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『もののけ姫』を奥深く読み解く「5つ」のポイント!子供が登場しない理由とは?<徹底解説・考察>



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『もののけ姫』ほど、どういう映画であるかを“一言で表すことが難しい”作品もなかなかないのではないでしょうか。

劇中には莫大な量の情報が詰め込まれ、何度も観ても新しい発見がある一方で(だからこそ)、「結末がスッキリしない」「モヤモヤしてしまう」という意見もよく耳にします。

その理由をごくごく端的に挙げるのであれば、“善と悪を明確に線引きした勧善懲悪の物語ではない”、“登場人物それぞれが複雑な事情を抱えている”、“人間の自然への向き合い方を一方的なエコロジーの観点に留めない”、そして“争いや問題は簡単に解決できない”という訴えがあることでしょうか。詳しくは後述しますが、それぞれの事象を総じて“単純化しない”ということと、キャッチコピーにある「生きろ。」というシンプルなメッセージこそが、『もののけ姫』を読み解く指針になるはずです。



事実、宮崎駿監督も『もののけ姫』の“狙い”について、以下のように語っています。

「世界全体の問題を解決しようというのではない。荒ぶる神々と人間との戦いにハッピーエンドはあり得ないからだ。しかし、憎悪と殺戮の最中にあっても、生きるに値することはある。素晴らしい出会いや美しいものは存在し得る」

これらのことを踏まえ、『もののけ姫』で訴えられていたことは何であったのか、以下に解説していきます。

※以下からは『もののけ姫』の本編のネタバレに触れています。まだ映画を観たことがない、という方は鑑賞後に読むことをおすすめします。

1:勧善懲悪の物語にならなかった理由とは?

一方を善、一方を悪と明確に線引きしていない、勧善懲悪的な物語にはなっていないことが、『もののけ姫』の最大の特徴の1つと言っていいでしょう。それは、登場人物それぞれの“立場”や“価値観”を振り返ってみても、よくわかります。



例えば、エボシ御前は石火矢という武器を持って森に侵攻してもののけたちを殺戮し、それがタタリ神をも生み出すことにもなるなど、表面上だけを見れば悪人と捉えられかねない人物です。しかし、彼女は身売りにされた女性をタタラ場に引き取り、病気(当時は差別や偏見の目で見られることも多かったハンセン病)の患者にも優しい声をかけ、何よりタタラ場という製鉄所でみんなに仕事を与えています。タタラ場の男たちが山を削り木を切るのも、生活のためにやっていることです。タタラ場の人々にとっては、エボシは頼れるリーダーであり、居場所をつくってくれた救世主のような存在です。(そんなタタラ場の人々はおおらかで優しそうにも見えますが、襲ってきた年端もいかない少女サンに、容赦なく「殺せ!」などと罵声を浴びせもします)



一方、サンは自然を荒らした人間に強い恨みを持ち、「人間を追い払うためなら命などいらぬ!」と言い放つまで、その目的を“正しい”ことであるかのように追求しています。
モロの君は、そのサンを実の娘のように愛しており、「それ(乙事主の所に行く)でいいよ、お前にはあの若者(アシタカ)と生きる道もあるのだが」などと、彼女の行く道を心から心配しているようでした。

また、争いは“人間対もののけ”という単純な構図にとどまらず、野武士たち、タタラ場の鉄を狙うアサノ公方配下の侍たち、シシ神の首を狙うジコ坊たち唐傘連も加わり、タタラ場に残っていた者たちも戦わざるを得なくなるなど、混沌めいた戦況になっていきます。



山のもののけたちの中でも、乙事主率いるイノシシたち、猩猩(しょうじょう)たちの価値観は(人間への反撃を考えているという点では同じでも)サンやモロの君とは大きく異なっていました。彼らの無礼な言動はサンの怒りを買い、モロも「気に入らぬ、一度にケリをつけようなど人間どもの思う壷だ」と乙事主の短絡的な考えを諌めています。

このように、『もののけ姫』では徹底的に“二項対立”を避けています。現実にある戦争も、得てしてそのようなものなのでしょう。“どちらかが悪い”と単純に説明できるものではなく、それぞれが様々な価値観や事情を持っているがゆえに、どうしようもない憎しみや軋轢も生まれてしまい、それは同じ人種や生活圏で必ずしも一致するものでもない……これらの『もののけ姫』の複雑な設定と登場人物それぞれの想いが、“争いや問題は簡単に解決できない”ことをも示しているのは明白でしょう。

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