのエピソードが出てくるの?」などといい意味で驚けるでしょうし、読んでいなくても急転直下の出来事の数々に“退屈”という言葉を忘れるでしょう。冒頭で、彼らの極端なキャラをテロップ付きでささっと紹介してしまうのも大正解です!
本作のキャッチコピーにある「5分に1度、恋の事件が巻き起こる!」は伊達ではありません。それでいて展開が雑で納得できないということもそれほどなく、伏線を巧みに取り入れた“どんでん返し”をも備えているのですからたまりません!
この映画の構成力の高さは、原作者の上田美和さんも「これはおもしろい、スクリーンから伝わってくる熱量がハンパじゃないです。よくあれだけの分量の原作をコンパクトにテンポよく楽しめるエンターテインメントに仕上げたなぁと」とお墨付き。
本当にその通りで、画面からは「一時たりとも退屈させてたまるか!」という作り手の熱意が表れまくっています。中身が女子の男の子(伊野尾慧)がかわいいという要素まであるので、これはもう実写版『君の名は。』と呼んでも過言ではないでしょう(たぶん過言)!
ちなみに、原作が完結したのは今から13年以上も前のこと。その頃には存在しなかったスマートフォンが、作中で重要な役割を担っていることも現代ならではのアイデアですね。
(C)2017「ピーチガール」製作委員会
3:教育上とても良いメッセージもあった!
本作のさらなる美点は、作中で訴えられていることが教育上とても良いことです。永野芽郁演じる悪魔的キャラのしたことは、“人を呪わば穴二つ”という感じでしっぺ返しが待っていますし、何より全編に渡って“人を見た目で判断してはいけない”というメッセージを多角的に描いているのですから。
たとえば山本美月演じる主人公は色黒なため“遊んでいる”と誤解をされがちなのですが、それは中学校のころに水泳の部活で焼けたというだけ。対して永野芽は見た目は小柄で可愛らしいけど中身は悪魔、真剣佑のキャラは一見誠実だけど不器用、伊野尾慧は一見チャラ男だけど実は中身も含めてイケメン(かつヒロイン)と、それぞれで見た目と中身でギャップがあるのです。
彼らそれぞれの“本質”を探り出し、本当に幸せになるための“選択”をしていく物語は、若い人にこそ観て欲しい思えるものでした。大切な人に誤解をされたり、はたまた“すれ違い”で誤った選択をしてしまったり、そんな青春ならではの“間違い”と、それを経た“成長”がしっかり描かれているのですから。
見た目はキラキラしている、夢いっぱいな女子中高生向け映画ですが、“現実の厳しさ”も描いているのは、とても誠実です。親御さんやオトナの観客が観ても、きっと元気がもらえるでしょう。
余談ですが、神徳幸治監督は初めてラブコメ映画を手がけることになったため、役者たちに「このセリフどう?」「キュンキュンする仕草って?」などと意見を聞くのはもちろん、オーディションにやってきたリアル女子高生からも熱心に情報を収集したのだとか。
それらの情報は主にロケ地を決める時に大いに役立ったそうで、3回も延期してまで撮影した満開の桜が並ぶ通学路の画、海沿いの風景は本当にキラキラと輝いて見えます。監督がしっかり勉強して女子中高生のニーズを作品に取り入れていること、ロケーションの良さも、本作の大きな魅力ですね。
(C)2017「ピーチガール」製作委員会
おまけ.“まさかの選曲”も!
主題歌をカーリー・レイ・ジェプセンの「コール・ミー・メイビー」にしたのも大正解!アニメ映画『SING/シング』の劇中で歌われたことも記憶に新しいですが、ポジティブなメッセージに溢れている本作ともベストマッチでした。
あえて具体的にその曲名は書きませんが、他にも誰もが聞いたことがあるJ-POPの名曲も挿入歌として使われています。筆者はこの曲が流れた時、正直ちょっと笑ってしまったのですが、好きな人にとっては「キター!」な嬉しい気持ちでいっぱいになるかもしれません。
また、筆者が大笑いしたのは、序盤のとあるシーンで「レクイエム」が流れること。『バトル・ロワイヤル』の予告でおなじみのこの曲が、実にマッチしているのです。どんなシーンであるかは……ぜひ劇場に行って確認してみてください!」
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(文:ヒナタカ)
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