ガッキー初主演映画『恋するマドリ』は『勝手にふるえてろ』の大九明子監督作!
観客からの高い評価が口コミで広がり、現在絶賛公開中の映画『勝手にふるえてろ』。その大九明子監督による2007年の作品『恋するマドリ』こそ、実はあのガッキーこと新垣結衣の初主演映画!
『勝手にふるえてろ』で大九監督作品の魅力にハマった方が多い今だからこそ、今回は是非この記念すべき作品を紹介したいと思う。
ストーリー
姉の突然のデキ婚が原因で、急遽一人暮らしをすることになった美大生のユイ(新垣結衣)。しかし、期待と不安がいっぱいの初めての一人暮らしは好調なスタートとはいかなかった。そんなユイに、元の部屋の新しい住人アツコ(菊地凛子)や、バイト先で知り合った物静かなタカシ(松田龍平)らとの出会いが訪れる。
ガッキーの記念すべき初主演作は、自ら歌うエンディング曲にも注目!
引っ越しを巡る偶然から出会った男女3人の恋模様を描きながら、妙に印象に残るコメデイ要素を散りばめつつ、主人公が恋愛を通して掴んだ成長の証拠の「イス」と共に再び旅立つラストが、観客に爽やかな余韻を観客に残す本作。
前年の2006年に出演したテレビドラマ、「ギャルサー」や「マイボス・マイヒーロー」で女優としての高評価を受け、ついにガッキー初主演作として公開されたのが、この映画『恋するマドリ』だ。
本作でガッキーが演じるのは、初めての一人暮らしを通して自分よりも少し大人の人々との関係や恋愛を体験する主人公ユイ。果たして、彼女が自身の気持ちと向き合って最終的に選択した、自身の恋と将来への決断とは?
本作出演時のガッキーは、雑誌「ニコラ」のモデルを卒業して、バラエティへの出演やアニメの声優など様々な方向性を探っていた時期だけに、本作のエンディング曲「メモリーズ」を自ら歌っているのが貴重!
ちなみにこの2007年は、『恋するマドリ』以外にも、『ワルボロ』と『恋空』の2本に出演するなど、正に大活躍だったガッキー。ただし本作は10年前の初主演作だけに、昨年公開の最新作『ミックス。』でのハジケっぷりと比べると、若干表情も固くテンションも低めかも・・・。
だが、ここから女優としての彼女の快進撃が始まると考えれば、その第一歩としての彼女の演技は逆に貴重だと言える。
共演は、主人公ユイが憧れる上の階の住人タカシに松田龍平、ユイの部屋の前の住人でタカシの元カノのアツコに菊池稟子。この二人の強い個性を受け止めるガッキーの初々しさと自然な演技こそ、本作の大きな見所の一つ!
更に見所を挙げると、映画の終盤、ユイの失敗でタカシの大事な研究発表が、講演会当日まさかの中止?という事態に!唯一の解決策を持つアツコの元へ全力で走るユイは、果たして発表時間までに間に合うのか?このドキドキする急展開も必見!
大九明子監督が見せる、「笑い」へのこだわりにも注目!
本作は大九明子監督にとって、監督デビュー作『意外と死なない』に続く2作目の監督作だが、『勝手にふるえてろ』で印象的だった「映画だから成立する描写」と「笑い」の要素は、既に本作でも見ることが出来る。
特に「にっこりイス」のネーミングや引越し業者の人々、セリフに頼らず役者の無言のリアクションで笑わせる部分など、大九明子監督の「笑い」へのこだわりが随所に登場する本作。ただ、本作での「笑い」はあくまでもラブストーリーとしての内容を壊さない程度の物なので、『勝手にふるえてろ』のあのパワーと破壊力を期待されると、ちょっと物足りなさを感じるかも?
ちなみに『勝手にふるえてろ』以前の作品は、大九明子監督以外の方が脚本を担当しており(『恋するマドリ』は大九監督の脚本)、『勝手にふるえてろ』と本作を合わせて鑑賞すれば、「やはり自身の脚本で撮ってこそ、監督のこだわりや魅力が充分に発揮出来る!」と判るはず。
更に、大九明子監督作の大きな魅力である、強烈な印象を残す脇役キャストの起用は本作でも健在!
内海桂子師匠や世良公則など、果たして誰がどんな役で出て来るのか?そこは是非ご自身の目でご確認を!『勝手にふるえてろ』で大九明子監督の世界にハマった方には、同じく自身の脚本で撮られたこの『恋するマドリ』こそ、正にオススメの作品だと言えるだろう。
最後に
後に「逃げるは恥だが役に立つ」で全国区の人気を得ることになるガッキーの貴重な初主演作であり、彼女が自ら歌うエンディング曲と併せて、今では貴重なお宝映画となっている本作。
前述した通り、一見お洒落な恋愛映画の様に見せながら、実はしっかりと後の大九明子監督の個性が楽しめるこの『恋するマドリ』こそ、『勝手にふるえてろ』でその世界に触れた方にとって、正に必見の映画だと言える。
両者を見比べると意外な共通点が発見出来たりするので、『勝手にふるえてろ』鑑賞前の予習としても全力でオススメします!
(文:滝口アキラ)
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