【徹底解説】『崖の上のポニョ』|なぜ両親を呼び捨て?トンネルの意味は?
おまけその2.『崖の上のポニョ』の原型になった作品があった!
実は、宮崎駿が手がけた作品において、“いつもいる町が水没してしまう”というシーンがあるのは『崖の上のポニョ』だけではありません。高畑勲監督(クレジットでは演出名義)、宮崎駿が脚本を手掛けていた1973年の中編『パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻』でも、辺り一面が大洪水になってしまった後、ボート(ベッド)での大冒険が展開していくのです。
その他にも、「未来少年コナン」や『天空の城ラピュタ』や『ルパン三世 カリオストロの城』など、宮崎駿監督作品には、澄み切った水の中に沈んだ建物が幻想的に描かれていることが多くあります。もちろん現実で洪水が起ってしまうと建物が崩れ去ってしまうことがほとんどでしょうが、あり得ない光景が広がるからでこそ、見ていてとてもワクワクしますよね。これは、アニメでしかできない表現でもあるでしょう。
また、『崖の上のポニョ』の劇中に出てくるインスタントラーメン(チキンラーメン?)は何ともおいしそうでしたが、これに匹敵するほどおいしそうにインスタントラーメンを食べるシーンが、“三鷹の森ジブリ美術館”で上映されている短編作品『やどさがし』の中にあります。同作は「ぞぞぞ」「ざわざわ」などの日本語の擬音を画面に表示して、かつ人の声でそのまま表現してしまうという一風変わったもの。絵柄そのものや、草や木の表現も『崖の上のポニョ』にそっくりだったりします。
筆者はまだ観たことがありませんが、同じく三鷹の森ジブリ美術館で上映されている『水グモもんもん』も、水中のキャラの動きや泡の表現が、『崖の上のポニョ』の絵作りの原点になっているのだそうです。
さらに、宮崎駿作品でもジブリ作品でもありませんが、2017年には『夜明け告げるルーの歌』という、海の生き物の女の子との交流や、海辺の街という舞台、「好き!」という感情が大切になってくるなど、『崖の上のポニョ』との共通点が多くみられる(しかもオリジナリティも抜群!)アニメ映画も公開されていました。こちらは10月に東京の目黒シネマとキネカ大森、埼玉の川越スカラ座と深谷シネマでリバイバル上映も予定されていますので、『崖の上のポニョ』が好きという方に、ぜひご覧になってほしいです。
参考図書:ジブリの森とポニョの海 宮崎駿と「崖の上のポニョ」
(文:ヒナタカ)
>>>【関連記事】スタジオジブリ作品、徹底解説記事の総まとめ!
>>>【関連記事】いくつ覚えてる?ジブリ作品のキャッチコピーまとめ!
>>>【関連記事】『ハウルの動く城』を深く読み解く「8つ」のポイント
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
© 2008 Studio Ghibli・NDHDMT