『借りぐらしのアリエッティ』徹底解説!わからなかったこと教えます。
3:小人たちの名前は外国人風なのに、なぜ日本が舞台になっているのか?
(C)2010 Studio Ghibli GNDHDDTW
原作となる小説「床下の小人たち」の舞台は1950年代のイギリスの田舎町ですが、本作では現代の日本(モデルは東京都小金井市)が舞台になっています。小人たちの名前が外国人風であるのに、人間たちは日本人名であることも含めて、違和感を覚えた方も多いのではないでしょうか。
なぜ日本が舞台になったのか……身も蓋もない言い方をすれば“制作上の都合”が理由です。というのも、米林宏昌が初めて長編作品の監督を務めるため、海外の生活習慣や風俗を正確に描くとなると、彼の大きな負担になってしまうという懸念があったのだとか。また、日本人が海外の作品に登場する日本にどこか違和感を覚えてしまうように、日本人が外国を描くとどうしてもおかしなものになってしまうため、きちんと日本を描いたほうが良い、という方針も立てられたのだそうです。
個人的には、“小人たちは洋風で、人間たちは和風”という世界観は、むしろ作品の魅力になっていると感じます。アリエッティたち自身や部屋の壁がカラフルであっても、漢字が描かれた袋や、“魚の形の醤油差し”が映り込むといった画には“ギャップ”のある面白さが満載でした。
そういえば、貞子さんがドールハウスについて「父がイギリスに注文して、小人たちのために作らせたの」と語るシーンがありましたね。なぜアリエッティたちが日本にいるのかはわからずじまいでしたが、彼女たちの発祥の地が原作と同じくイギリスである(かもしれない)ことは、示唆されているのです。
4:花に添えてあった紙には何が書かれていたのか?
(C)2010 Studio Ghibli GNDHDDTW
翔がアリエッティにあげた角砂糖には、「わすれもの」と書かれた紙が添えられていました。その後、翔の部屋にカラスが侵入した日の翌日に、翔は同じ排水路の場所に花と紙を置いていたのですが……そこに書かれた内容もわからずじまいになっています。
ごく個人的な意見になってしまいますが、この紙には「姿を見せて欲しい」と書かれていたのではないでしょうか。カラスが侵入した時にも翔とアリエッティは会話をしていますが、アリエッティの姿は“シルエット”でしか翔には見えていませんでしたから(翔はこの前に、庭でも一度アリエッティの姿を見かけていましたが、おそらく彼女の顔まではよく見えていなかったのでしょう)。
ただ、実際に花を返しに来たアリエッティの姿を見た翔は、彼女の“美しさ”に言及した上で、前述したように「これまでも美しい種族たちが地球の環の変化に対応できなくて滅んでいった。君たちもそうなる運命なんだ」などと、ひどいことを言ってしまいます。
結局この場では、アリエッティはただただ「もう私たちに関わらないで」「あなたのせいで家はめちゃくちゃよ」などと翔を責め、翔もまたアリエッティを傷つけるばかり。実際のコミュニケーションでも、メッセージを送って、実際に出会って、姿を確認しただけでは、上手くいくとは限りませんよね。
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