長澤まさみの魅力がつまった映画5作を厳選してご紹介!
(C)2017『散歩する侵略者』製作委員会
2017年9月9日(土)から公開される黒沢清監督の最新作『散歩する侵略者』で、侵略者に乗り移られた夫に戸惑う主人公・加瀬鳴海を演じる長澤まさみ。
現在30歳を迎え、女優としてますます成長を続ける彼女は、2000年に第5回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリを獲得し、同年公開の『クロスファイア』でデビュー。
その後、2004年公開の『世界の中心で、愛を叫ぶ』で白血病を抱えるヒロインを演じ、人気女優の仲間入りを果たした。最近では、記録的ヒットを記録した『君の名は。』で奥寺先輩役を演じるなど、実写やアニメを問わず出演作が絶えない。
今回は、そんな彼女の魅力を映し出した5作品を紹介したい。
『海街diary』
(C)2015 吉田秋生・小学館/フジテレビジョン 小学館 東宝 ギャガ
まずは比較的最近の作品から1本。
海外でも高い評価を集めた是枝裕和監督作で、彼女は4姉妹の次女を好演。綾瀬はるか演じる真面目な長女とは対照的な、あっけらかんとしたキャラクターで、観客の視線を独占する。
名実ともに秀でた4人の女優の共演が話題になった作品だけに、そこで際立った存在感を放った彼女は、20代から30代前半の女優の中でも群を抜いていると証明し他に違いない。
「長澤まさみって、こんなに凄い女優だっただろうか」と、つくづくポテンシャルの高さに驚いてしまう作品だ。
『ロボコン』
「全国高等専門学校ロボット・コンテスト」通称〝ロボコン〟に青春をかける高専生たちを描いた2003年公開の本作で、長澤は映画初主演を果たす。
やる気ゼロの落ちこぼれな主人公が、居残り授業を免れるためだけにロボット部の手伝いをさせられ、ロボットの世界に没頭していく。
それまでは優等生キャラがよく似合っていた10代の頃の彼女の、意外な面(今ではこのキャラのほうが似合って見えるが)を楽しむことができるのだ。また、現在も公開中の映画『銀魂』で、絶妙な掛け合いを見せる小栗旬との初共演作でもある。
『深呼吸の必要』
こちらはキャリア初期の中にひっそりと隠れた1本だが、実に優れた佳作である。
ちょうど前述の『世界の中心で、愛を叫ぶ』で、彼女の名が世に知られ始めたタイミングで公開された本作は、問題を抱えた若者たちが沖縄でサトウキビ刈りのアルバイトをしながら自分を見つめ直し、成長していく物語。
対人関係に不安を抱える少女を演じた長澤は、撮影も同時期だった〝セカチュー〟とは対照的な役柄。彼女が数少ない台詞を発するだけで、画面の雰囲気がガラッと変わるほどの魅力を放っている。
『WOOD JOB! 〜神去なあなあ日常〜』
コメディ映画を手がけさせたら、今の日本映画界で随一の才能を誇る矢口史靖監督が、林業をテーマに無気力な若者の青春を描いた本作。
長澤は、主人公が林業の世界に入るきっかけとなるパンフレットの表紙を頼まれた、村きっての美女を演じているのだが、写真のイメージとは裏腹に、実際はバイクを乗り回す気が強い性格というギャップがまた小気味良い。
『モテキ』以降、あまりしっくりくる役柄に恵まれていなかった彼女が、本作を契機に急激に魅力的な女優へと変わっていくのだ。
『コクリコ坂から』
スタジオジブリ制作の2011年公開のアニメーションで、劇場用映画で初めて声優を務めた長澤。
60年代の横浜を舞台に、〝コクリコ荘〟を切り盛りするしっかり者の女子高生・海を演じた彼女は、〝長澤まさみらしさ〟を封印して、一人の平凡な少女の姿を声だけで巧みに演じきる。
声優としても才能を発揮することを証明した本作があってこそ、『君の名は。』の奥寺先輩があったのではないだろうか。
(C)2017『散歩する侵略者』製作委員会
そして9日から公開される『散歩する侵略者』では、初めて黒沢清監督の作品に出演した彼女。
ある日突然別人のようになってしまった夫に、戸惑いながらも真摯に向き合っていく主人公を演じた長澤。冷え切った夫婦関係を修復しようと、侵略者に乗り移られた夫の〝ガイド〟として彼を守り続けるのだ。
苛立ちながらも自分の使命を理解し、まっとうしようとする真面目さに、彼女のキャリア初期の雰囲気を思い出させる。それが女優としてすっかり開花した現在の彼女が演じるのだから怖いものなしだ。
『海街diary』に続いて、国内外で高い評価を獲得する監督の作品に出演し、カンヌ国際映画祭で注目を集めた彼女。今後彼女自身も国際派女優へと成長してくれるような気がしてならない。
(文:久保田和馬)
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