『あさひなぐ』感想、これ以上は望まない“青春の灯火”
(C)2017 映画「あさひなぐ」製作委員会 (C)2011 こざき亜衣/小学館 (C)2017 舞台「あさひなぐ」製作委員会 (C)2011 こざき亜衣/小学館
9月22日から公開となる映画『あさひなぐ』。薙刀(なぎなた)に青春をかける少女たちを描いた漫画を実写映画化。乃木坂46のメンバーを中心にしたキャスティングに、乃木坂46のファンとそうでない方とで公開前の温度差がありそうですが、誰が誰と見ても心が熱くなる素晴らしき青春映画でした!
今回は、
1:率直な感想
2:魅力的なキャストたち【乃木坂46メンバー編】
3:魅力的なキャストたち【乃木坂46メンバー以外編】
4:いつかできるから今日できる
5:乃木坂46のファンの方向けのコアな見どころ
の5つで熱く語っていきたいと思います!
※“なぎなた”に関しては以下「薙刀」で統一してお届けします。
1:映画を見て思った率直な感想「何て素晴らしい!」
この映画の主要登場人物たちの大半は乃木坂46のメンバーたち。みなさん演技経験はあるものの、「乃木坂46を中心とした映画という構成は本当にベストな選択なのか」という疑問が見る前はありました。
それと同時に「いや、これ絶対見事な青春映画になってるはず!」とも思いました。なぜなら本作の監督は英勉(はなぶさつとむ)監督だから。英監督は大傑作ラブコメ映画『ヒロイン失格』で監督を務められています。私は『ヒロイン失格』になめてかかって、思わず感激して大反省した過去があります。それもあってどこか安心感や期待感の方が勝っての鑑賞となりました。
映画が始まり、気付いたら薙刀部の生徒たちに完全の感情移入。どこで心を掴まれたのかはわかりません。気付いたら「頑張れ…頑張れ!!」と手に汗を握りながらスクリーンの部員たちを応援している自分がいました。同時に自分自身もあらゆるものにがむしゃらに努力していた青春時代を思い出し、その頃の気持ちを思い出させてもくれました。
(C)2017 映画「あさひなぐ」製作委員会
(C)2011 こざき亜衣/小学館
本作の主人公は西野七瀬さんが演じる東島旭。中学時代は美術部で運動経験がないものの、ひょんなことから薙刀部に入部することになった変わった生徒です。文化部で生きてきた旭は当然運動音痴。性格もどこか内向的で勝負事で勝とうという気迫も感じない大人しい女の子です。そんな彼女が薙刀の練習や試合、失敗や挫折を経験する中で身も心も強く成長していくのです。
何もできなかった子が目の前にあることに本気で取り組み事を成し遂げる。決して優勝など頂点までは登れなくとも、マイナスからのスタートから確実な成長を見せるその過程のドラマは、薙刀に限らず、何かにチャレンジする人たちにエールを送る応援歌ならぬ応援映画となっていると思いました。
大人になると良くも悪くもがむしゃらに頑張るということが減る方が多いと思います。経験則や成長した思考力などからチャレンジすることをやめてしまう方も多いと思います。この映画はそんな大人にも見てほしい映画です。
学生さんなら今頑張っていることや悩んでいることを行動でクリアしていこうと思えるはず。社会人ならチャレンジ精神やモチベーションそのもの、価値観の根幹を刺激されるはず。もちそんそれらがちょっと自らと合わなくても客観的に彼女たちの頑張る姿に感動できるはず。
このように書き進めると超真面目な熱血映画と伝わってしまいそうですが、そういう訳ではありません。時には思わず笑ってしまうおかしなシーンも多数あり、そのバランスがお見事。楽しめるエンタメ映画としても魅力も存分に放っています。
映画を観た後は、映画の魅力を人と語りたくなると同時にみなさん自身の人生のモチベーションも上げてくれる『あさひなぐ』。
乃木坂46のファンであってもなくても楽しめること間違い無し。笑いあり涙あり、みなさんの背中も押してくれる素晴らしい映画なのです。
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2:魅力的なキャストたち【乃木坂46メンバー編】
(C)2017 映画「あさひなぐ」製作委員会
(C)2011 こざき亜衣/小学館
本作はキャストの魅力を語らずして紹介を終えることなどできません。まずは乃木坂46のメンバーたちを一人ずつ語っていきたいと思います。
西野七瀬さんが演じる東島旭
西野七瀬さんが演じる主人公の東島旭。前述の通り内気で運動部なんてとんでもないという性格の彼女がどんどんやる気になっていく様は見ていて本当に気持ちがいいです。
西野七瀬さんご本人の雰囲気が良い感じにそのまま活かされていながら、声を荒げたり、本気で薙刀の勝負をしたりと徐々に活発になっていく成長っぷりがとても素敵です。
また、鼻にティッシュを詰めたり、対露出狂でなかなかインパクトのあるリアクションをしたりと笑える演技も素敵にされています。クライマックスの表情は今でも鮮明に覚えているほど素敵でした。
白石麻衣さんが演じる宮路真春
白石麻衣さんが演じる宮路真春は旭の先輩で薙刀部のエース。隙がないように見えて勉強が全く出来なかったり、挫折をした時の感情の拠り所がわからなかったりと意外と不器用な一面もあったりします。
白石麻衣さん自身が非常にカリスマ性のあるビジュアルで、男女ともに多くのファンを抱えていながら、乃木坂46の活動では意外とバラエティセンスがあったり、ヘタレな一面も見せたりしているので良い意味でご本人のキャラクターと被ります。
仲間思いで超良い奴感全開の素敵な女性感は白石麻衣さんとしても宮路真春という役としても素敵だなと見ていて思いました。
伊藤万理華さんが演じる野上えり
伊藤万理華さんが演じる野上えりは、言わば薙刀部のまとめ役。意外と自己中な人間の集まりである薙刀部をうまくまとめて、勝利できるように全力を尽くします。
しかし彼女もまた宮路真春同様に不器用で、周りが見えなくなるとうまく行動が出来なくなってしまったり、実は不器用という役どころ。伊藤万理華さんご自身からも醸し出される優しさを伴ったちょっとした自信感が絶妙にマッチしてるなと思いました。
桜井玲香さんが演じる八十村将子
乃木坂46のキャプテンである桜井玲香さんが演じる八十村将子は、パッと見不良っぽく悪な感じ。でもこういう人って実は超仲間思いで、負けず嫌いな性格から一生懸命努力を積み重ねるんですよね。
この八十村将子というキャラクターは、実際の桜井玲香さんと全く異なりました。「え?キャプテン、何か・・・グレてる!けど合ってる!」なんて最初に思って思わずクスッとしてしまいました。
見終わって思ったことは、「ほらね、こういう子って実は超いい子なんだよね!」と、思えて心地良かったです。
松村沙友理さんが演じる紺野さくら
松村沙友理さんが演じる紺野さくらはお嬢様感の出ているちょっと浮世離れした感じの子。悪く言えば空気の読めない子です(笑)
松村沙友理さんの話し方そのままキャラクターに絶妙にマッチしていて、見ていてクスッとするシーンが何箇所もありました。それでいながらやる時はやる!そのギャップがとても魅力的なキャラクターでした。
生田絵梨花さんが演じる一堂寧々
生田絵梨花さんが演じる一堂寧々は、旭たちの部員仲間ではなくライバル高校の生徒。紆余曲折あって旭が闘志を燃やす相手になります。薙刀は団体戦ですが、寧々は自分の勝利しか考えない孤高の天才。
見ていて「こういう鼻につく天才っているんだよな」と思いつつも、最後はちょっと成長も見せ、イラッとせずニヤリとするオチが用意されていました。
生田絵梨花さんご自身もピアノに歌にプロフェッショナルな才能を持った天才ですが、鼻につく感じは一切ありません。持ち前に天才感を活かしながらも演技でちょっとウザい感じを醸し出すそのコンビネーションがとても良かったです。
中田花奈さん&斉藤優里さんが演じる旭の同級生
中田花奈さんと斉藤優里さんが演じる旭の同級生は、正直なところ薙刀部の核心には影響しない役どころ。それでいながらちょっと今風なJK感をお二人ともうまく演じられていて印象に残る演技をされていました。
出演時間こそ少なくとも、お二人のファンの方も演技を楽しめると思います。
3:魅力的なキャストたち【乃木坂46メンバー以外編】
本作は乃木坂46のメンバー以外のキャスト陣もとても素敵なインパクトを残しています。
富田望生さんが演じる大倉文乃
薙刀部で唯一乃木坂46のメンバーではない富田望生さんが演じる大倉文乃。文乃は言葉を選ばずに言うなら“デブ”。しかし、彼女自身「デブは身体的特徴だ」とデメリットと全く思ってない感がとてもチャーミングで素敵です。
実際身体能力はとても高く、薙刀も見事。ユーモア担当でもあるので、非常に印象に残るキャラクターです。
乃木坂46のファンの方でも、映画を見終わったら富田望生さんの魅力にノックアウトされてしまっているかも…!?
樋口柚子さんが演じる寒河江純
旭のライバル高校の薙刀部員を演じる樋口柚子さん。乃木坂46の樋口日奈さんのお姉さんです。
樋口柚子さんが演じる寒河江純は、生田絵梨花さん演じる一匹狼の一堂寧々と部員とをうまく調整する役どころ。クールなビジュアルから醸し出される優しさがとても印象的でした。
江口のりこさん演じる寿慶
江口のりこさん演じる寿慶は旭たちが合宿をした白滝院の僧侶。薙刀部員たちをこれでもかというほど練習で厳しくしごいていきます。薙刀のテクニックはもちろんですが、それ以上に精神的に鍛えてくれる役どころだなと思いました。
隙のない厳しい当たりは、裏を返せば最高の優しさ。言葉でも表情でも表さないけれど、この寿慶の愛があったからこそ旭は成長できて、最後にあの表情となることができたのだなと思います。
中村倫也さん演じる小林先生
そして、そして!私一押しのおもしろキャラクターが中村倫也さん演じる小林先生。薙刀部の顧問の先生ですが、これがまあKY(空気が読めない)!!
「合宿行こうよー!!」
と言いながら、部員たちだけ白滝院に閉じ込めて、自分は麓で観光と焼肉三昧。ライバル校との練習試合は相手の顧問の先生が美人だからという理由で開催。クズの極みです(笑)
でも、なぜか愛すべき馬鹿キャラクター全開で、この先生あってこその薙刀部なのかなと思ったりも。中村倫也さんのファンの方でしたら、「必見!」の演技・映画です!
4:いつかできるから今日できる
本作の主題歌は乃木坂46が歌う「いつかできるから今日できる」。8月27日(日)に愛知で全国握手会の会場で、10月11日(水)に発売される乃木坂46 19枚目のシングルの表題曲であることがアナウンスされました。
切ない歌詞とメロディーの奥底から溢れる熱き情熱を感じる超名曲が、映画のエンディングを彩ります。
(C)2017 映画「あさひなぐ」製作委員会
(C)2011 こざき亜衣/小学館
乃木坂46ライブでの「いつかできるから今日できる」のパフォーマンスより
作曲されたのはAkira Sunsetさん&京田誠一さん。Akira Sunsetさんは乃木坂46の表題曲ですと、「気づいたら片想い」、「今、話したい誰かがいる」、「ハルジオンが咲く頃」を手掛けられており、またもや表題曲で心にすーっと入ってくる名曲を作り出してくれました。
あと1ヶ月ちょっとでCD発売なので、1ヶ月足らずで音源も解禁となるでしょう。
この楽曲を何度も聴くことで、映画の余韻はいつまでもいつまでも心に残り続けること間違い無し。少し落ち込んだ時に聴くにも絶妙な一曲です。
5:乃木坂46のファンの方向けのコアな見どころ
この映画は乃木坂46のファンで無くても楽しめる、と前述しました。ただ乃木坂46のファンの方であればより楽しめるのは間違いありません。
と言うのも、薙刀部の部員たちが成長していく様と乃木坂46が5年かけて成長してきた道筋とが被るのです。私自身は乃木坂46のデビュー当時から全ての情報を追ってきたわけではありませんが、それでも2つが被って謎の親から目線的感動で思わず泣きそうになりました。
西野七瀬さんと東島旭も被るんです。デビュー時は目立たなかった西野七瀬さんも今では白石麻衣さんと並んで乃木坂46の看板メンバー。徐々に成長して頭角を表す旭を見て西野七瀬さんの乃木坂46での歩みを思い出さずにはいられないわけです。
これは白石麻衣さんにも言えますし、何よりも薙刀部全員=乃木坂46メンバーという括りで色々と思うことがありました。
山あり谷あり、波乱万丈だった5年をずっと追ってこられたファンの方ならより心に響くこと間違いなしです。
最後に
色々と語りたいことを好き勝手語ってきましたが、要するに「魅力は1つや2つじゃなくて、たくさんたくさんあるので、気になる人は全員劇場へ行きましょうよ!」ということです。
物語も、映像も、薙刀さばきも、演技も、部員たちの可愛さも、音楽も、主題歌も、全てが魅力的。粗を探したらきっとあるんでしょうけれど、完璧な人間なんていないし、ちょっとの欠点あってこそ愛おしかったりするんじゃないかなとも思います。
映画『あさひなぐ』は9月22日よる公開。見ないで後悔する前にちゃちゃっと早めに劇場へ足を運びましょう!
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(文:柳下修平)
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