日本人が知らない逆輸入ヒーローって? 映画『パワーレンジャー』レビュー
(c)2017 Lions Gate TM&(c) Toei & SCG P.R.
「アメリカのヒーローを思いつく限り、挙げて下さい」と言われたら、皆さんはいくつ名前を出すことができますか?
スパイダーマン、バットマン、スーパーマン、アイアンマン、キャプテンアメリカ、X-MEN、ミュータントタートルズ…
大体の方が、このあたりのヒーローを挙げるんじゃないかと思います。
スパイダーマンやバットマンは何度も映画化され、エンターテイメント性に優れた作品から重厚感のある作品まで、幅広く制作されています。
また、アイアンマン、キャプテンアメリカなどは、『アベンジャーズ』で、作品の壁を超えた夢の共演を果たしており、さらに、「アベンジャーズシリーズ」はまだまだ続編が制作されるとのこと。
『X-MEN』で人気キャラクターのウルヴァリンは、『X-MEN』シリーズだけでなく、単独でも作品が制作され、先日に最新作『ローガン』が公開されたばかり。
今、アメコミヒーローは空前の盛り上がりをみせており、この盛り上がりはしばらく続きそうです。
日本ではなぜか今一つ知られていませんが、上記に挙げたヒーローと同じくらいアメリカ人を熱狂させてるヒーローがいます。
その名も「パワーレンジャー」。
93年にアメリカで放映開始し、5色のヒーローが5人で力を合わせて敵を倒すというフォーマットが、“ヒーローといえば単独”という常識を持ったアメリカ人にカルチャーショックを与え、瞬く間に一大ブームが起こり、社会現象にまでなりました。
「パワーレンジャー」と聞いてピンと来てない方、5色の5人のヒーローといえば、何か思いつくものありませんか?
そうです「戦隊ヒーロー」です。
もともと日本で放送されていた『恐竜戦隊ジュウレンジャー』が、アメリカ人のスタッフ、キャストで「パワーレンジャー」としてリメイクされたんです。
つまり、「パワーレンジャー」は日本発と言えるでしょう。
「パワーレンジャー」は今や、世界100カ国以上で放送され、さまざまな国の子供たちから愛されています。
余談ですが、僕は今「プレミアの巣窟」という番組で、青いタイツに青いヘルメットをかぶって出演させてもらっています。その番組に、あのウイーン少年合唱団が来たことがありました。
その中のひとりの子が僕の姿を見て、「パワーレンジャー!」と言ってきたんです。
僕は嬉しくなり『パワーレンジャー』の主題歌を歌うと、その子は爆笑しました。
気がよくなり、何回も同じくだりを繰り返してその子を笑わせていると、合唱団のマネージャーらしき人から「今すぐやめて! 声が枯れたらどうするの!」とブチギレられました。
『パワーレンジャー』は僕に、苦い思い出までくれました。
(c)2017 Lions Gate TM&(c) Toei & SCG P.R.
話が少し逸れましたが、そんな「パワーレンジャー」がなんと120億円の制作費をかけて映画化され、来月の7月15日(土)に、いよいよ日本で公開されます。
川で産んだいくらが大海原で成長を遂げ、また川に帰って来た、そんなところでしょうか。
よく飲みに行っては奢ってた後輩が、いつの間にかトントン拍子で売れてしまい、久しぶりに飲みに行った時には奢ってもらった、そんなところでしょうか。
一足早く試写を見させていただいたんですが、お世辞抜きで最初から最後までずっと面白かったです。
アメリカヒーローの良いところが全部詰まっているようでした。
(c)2017 Lions Gate TM&(c) Toei & SCG P.R.
とにかくお金かかってる感じが僕にはすごい嬉しくて、普段見てる戦隊ヒーローがハリウッドナイズになるとこうなるんだなと、感極まるシーンがたくさんありました。
特に冒頭数分のシーンは「日本ではこの感じ出せないよな」といったシーンで、ものすごい好きでした。
僕の中で面白い戦隊ヒーローの条件というのを勝手に決めているんですが、それはキャラクター分けがしっかりできてて、尚且つそれぞれが確立してるということです。
映画『パワーレンジャー』の5人も、しっかりとその条件に当てはまっていました。
(c)2017 Lions Gate TM&(c) Toei & SCG P.R.
とにかく初めて変身するまでを丁寧に丁寧に描いていき、5人がどういう人物でどういう悩みを持ってるか。家族との関係などをストーリーにきっちりと織り交ぜ、スーパーパワーを手にいれた高揚感、なかなか変身できないジレンマ、襲い来る敵への恐怖も、スクリーンいっぱいに映しだされ、それらを経て、やっと変身することが出来て、その変身した5人がそろって歩いて来るシーンは、鳥肌が立つほど心震えました。
特撮を見たことない人でも絶対に面白いですし、特撮ファンはニヤリとする、あのシーン、このシーンを是非見ていただきたいと思います。
(c)2017 Lions Gate TM&(c) Toei & SCG P.R.
日本のヒーローが、これからもどんどん世界に注目されてって欲しいなぁ。
ところで、『パワーレンジャー』の逆パターンで、東映が制作した『スパイダーマン』があるのはご存知ですか?
あのスパイダーマンが戦隊ヒーローのごとく、巨大ロボを操るなど、見た目はスパイダーマンなものの、内容は完全に日本オリジナルの作品があったんです。
僕はこの東映『スパイダーマン』こそが『パワーレンジャー』、そして戦隊ヒーローの根っこの部分だと思ってます。
気になった方はそちらも是非。
(文:オジンオズボーン・篠宮暁)
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