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天才少女の才能は、伸ばすべきか?米映画ならではのヒューマンドラマ『ギフテッド』

gifted/ギフテッド ポスター

(C)2017 Twentieth Century Fox



ダメダメな親(割と父親というパターンが多いかな)と可愛く聡明な子どもたちとのささやかな心の交流を描いた作品は、アメリカ映画のみならず映画の十八番といえるほどに名作が多く見受けられますが。

ここにまた1本、そういったジャンルの中でも特筆すべき珠玉の作品がお目見えとなりました。

もっとも、ここでの“親”は叔父さんで、子どもは“ギフテッド”、即ち天才少女です……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.271》

映画『gifted/ギフテッド』は、7歳の天才数学少女メアリーの親権をめぐって、今まで彼女を育ててきた叔父と祖母が争う過程の中から、家族の真の絆をアットホームに問いかけていくのでした!

生まれもっての天才児“ギフテッド”
メアリーの親権をめぐる叔父と祖母の確執


映画『gifted/ギフテッド』の原題“gifted”とは「先天的に高度な知的能力を保持する者」を指します。

つまりは「生まれもっての天才児」ということで、これには遺伝的要因を擁したケースが多く見られ、幼い頃の早期教育などによって知識を育み成長していく子どもたちとは一線を画した存在でもあります。

かつてはIQ130以上の子どもたちをギフテッドとみなしていたそうですが、現在はその限りではないようです。

さて、本作のギフテッドこと7歳の少女メアリー(マッケナ・グレイス)は、生まれて間もなく母を亡くし、その弟フランク(クリス・エヴァンス)に育てられてきました。



(C)2017 Twentieth Century Fox




彼女にとって学校の授業は退屈なものでしかありません。特に算数の授業なんて、そこで習う内容などとうの昔に知り尽くしているからです。

ついには担任の先生ボニー(ジェニー・スレイト)が出す難解な問題も、暗算でひょいと答えてしまうほどです。

(ギフテッドはすべてにおいて才能が秀でているパターンよりも、ある一つのジャンルにおいて突出している傾向が強いとのことですが、メアリーの場合明らかに数学の才能が秀でているようです)

やがてボニーはメアリーの母親が自殺した天才数学者ダイアン・アドラーであることを知り、弟のフランクから真相を聞かされます。

厳格な母イブリン(リンゼイ・ダンカン)から英才教育を受けて育ったダイアンは、その過剰な期待や束縛から逃れるかのように妊娠して未婚の母となってメアリーを産み、そして死を選んだのでした。

フランクはメアリーの才能に気づきつつ、姉の遺志を受け継いで、あくまでも普通の子どもとして育てようと腐心してきました。
メアリーも天才ではあれ、まだまだ幼い女の子で、また我が子のように彼女と接してくれる隣人のロバータ(オクタヴィア・スペンサー)のことが大好きだったりもしています。

しかし、そんなある日、メアリーの才能を知ったイブリンが、かつてダイアンが成し得なかった数学者としての偉業をメアリーに挑戦させるべく、突然フランクたちの前に現れ、メアリーを引き取ろうとします。

当然ながらフランクはこれを拒否。かくして祖母と叔父によるメアリーの親権をめぐる裁判が行われることになってしまうのでした……。

gifted/ギフテッド メイン

(C)2017 Twentieth Century Fox




脚本と演出、演技が三位一体となった
映画の理想的な形


家族の諍いから親権をめぐる裁判を描いた映画というと、『クレイマー、クレイマー』(79)などが思い浮かびますが、本作はそれらに負けず劣らずのアットホームで微笑ましいヒューマニズムをベースに敷きながら、実に気持ちの良い心温まるドラマを展開していきます。

こういったジャンルのものを手掛けたら、やはりアメリカ映画の右に出るものはないなと嘆息させられるほどです。

本作の監督はデビュー作『(500)日のサマー』(10)で若者たちの500日の恋愛の日々をシャッフルさせながら描いて注目され、『アメイジング・スパイダーマン』2部作(12&14)では青春恋愛映画としてのスパイダーマンのドラマを色濃く構築したマーク・ウェブ。

ここでもキャラクターの心情に深く繊細に寄り添いながら、誰も悪くはないのにどうしてもトラブルが起きてしまう人生の機微を慈愛に満ちた目線で描出していきます。



(C)2017 Twentieth Century Fox




それぞれのキャストの好演も特筆的ですが、やはり何といってもメアリーを演じたマッケナ・グレイスちゃん(2006年生まれ)は、文字通り天才少女スターとして大いに讃えたいものがあり、今後の活躍から目を離せないものがあります。

また本作には片目の飼い猫フレッドが登場しますが、アカデミー賞動物賞があれば絶対に受賞間違いなしの存在感!
(実際は本作の脚本家トム・フリンの飼い猫とのことです)

そう、本作は秀逸な脚本による展開の妙を、演出が巧みに汲み取り、それを名優たちが見事に体現することで成し得た、正に三位一体の映画の理想的在り方ともいえるでしょう。

派手さこそありませんが、こういった小さく慎ましやかな作品にこそハリウッドの底力が感じられますし、またこういった作品と邂逅することで映画ファンもまた心が芳醇になっていくものと思われます。

少なくとも、今の更け往く秋の時期にもピッタリの作品です。一人で見るのも良しですが、大切な人と一緒に見に行けたら、さらに良し。そんな作品でもあります。

(文:増當竜也)
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